今年は好調!の予感。すでに多数の釣果
相模湾、8月からの熱いゲーム!
カツオ&キハダの
ジギング&エビング
相模湾は、8月からカツオ、キハダ狙いのコマセ釣りがスタートする。船によっては、その船のミヨシでジギングやエビングでカツオ、キハダを狙うことができる。ルアーでのキハダやカツオというと、キャスティングゲームが思い浮かぶが、、相模湾ならでは熱いジギングやエビングの釣り。誰もがチャレンジしやすい釣りでもある。そのタックルや狙い方を紹介しよう。
相模湾ならではのジギング、エビング
本州太平洋側の釣り場で、夏の魚といえるカツオ、キハダ。どちらもプラグキャスティングで狙えるターゲットであり、群れを船で追いかけたり、ナブラや鳥山を探したりしてプラグを撃っていくそのスタイルは、ハンティング的な要素があることで釣り人を熱くさせる。だが、相模湾ではそんなスタイルとは異なる楽しさがあるカツオ、キハダゲームがある。それがコマセを使ったカツオ&マグロ船のミヨシで行うジギング、エビングだ。
相模湾でのカツオ、キハダ狙いのコマセ釣りは、8月1日から解禁される。そして解禁と同時に、相模湾のあちこちから乗合船が出船。開幕してすぐは、広い相模湾の中でソナーを使って群れを探して探っていくこととなるため、当り外れがあるが、次第にキハダ、カツオが着くエリアが限定され、コマセを連日撒くことで、より高確率で反応を見つけられるようになる。そしてそのキハダ、カツオをより効率的に狙うのだが、だからと言って誰にでも簡単に釣れるわけではなく、そこには様々なテクニックが存在し、腕自慢たちが連日相模湾に訪れるようになるのだ。
ちなみにコマセポイントは、何十隻もの遊漁船が集まる。そしてその船団の中で、各船は群れの先へ先へと船を回し、反応の上に船を置いて投入の合図を出す。群れの移動が速ければ、タナまで落とし数秒探った後に、すぐに移動の合図がでることもある。コマセ釣りとは言え、ここでは熱い戦いが繰り広げられる。
さて今回解説するのは、そんなカツオ、キハダのコマセ船のミヨシに乗船して行うジギングだ。ミヨシをルアーマンに解放してくれている船も多く、ジギングではカツオをメインにしつつも、時としてキハダがヒットすることもある。一方、エビングは、キハダ、カツオともにターゲット。狭いミヨシのスペースの中で、ヒットした魚を出来る限りその場でいなし、ランディングへと繋げる。そこにはコマセの中で反応させるテクニック、ヒットした魚をコントロールできるタックルセレクトが重要となる。
ちなみに、このミヨシのゲームは、乗合船に乗って楽しめるのも利点のひとつ。キャスティングで狙う場合は、カツオならシイラ船の乗合船からタイミング次第で狙うことが、キハダとなると乗合船は少なく仕立船でチャレンジすることになる。仕立船はそれなりの金額となるため、1人や友人と2人などで手軽に釣行したいとなると、なかなか金銭的に難しい。しかし、コマセ船での同船であれば、釣り方は限定されるものの、手軽にキハダ、カツオを狙うことができるのだ。しかも今期2024年度は、ジギング、エビングが好調なのである。
カツオ、キハダのジギングタックル
ジギングでは、どちらかというとカツオがメインターゲットとなる。カツオはヒット後に、あちこちに走り、そして鋭い突っ込みを見せるファイター。そんな魚を、ミヨシで「しっかりと」コントロールしなくてはならない。「しっかりと」と書いたのは、ミヨシ以外の場所には太糸を巻いたコマセ釣りの釣り人が乗っているから。そんなラインとオマツリしたら、まずジギングのラインは巻け、最悪ラインブレイクとなってしまう。
ジグで狙う場合、コマセに着き、そこにコマセ以外のエサ、イワシなどが着くことがある。いずれにしても、小さいジグで狙うのが最も効果的。サイズとしては50~80gほど。喰いが渋い場合は、50gがベストとなる。そしてそのジグを素早く船長の指示ダナまで沈めてしゃくる。そのためラインはPE2号が適正とされている。それより細いラインなら、さらに素早くタナまで沈めることができるが、それではミヨシでカツオの鋭い突っ込みを耐える勝負ができない。逆に太いラインでは、沈めるのに時間が掛かり、テンポよく探っていく時には不利となる。長年、記者はこの釣りを楽しんできたが、やはりカツオにはPE2号がベストといえる。ちなみに、ミヨシから後方になるべく走らせないようにするために、リールのドラグ値は4㎏ほどに設定し、その引きを耐えて対処する。これがパワフルであり、スリリングでたまらないのだ。そしてタックルは、この4㎏のドラグに対応するジギングロッドが必要になる。
ちなみにこのカツオ、キハダジギングに通うサプライズの椙尾和義さんは、ロッドはカツオならシマノの2パワー、キハダ狙いでは3パワーを使用。またリールもあまりに小型だとパワーが無く、巻き取れないこともある。しっかりとしたパワーを備えたクラスで、6000番以上は用意したい。カツオは6000番、キハダ狙いなら8000番がベストだ。ともに素早いジグ操作ができるハイギアタイプが良い。
またリーダーはカツオ狙いら8号がいいが、そのタックルにキメジ、キハダがヒットする可能性があるなら10号。キハダ狙いならPE3号に12号のリーダーがオススメだ。長さは、長めの4ヒロ位。カツオの走りで船底で擦れたり、コマセ釣りのお客さんとのクロスラインでのブレイクを少しでも避けるためだ。
カツオの探り方とファイト
探り方としては、まず船長が投入の合図、探る水深をアナウンスする。40~20m、40前後など、アナウンスは色々だが、その合図で素早くジグを投入。もたもたしていると、群れが通りすぎてしまうので、船が減速して合図が出そうというタイミングでタックルを準備しておこう。ジグは真下に落とすのでも良いが、船長の船の着け方のクセを知ることが大切。合図を出してから、船が少し前進する船もある。この場合、ジグは後方に流れてしまい、コマセ釣りの仕掛けと絡まる可能性もある。そのような場合は、少し前方方向にアンダーで投げて対処する。他のミヨシもジギングのラインの角度をよく観察し、クロスラインにならないように投入しよう。
ジグが着水したら、すぐにラインをサミングしてジグを落としていく。船はスパンカーを立てている。そのため風が強い日などは、ミヨシから風を受ける。そんな時、軽くキャストしたラインが大きく後方に撓む。それを避けるためのサミングだ。
そしてそのままジグを落としていき、指示ダナの少し下、10mほど下まで落としたらしゃくり始める。キャストした時にはラインが斜めになるために、メーターごとに色分けされているPEラインでもタナボケしやすいが、斜めに入っている分を考慮して指示ダナまで落としていく。このフォールの時に喰ってくることもあるので、常にサミングしながら反応をみる。そして指示ダナの下まで沈めたら、そこからしゃくり上げて誘っていくが、カツオ狙いならスピードは速めで、フォールを入れないワンピッチ&ワンジャークだ。スピードを変えたり、しゃくり幅を変えたりして、当りパターンを探していく。そして釣れている人の動かし方、ジグのサイズなどに合わせるのも良い。また、目の前でナブラになっている状態で、アンダーでキャストして届くようなら、水面で素早くジグを巻くスキッピングも効果的。テンポ良く探りたい。
そしてヒットしてからだが、当りがあったら素早くアワセを入れ、ファイトに移る。前記したように、極力、船の後方に走らせないようにコントロール。「走らせて弱らせてからランディング」なんてことは考えない。とにかく、巻けるときにどんどん力強く巻き、突っ込んだ走りを見せた時は耐える。また、隣のルアーマンとオマツリしそうなら、場所を変わってもらおう。ランディングは、抜き上げられるサイズなら抜く。3㎏以上の良型なら、水面まで巻き上げてから、一段下に降りたところに誘導してネットで掬ってもらおう。もしも隣の人が掛け、船長やお手伝いの人がランディングに来れない状態なら、ネットを手にしてランディングに協力してあげよう。そして釣り上げたら、すぐにバケツで血抜き。周囲が血で汚れていたら、しっかり流しておくのがマナーだ。
また、カツオだけでなく、キハダやキメジが混じっている時には、ジグサイズを少し上げ(80g、90gなど)カツオよりも大きくしゃくり、少しフォールを入れるジグの動きも効果的。周りを見て、カツオだけでない、キメジやキハダも釣りたいと思ったら試してみよう。
エビングで探る
ルアーフィッシングでのキハダ狙いで、キャスティング、ジギング以外のもうひとつの狙い方と言えばエビングである。エビングは、コマセに着いたキハダはジグで狙うのは確率が低いことから、久米島の漁師の釣法をヒントに、プロフィッシャーマンである村越正海氏が生み出した釣法だ。その方法とは、リーダーの先に専用の直線天秤を結び、メタルジグをセット。天秤の先には、ムツサークルフックをセットしたハリスを結んで、そこにワームを装着。これをしゃくり動かし、ハリスの先のワームをフワフワと動かしてキハダを捕食に導くというものだ。誘い方が簡単で、しかも釣れるとあってコマセ船のミヨシでは今や一般的な釣法。しかも2024年今期は、エビングの当たり年と言えるほど、開幕直後から釣果が出ており、チャンスとも言える。
エビングタックル
エビングで使用するのはスピニングタックルがメイン。船長の指示ダナの10~20m下まで仕掛けを落とし、そこからしゃくり上げていくというもの。基本はロッドエンドを腹に当てて、大きくしゃくり、ロッドを下げながらハンドル一回転でラインを巻きとる動作を繰り返していく。この時、装着したジグは集魚効果を発生させ、さらにしゃくりの際の引き抵抗が軽いものがベストだ。スライドするジグは、オマツリに原因となるため、ストレートに動くものが良い。ウエイトは200gが基準となる。セイカイコレクションで専用ジグも発売されているため、そちらがオススメだ。
ハリスの長さは2ヒロ(3mほど)。短すぎたり、長すぎたりすると、ランディング時に扱いにくいので、2ヒロがベストだ。エビングの場合、カツオよりもキハダがメインターゲットとなり、ハリス&ワームが口の中にいったん吸い込まれて、キハダの反転とともにズレていってカンヌキに刺さるのが理想的なフッキングとなる。そのためキハダの歯によるダメージも考えて、ハリスは22号が基準となる。ちなみにメインラインはPE4号、5号、リーダーは60lb、80lb、リールは使用ラインが300m巻けることが必要となるため、8000番、1000番クラスだ。また、フックに装着するワームは、エビング専用ワームがオススメ。異なる色で、2つ掛けする人が多い。
エビングワーム「エビングスティック」
https://www.daiwa.com/jp/product/wbxo53u
このタックルに合わせるロッドだが、ジギングロッドやキャスティングロッド、どちらでも対応できる。ただ、ある程度のしゃくり幅、ヒットしてからの取り回しの良さを考慮すると、6ft台から、7ft前半の長さが良い。ダイワ・ソルティガブランドで、村越氏監修のエビング専用ロッドが発売されているので、そちらもチェックしておきたい。
ソルティガエビング
https://www.daiwa.com/jp/product/uxbmcmy
動かし方のアレンジ
エビングのワームの動かし方は、大きなしゃくりとハンドル1回転の回収の繰り返しだが、そのスピードでヒット率が異なる場合もある。範囲の広いタナを探る場合は、速いしゃくりのテンポが良いこともあり、逆に狭いタナを探る場合は遅いしゃくりが良い時もある。また、ただ巻きで喰ってくることもある。いろいろと試し、ヒットパターンを探したい。
そしてヒットした、違和感があったら、すぐに大きくアワセをいれてフッキングさせる。エビングでのキハダは、ワームを飲み込み、そのままでいることも多い。そのため、何もしないと吐き出したり、しっかりとフッキングせずにファイトとなりバレに繋がる。がっちりフッキングするように、2回、3回、強くフッキングを入れることが重要だ。
フッキングしたらキハダは走るので、走っている時は無理に巻かずに、止まるのを待つ。止まってからは、相手の動きを見つつ回収。船に20m、30m近づいたところでキハダは暴れるので、そこで慎重にやりとりしながら巻き上げる。キハダは回転しながら上がってくるので、船底での擦れに注意しながら間合いを詰め、ランディングマンと呼吸を合わせてランディングへと持ち込めば終了だ。もたもたしていると、サメにやられてしまうこともあるので、巻ける時は巻き、耐える時は耐え、なるべく短時間で勝負をつけたい。
2024年今期、相模湾のジグング、エビングは、8月上旬時点では好調の日が多いが、シーズンが進むにつれて、カツオやキハダのコマセへの反応、魚の回遊具合などはどうなるか予想できない。釣れている時に、動くのがチャンスということ。チャレンジしないことには始まらない。ぜひ、挑戦してみてほしい。
取材協力&遊漁船
庄三郎丸 https://www.shouzaburo.com/