速報!これからシーズイン!?

東京湾・湾口&城ヶ島エリアで
キャスティングで狙う寒サワラゲーム

例年、年明けして間もなくすると、東京湾湾口、神奈川県城ヶ島沖、相模湾といったエリアで寒サワラが釣れ始める。秋に東京湾内で釣れていたサワラよりも脂が乗り、まさに旬といえるサワラが釣れることから、サワラ好きのアングラーが動き始める。そんなサワラの様子を見に、2月下旬に城ヶ島から出船した。

東京湾・湾口&城ヶ島エリアで<br>キャスティングで狙う寒サワラゲーム

魅力いっぱい。釣り人を熱くさせるキャスティングサワラ

魚編に春と書いて「鰆(サワラ)」。この漢字からも分かるように、春が旬とされているサワラであるが、関東の東京湾湾口、神奈川県城ヶ島沖、相模湾といったエリアで冬が旬となり寒鰆とも呼ばれる。この時期のサワラは、ベイトをたらふく食べて太り、脂が乗り、その脂は醤油を弾くほど。トロリとした食味の良さから、サワラが回遊する海域には、釣り船とともに曳縄の漁師船が集合する。このサワラをルアーフィッシングで狙う場合、人気なのはプラグキャスティングだ。サワラの跳ねや鳥の動きを目視で確認し、船を素早く近づけて狙っていく。サワラの群れに対して、間合いを詰め、狙い撃つ。自ずと釣果をより得るためには、キャスティングの飛距離や精度といった技術が必要となるが、群れに近づく時のハラハラドキドキ感、ドンピシャでキャスティングが決まった時、そしてプラグに大型サワラが襲い掛かる様子が見えることから、ハンティング要素が高く人気なのである。

そんなキャスティングサワラは、ある日を境に一気に盛り上がる。その「ある日」は、正直いつ来るか分からない。そのため、その時期を予測して船を予約する人も多い。今回、釣行を計画してくれた記者の釣友の石井斉良さんもそのひとり。ここ数年、同行させてもらい、いつも良い釣果日を引き当ててくれる。そんな石井さんの誘いで、今期初の寒サワラを狙いに毎年お馴染みのメンバーが集結した。船は、神奈川県の城ヶ島に船を置く英盛丸。東京湾湾口、剣先沖、城ヶ島沖をメインに探る船だ。

さてその釣行当日だが、まだサワラは派手に釣れていない状況。前日に1回の跳ねがあった程度で、釣果は1尾。少ないながらサワラが入り始めたという感じだった。サワラは「昨日まで良かったが、今日はさっぱり」ということも多い。逆に、「当日、いきなり群れが入ってきた」ということもある。沖に出てみなければ分からないということだ。また、跳ねは少ないが、中層に反応が出ることもある。事実、昨年は跳ねは少ない状況の中、ブレードジギングやジギングで釣果を得ていき、その途中でサワラが跳ね始め、良い釣果を得ることができた。そんなことから、メンバーはキャスティング、ブレードジギング、ジギングといった道具を用意し挑んだのである。

サワラ狙いキャスティングゲームで東京湾口出港

まだ寒い季節だが、海上では熱いサワラ狙いキャスティングゲームが展開される3月の東京湾口、城ヶ島沖、相模湾。サワラの跳ねがあることを期待して出船。

粘り強くキャストをし続け探る

当日、船長から前日の様子を聞き準備する。船長曰く、「今のところ、サワラの数が例年より少ない」とのこと。その理由の一つに、カタクチイワシが今年は少なく、ベイトはマイワシだという。マイワシは、カタクチイワシと比べると塊にくい。そのため、跳ねもまとまらず、遠くで跳ねたとして船で近づいても間に合わないということも多い。

出船後、まずは近場の魚礁をジギングで探る様子をみる。朝一は、魚礁に周りに群れていることも多いという。しかし、こちらは無反応。ベイトになるマアジの反応は出るが、残念ながらそこにサワラは着いていないようだった。潮も動いておらず、すぐにサワラが跳ねることが多い海域に船を移動した。

今回、メインに探ることとなったのは、前日に跳ねがあったエリア。水深60mほどから30mほどまで駆け上がり、そこからまた水深60mほどまで下がっていく瀬。そこを筋を変えながら、ドテラ流しで船を流してキャスティングで探っていく。アングラーは片舷に並び、ミヨシに数名、ミヨシの一段下に1名、トモに1名といった立ち位置でキャストを繰り返していく。鳥のまとまりは周囲を見渡しても確認できず、跳ねは少ないことから、あちこち走り回ってサワラを探すのではなく、サワラが回遊してきそうなエリアで粘り強くキャストし続け探っていく作戦だ。サワラが回遊してきてルアーを見つけてくれることを信じて、キャストし続けるのである。

キャストを繰り返していく釣り人

ミヨシに3~4名、一段低い場所に1名、トモに1名という釣り座でキャストを繰り返していく。遠投して、長く引ければ、ヒットチャンスは増す。そのため遠投技術、サワラの跳ねに対して、キャスティングの精度はある程度必要。

タックルチョイス

サワラ狙いのキャスティングゲームは、ライトなキャスティングロッドとなる。サワラはシイラなどと比べると、そこまで強い突っ込みを見せないため、PE1.5号クラスのもので十分。飛距離を少しでも伸ばすためにも、1.5号がベストといえる。リーダーは、ナイロンの30lb、40lbだ。ロッドの長さは飛距離を伸ばす理由から、7フィート半から7フィート後半、8フィートほどが良い。最近は全国的なサワラ人気によりサワラ対応のモデルが各社から発売されているので、その中から選べばよいだろう。

プラグは、ある程度の遠投性能を備えるウエイトがあり、水面直下、水面から1mほどを引くことができるシンキングプラグ、ミノータイプ。サイズとしては、ベイトサイズに合わせるのが基本となり、カタクチイワシがメインベイトなら120~130㎜。ただカタクチのサイズが小さいことも想定して、一回り小さいものも用意したい。ちなみに、今回の釣行では、マイワシがベイトということもあり、さらにサワラに見つけてもらいやすい、遠投して長く引けるという観点から少し大きめのものも用意したほうが良かったと感じた。150、160、170㎜ほどのモデルだ。実際、船長も乗船アングラーに「大きいプラグも持ってきていない?」と聞いていた。

プラグ

記者が用意していったプラグ。カタクチイワシがベイトであると予想し、120~130㎜のルアーをメインに持ち込んだが、結果的にはワンサイズ大きいプラグも持ってくればよかったようだ。ちなみに左上からマングローブスタジオ・ストライクジャーク(120㎜、35g)、アトゥーラ(120m、35g)、右上からアトゥーラ(90㎜、28g)、スミス・ルーディッシュ95S(40g)、ジャクソン・ピンテールチューン(120㎜)、サプライズ・スギペンシンキング(110㎜、32g)。

プラグの動かし方としては、速めのスピードでのただ巻きが基本。その中で、たまにアクションを入れる程度だ。あまり左右に動かすと、アピールは大きいが、結果としてサワラが捕食ミスをする。サワラは直線的に動く魚。狙った獲物に対して突っ込んできて捕食するのだが、捕食する間際でルアーが大きく動いてしまうと喰いきれず、結果としてサワラの歯でリーダーが切られてしまうことがあるので注意したい。

リール

プラグ種類としては、左右に激しく動くタイプでななく、直線的に震えながら動いたり、スラロームするような動きを演出するミノータイプやシンキングタイプを使用。速めの動きが効果的。ブレードジギングで探る場合も、速めだ。

ちなみに今回のように、サワラが跳ねない時の対処法の一つとして、今や大人気のブレードジギングがある。英盛丸の場合はキャスティングがメインだが、サワラが跳ねずに長く流しながら探っていく時は、キャスティングする舷の逆側でブレードジギングをやることができる(船長に確認してからやること)。風の強さ、潮の速さにより軽いブレードジグでは底を取れない時もあるので、幅広くウエイトを用意しておきたい。ちなみに、この海域で冬場サワラを探る船は、それぞれキャスティングメイン、キャスティングとともに状況によってブレードジギングもOK、ジギングのみなどがある。自分のやりたい釣りに合わせて調べ、予約時に確認しておきたい。

ハリ外し 偏光サングラス

サワラは歯が鋭いため、キャッチの後のハリ外しや魚の移動などでは道具を使用したい。また、サワラを探す、目の保護という理由から偏光サングラスも必需品。

諦めなければ、チャンスはある。

今回、7名の乗船であったが、常に4、5名はキャストし続けた。そして結果として、キャスティングでまずは1尾のサワラをキャッチ。その後、中層の反応に対してブレードジギングで1尾追加。その後、ブレードで釣れたからといって、船中のキャスティングゲーム好きアングラーはブレードジギングに浮気せずに同じようにキャストし続け、追加で1尾。合計3尾のサワラが船内に取り込まれた。ちなみに、ハリ掛りには至らなかったが、その間に数回、キャスティングでアタリを捉えた。キャストし続ければ、チャンスがあるということだ。

今年はマイワシの漁獲量が増えているという。一方、カタクチイワシの漁獲は減りつつある。関東で釣りをしていて、カタクチイワシの減少は身近に感じる。これはカタクチイワシの乱獲によるものなのか、はたまたレジームシフト(水温や気候が数十年周期で急激に変化する現象)による魚種交替によるものなのか、いわゆる海洋温暖化によるものなのかは分からないが、ベイトフィッシュの減少は例年回遊してくるフィッシュイーターの減少にも繋がる可能性がある。今回の海域でのサワラは、3月頭現在、少しずつ上向きになってきている感じがするが、よりキャスティングで釣れるようになるためのカギは、やはりベイトフィッシュの回遊だろう。いずれにしてもマイワシが今よりも多くなるか、はたまたよりサワラの跳ねが活発になるカタクチイワシの多く押し寄せるか、どちらかを期待したい。そして、それに合わせてアングラーはルアーサイズを吟味し、万全なタックルでチャレンジしてほしい。

サワラ

キャスティングでキャッチした1尾目。跳ねなど何もないところから、突然飛び出した。

ブレードジギングで釣ったサワラ

2尾目はブレードジギングで。マイワシがベイトということもあり、シルエットが大きめの100gほどのジグにブレードを装着してキャッチ。

サワラ

諦めずにキャストし続け、ナイスサイズをキャッチ。諦めてはいけないということを証明した。

取材協力遊漁船:英盛丸 https://senkin.net/eiseimaru-s/
写真と文:大本英則

SHARE
  • Twitter
  • facebook
  • LINE
  • link