迫力満点のバイトシーンに、誰もが病みつきになる!

人気ルアー・ビッグバンディットで楽しむ!
上屋敷隆が解説!
「東京湾ビッグベイトシーバスゲーム」

東京湾でここ数年、流行中のビッグベイトによるボートシーバスゲーム。コノシロを捕食する大型シーバスを狙うために誕生したスタイルであり、迫力満点のバイトシーンを体験できるとともに、大型のヒットの可能性が高い魅力満載の釣りだ。そんなシーバスゲームで、今やマストアイテムとも言えるルアーがビッグバンディットのジャパン仕様。その生みの親であるマングローブスタジオの上屋敷隆さんに、ビッグベイトゲームについてと、使用タックルについてまとめてもらった。

人気ルアー・ビッグバンディットで楽しむ!<br>上屋敷隆が解説!<br>「東京湾ビッグベイトシーバスゲーム」

 

大型ベイトを捕食するランカー狙いのボートシーバス

和名「スズキ」、英名はJapanese seabass。英名からとった「シーバス」の名で釣り人の間で定着している日本を代表するゲームフィッシュだ。そんなシーバス釣りは、ショア、オフショア、キャスティング、ジギングと様々な釣法があり、それぞれ古くから人気で親しまれている。そんな数ある釣法の中で近年人気なのが「ビッグベイトゲーム」。20㎝クラスの大きなルアーを使ってシーバスを狙うのが巷で人気であり、更には30㎝以上もあるルアーを使った「ジャイアントベイト」といったものもある。ここでは20㎝クラスのルアーを使った「ビッグベイトゲーム」に焦点を絞り、解説していきたい。

私自身、昔から様々な釣り方でシーバスを狙い釣ってきたが、自身の歳を重ねるごとに、沢山釣るより80㎝以上のランカーと呼ばれる1本のシーバスに出会う「プロセス」を楽しむようになってきた。それがビッグベイトによるシーバスゲームだった。2013年頃から内房「富津岬」周辺でボートシーバスゲームを楽しんでいたが、ある日、コノシロの群れに突っ込むナブラが発生。シーバス? 青物? そんな光景を目にしたところから専用タックルの必要性を感じ、2015年にまずはロッドの開発に着手した。そしてビッグベイト対応で海外遠征にも使用できる3ピースのベイトロッド「AVALON・アヴァロン」6.6ftモデル、7.0ftモデルの開発から始まり、その後、ビッグベイトシーバス用に改良を施したルアー・ビッグバンディットにベストマッチで、様々なビッグベイトルアーに使える「BIGBANDIT/Stick・6.6ft、7.2ft」という専用ロッドをリリースした。

大型ルアーに襲い掛かる良型、大型シーバス狙いのゲーム。数を釣って楽しむのではなく、1尾をキャッチするまでのプロセスを楽しむ釣り。キャッチした時の、満足度も大きい。

ビッグベイトゲームに魅了され、ロッドの開発からスタートしたマングローブスタジオ。現在、アヴァロン、ビッグバンディットスティックがラインナップ。どちらも東京湾で多くの実績を得てきたモデルだ。

アヴァロン
https://www.mangrove-studio.com/mangrove_s/products/ocean/ocr-avl.html

ビッグバンディットスティック
https://www.mangrove-studio.com/mangrove_s/products/ocean/ocr-bbs.html

ルアー・ビッグバンディットの誕生。熟成してきた10年

ビッグベイトシーバスのスタイルが確立するまでの最初の頃は、様々なルアーが試されていた。海外のマスキーやパイク、オフショア等で使われている大型ペンシルベイト、ブラックバス用のジョイントスイムベイト、BIGスプーンなど、捕食されている「コノシロ」にシルエットが近いルアーでのチャレンジだった。

その後、この釣りでの醍醐味は何か? となった時、水面を割ってヒットする「トップウォーター」の釣りが何よりも楽しいとなり、それが代表的な狙い方となった。その後、専用タックルは続々と各社からリリース。シーバス用の国産巨大ペンシルが出現した。その中でもウッドリーム社Dボニート230やメガバス社メガドック220は、完成度が高く衝撃的だった。 一方、マングローブスタジオはというと、「ストライクプロ社」が北欧「CWC社」向けに開発した「ビッグバンディット195㎜」に目を付けた。コノシロのような平べったいシルエットも良いと思い、すぐに取り寄せた。そして早速、富津の「オブセッション」高橋キャプテンの協力を得てテストを進めた。

本国ではサスペンドやシンキングの「ビッグバンディット」であったが、ペンシルと同じロッドワークで、ボディを捻りながら左右へ飛ばすキレある特有のアクションが出た。そして想像していたとおり、コノシロ喰いのシーバスに効果は抜群。面白いほどバイトした。その光景は今でも忘れない。

その後、北欧仕様よりウエイトを軽く設定し、完全トップウォーターとして扱えるようにチューンを施した。更にシーバスに効果があった「シャラシャラ」とした軽いラトル音を追加させ、「JAPAN仕様」を作り上げたのだ。そして2017年に発売開始となった。今やありがたいことに、多くのアングラーに使ってもらっている。

ビッグバンディットとDボニート(写真上2つ)。

コノシロのような平べったいシルエットの「ストライクプロ社」の「ビッグバンディット195㎜」がシーバスに効くと思い、取り寄せ、ジャパン仕様として改良を加えたのがマングローブスタジオのビッグバンディットだ。

2017年のビッグバンディット発売前のテスト風景。とにかくシーバスが釣れまくった。

Dボニート230にヒット。左右にキビキビとドッグウォークする優秀ルアー。

ビッグバンディットの動かし方

さてこのビッグバンディットであるが、動かし方の基本は、縦方向、もしくは下方向のロッドワーク。1~2割の優しい力で水面のPEラインを軽く叩くイメージで動かす。これにより、左右へ動く “ドックウォーク”を演出する。

ちなみにこの動きは、決して規則正しくアクションが出なくても良い。意図的にテンポ乱れ崩れるアクションが、シーバスの捕食スイッチを入れてくれるからだ。シーバスの活性低い状況ほど、捕食の“間合い”のタイミングを入れてあげる。例えば1,2,3と左右へ動いたら、0.5、一呼吸? 二呼吸?(これが間合い)おいて、4,5,6と動かす。左右にドッグウォークしたあとに、ふらつくように動く。そんな動きにシーバスは突如浮上して襲ってきたり、スローにプラグを追尾してきてバイトしてくる。たとえミスバイトとなってルアーが飛ばされても、着地後バイト(おかわりバイト)する時もある。たまらない瞬間だ。そしていずれも早アワセは禁物。フッキングに至るにはアングラー自身の慣れと、経験値が試されることもある。

ビッグバンディットを動かすのは、ロッドティップを下げつつリールを巻くという作業。この動きを連続して行うことで、左右に動くドッグウォークを演出する。規則正しく動かさなくても、シーバスはヒットしてくる。

フックシステム

ビッグバンディットにおける私のフックセッティングを紹介しよう。
まず、オーソドックスに前後トレブルフックを装着。細~中軸2/0サイズをセットする。お勧めのフックは、「BKK/SPEAR21-UA 2/0」。接続する際のリングは、府フックのフレキシブル性を保つ為に2個付けにしている。

次にシングルフック仕様の「ランカーパーフェクトフック2/0」。ビッグバンディット用にシャウト!の協力のもと開発したフックだ。ベリーにツイン、テールにシングル仕様を装着する。

また腹のベリーのみにトレブルフックを装着することもある。この時はテールには2、3個のリングを装着してバランスを調整する。

これらをシーバスの捕食状況に応じて使い分けている。ちなみにフックは全てカエシを潰してバーブレスに。シーバスはリリースを前提とした釣り。そのため、釣り上げたシーバスは素早くフックを外し、むやみに魚体には触れず、蘇生には最善を尽くしてリリースしている。

 

ビッグバンディットプロモーション動画

ビッグバンディット「PR動画」でスローモーションでのバイトシーンを確認すると、100%ボディ真ん中~頭からバイトしている。

理想のタックルセッティング

ではどんなタックルセッティングがベストなのか? これまでやってきた経験から、私なりの考えを伝えたい。ここではビッグベイトと言える20㎝クラス、100g前後の大型ペンシルやジャークベイト系ルアーを使い、ロッドアクションとラインスラッグで操作していく時のオススメを紹介しよう。

まずロッドは、全長6~7ft。巻きモノには7~8ft。アクション時にロッドティップが海面に付いたとしても、軽快に操作を行える長さ、投げやすさ、遠投性を重要する。そしてロッドには、トルクフルかつノリの良さが必要となる。ちなみに6フィート以下の短く硬いロッドはオススメできない。ファイト時にタメが効き、バイトを乗せやすくバラシにくいロッドがベストだ。そんな性能を備えたものとして開発したのが「AVALON・アヴァロン6.6ft、7.0ft」と「BIGBANDIT/Stick・6.6ft、7.2ft」(このゲーム専用ロッド)というわけだ。

重いルアーを使用するからといって、硬すぎるロッドでは、バレも多く、そしてなにより楽しくない。トルクフルであるが、投げやすく操作しやすい長さ、そしてヒット後はシーバスの動きを適度に吸収するバラしにく柔軟性も備えていることが大切だ。

次にリールだが、100g近い大型ペンシルやジャークベイト系ルアーを長時間(6~12時間)ロッドワークで操作し続けるために、パーミングがしやすく、自重の軽いロープロタイプのベイトリールが使いやすい。愛用は「アンタレスDCMD」、「スコーピオン200MD」「エクスセンスDCSS」。自重200g台のリールが軽く疲労が少なく、一日中快適に操作することが可能だ。

一方、スイムベイトやバイブレーション、ウェイク系などの“巻きモノ”ルアーを使うこともある。これらは、遠投し一定速度、又はハンドルを使ったアクションで動かしていくが、そんなリーリングにオススメなのが巻き上げパワーのある「コンクエスト300XGLH」。剛性があり、強い巻きアワセにも対応できる。その他「スコーピオン300MD」もオススメといえる。

使用ラインは、ペンシルベイト等、ロッドワークの強弱でアクションさせるには、PE3~5号(バリバスSMP)をセレクトしている。ガイドリングをスムーズに通過し、巻き込み時に極力ノット箇所での引っ掛かりの少ない、PRやFGなどの摩擦系ノット(2㎝以内に仕上げる)でリーダーを繋げる。リーダーは、50~70lbのナイロンショックリーダーを1ヒロ(約150㎝以内)装着する。

また巻きモノには、PEラインでも良いが、低伸縮ナイロン(バリバスBBM)30~35lbをリーダー無しで、強化スナップ直結で使用するのもオススメ。適度なラインの伸びの特性を生かし、ヒットさせたらバレにくく、バックラッシュしにくいという利点がある。

その他、ルアーやカラーを脱着しやすく、時合のタイミングを逃さないようにするために、素早く交換できる強化スナップは必須。これはスイベル等が付いていないスナップだけの物。強度のある「BKKデュロックスナップ」「フィッシングファイターズ鉄腕スナップ」がオススメで、最近では脱着しやすく強度があるBKK社「ファストスナップ#3」もお気に入りだ。

トップウォーターで釣るのが最大の楽しみだが、状況によってはトップに出にくい時もある。そんな時は巻きもの系が出番になる。巻き抵抗が重いルアーを使うには、トルクフルなリールが必要だ。

最近、愛用しているスナップ。BKK社「ファストスナップ」の#3。プライヤーで広げることなく素早くルアーを装着することが可能。

 

シーズンと、この釣りでの心得

一般的に、ベイトの「コノシロ」は8~9月頃から出現し、俗に言う「コノシロパターン」が始まり、11月頃にピークを迎えるのが毎年のサイクルである。ただ最近ではコノシロを意識しなくてもヒットが得られることが分かった。

年越し後、表面水温8~13℃、深場に落ちた産卵個体が水深10~15m前後で待機するエリアがある。産卵回復個体を含め、コノシロに関係なく3月頃までビッグベイトにヒットしてくる。流石にトップには出にくいが、水深2m前後をトレースできるダヴィンチのような大型バイブレーション等でヒットが得られ、以前より長期に渡りビッグベイトゲームが楽しめるようになった。そんなことから年々釣行回数も増え、さらには東京湾だけに留まらず梅雨の山陰「中海」「宍道湖」でも同じタックルを持ち込んで「ビッグベイトゲーム」を満喫している。

東京湾はシーバスが豊かなフィールドではあるが、年々釣れなくなってきている。それでも諦めずにキャストし続けることで、ランカークラスと会うことができる。

島根県・中海でのビッグバンディットでの釣果。この楽しい釣りが、他のエリアにもどんどん広がっていくことを期待したい。

近年、ビッグベイトゲームの人気上昇に伴い、入れ代わり立ち代わり探られていることで、当然釣り場のプレッシャーが高くなっている。そのため大きいルアーであれば何でも喰うという時代は終わった。見た目、釣れそうに思えても、チェイスだけで終わりノーキャッチで終わってしまうことが多々ある。

そして、この釣りが末永く楽しめるようにする為には、一人一人の完璧なリリースが必要となる。リリース後も成長を続け、大きな個体のDNAの子孫を残してくれることを願いながら、この釣りを楽しんでほしい。

この釣りを末永く楽しむために、ヒットしたシーバスはダメージを与えないように素早く、しっかりと蘇生させてリリースしたい。

太くプロポーションの良い90㎝オーバー。最高の瞬間だ!

写真と文:上屋敷隆(マングローブスタジオ)
まとめ:アングラーズタイム編集部

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