SPJの名手・西本康生とSOMが探究して完成させた!

スレた青物のショートバイトを逃さず、
掛かればしっかりホールドする!
シングルフック・青技 太地20号、23号、25号

どんな釣りでも、名手になればなるほど釣り鈎にこだわる。それは、ハリの違いだけで釣果が大きく異なることを多くの経験から得ているからだ。そんなことから、スローピッチジャークの名手である西本康生さんも、ターゲットごとにフックを慎重に選ぶ。そんな西本さんの想いが詰まったフックが、2024年春にスタジオオーシャンマークから登場。すでに発売されているフック・青技(SEIGI)のパワーモデルの追加ラインナップだ。このNEWモデルについて、西本さんと実釣とともに話を伺った。

スレた青物のショートバイトを逃さず、<br>掛かればしっかりホールドする!<br>シングルフック・青技 太地20号、23号、25号

スローピッチでの青物狙いに特化したフック「青技」

釣り鈎は、ハリ先の僅かな角度の違い、ハリ先の形状、魚肉をホールドする箇所、線径の太さなどによって刺さり方が異なる。まずは魚にどのように刺していくか? 魚肉にハリ先が立った瞬間に刺さっていくが、口内に入った瞬間に素早く刺すのか、口内で移動させてから刺すのかなどでデザイン、サイズが変化する。またハリ先が触れた瞬間にスッと奥まで刺すのか、魚の動きやジグの重さなどでズブズブと刺すのかによっても、形状は異なる。また対象魚や釣り方によっても、ベストなフックは異なり、選ぶ必要がある。より魚を掛けたい、獲りたいとなれば、様々なことを考えなくてはならない。そして考えれば考えるほど、奥が深く面白いのが釣り鈎選びの世界である。

2013年、スタジオオーシャンマーク(以下SOM)は西本康生さんの協力のもと、オリジナルの釣り鈎の製作に着手した。大手の釣り鈎メーカーに依頼してフック、アシストフックを作るのではなく、播州の釣り鈎屋と知り合ったのきっかけに、スローピッチジャークにおいて西本さんが考える理想のフックを発売するためオリジナルのフックを作り始めたのだ。その後テストを繰り返し、3年の月日を費やし2016年に完成。それが「青技」のオリジナルモデルだ。

青技オリジナルモデルの開発当初、発売されていたスローピッチジャーク対応のアシストフックは、根魚狙い、中深海狙いのフックが多かった。ただ、時代が進むとともに、スローピッチジャークでスレたヒラマサやカンパチ、マグロ類など、大型の青物系を狙うことが多くなった。ハイピッチジャークで攻める青物狙いと、根魚や中深海で使用するスローピッチ用のアシストフックの一般的なものをそれぞれ見てみると、釣り鈎の形状が大きく違う。青物狙いのハイピッチジャークでは、魚が勢いよく喰いつき、その時のジャークそのものがフッキングになるため、線径は太くてもよく、勝負できる強さを持ったものが多い。一方、スローピッチジャークは、ジグアクションの間に喰わせるためのフックイサイズで、ライトラインでもフックが素早く掛かることを想定して線径が細いものが当時の主流であった。そんな中、SOMではスローピッチジャークによる対青物のフック形状とは何かを模索し、青技20号、23号を完成させたのであった。

https://studio-oceanmark.com/products/seigi/

写真はフック・青技シリーズに加わった青技太地モデル。ラインアップは、20号、23号、そして新たなサイズ25号。青物の口内に入りやすく、アクションの間でも刺さりやすく、そしてカンヌキ、カンヌキ付近に掛かりやすい絶妙な形状を追求。西本さんが、数々テスト釣行を経て完成させた。

更に大型青物をスローピッチで狙うよう時代に

青技の発売から8年の時を経て、スローピッチの釣りも進化した。
「ラインはより強くなり、従来のタックルでより大物青物を狙えるスキルが身につき、フックの絶対強度とサイズ展開が求められるようになりました。そこで従来からあった20号と23号の線形を上げた太地モデル、そしてより大物を狙う25号を新たに作りました」(西本 )

ハイピッチとスローピッチジャークは、以前よりも境界線が曖昧となってきている。ハイピッチ系のタックルのラインも細くなり、ロッドアクションもハードからソフトへと変化してきた。その中で、フックだけが従来のフックサイズから抜けきれていないアングラーも多く、折角ヒットしてもフッキングが甘くなり、ファイト中にポロリと抜けてしまうことが多いと感じる。またスローピッチジャークメインのアングラーは普段使うワイドゲーブのフックをサイズアップするが、フック形状からスレなどのファールフックが多く、ファイト中に身切れなどでフックアウトしてしまうことが多い。
「新しい青技は、ハイピッチを主とするアングラーからはひ弱に見えてしまうかもしれませんが、従来モデルと同様に小鯛鈎をベースにしてあります。この形状は、ナローゲーブゆえに口周りに掛かるファールフッキングが少なく、しっかりとカンヌキ、カンヌキ近くの口内に刺さり込み、ロングシャンクはテコの原理が働き、ハリ先を深く差し込んでいきます。また、ツインフック利用の際は、小型軽量フックゆえに2本のハリが口内に入り、カンヌキを捉えることが多い。フックサイズからは想像ができない程の大物を難なくキャッチすることが可能です」
ファイト中にバレに繋がるのは、スレや唇などの掛かりどころの悪さから起こることが多い。またフックが伸びてしまうというトラブルは、ハリがフトコロまで刺さりきっておらず、中途半端なハリ掛りから起こる。青技太地は、ハイピッチで使うフックよりも線径は細いが、口内により確実に入り、フッキング位置の理想的な場所であるカンヌキ、カンヌキ付近に素早くハリ奥まで掛かることで大型魚にも対応するのだ。また、カーブポイントよりハリ先が立ちやすいストレートなポイントに設計したことで、フォールでのバイトもしっかりとハリ掛りまで持ち込んでくれる性能になっているのだ。

しっかりと口の中にハリが入り、さらにカンヌキ、カンヌキ付近にハリが貫通することで、バレは少なくなる。青技は、その性能を目指し完成させた。

ハリがカンヌキにしっかり掛かり、ファールフッキングを起こしていない状態なら、掛かった魚もおかしな動きが少なくよりスムーズに寄せられる。より大型魚を手にできることに繋がる。

ファールフッキングが少なければ、リリース時にも余計なダメージを与えずに済む。

鳥羽で最終テスト。良型は全てカンヌキに。

今回、製品発売が間近に迫ったタイミングで、青物ジギングが人気の三重県鳥羽に西本さんと撮影釣行に訪れた。冬場のブリラッシュはひと段落しており、撮影での乗船をお願いした人気船キャスティングヒートの山本船長からは「少し厳しいかも?」と言われたが、ワラサクラスは可能性があると判断し、青技20号、23号をメインに使用して、その性能を見させてもらうことにした。

結果としては、前半の水深70~60mのエリアでワラサクラスを西本さんはサクサクと釣り上げ結果は上々。ボトムから10mほど少し速めの巻きで誘い、そこからスローピッチでフォールを入れながら誘うとヒットしてくるというパターン。巻き上げからフォールに入ったタイミングでのショートバイトが多かったが、どれも前後どちらかのフックがカンヌキ、カンヌキ付近にしっかり掛かり、どの魚もすんなりと寄せられてきた。
「今回は、魚のサイズがそこまで大きくないので、20号と23号を使用しています。この2つに加え、新しい25号がありますが、僅か3サイズの開発に多くの時間と試作と釣行を重ねました。ハリのシルエットはオリジナルモデルをベースとし、とにかく刺さりやすく、そして掛かった魚をバラさないフックに設計しました。大物狙いなので、しっかりカンヌキを抜いて、がっちりファイトでき、そしてバラさないという考えで作ったフックです」

ちなみに今回の太地モデルのテストについて西本さんに聞いたところ、2019年には既にテストを始めたとのこと。今回の青技太地モデルは、5年のテスト期間を経て完成に至ったようだ。ちなみにそのテストは、様々なターゲット、場所で行われた。まずは、2019年に遠征したカナダのキングサーモンで使用。その後、小笠原でカンパチをはじめ多魚種を釣り上げ、さらにマグロ釣行では20号太地で20kg、23kg太地で30kgのキハダを、25号においては50㎏以上のクロマグロをキャッチし、フックの変形も最小レベルだったという。

撮影日は乗合船で出船し、序盤はワラサクラスがポツリポツリとヒットする展開。西本さんも、そのタイミングでヒットパターンを把握し、コンスタントにヒット。

西本さんの使用タックル。
ROD:Deep Liner・LOGICAL60 #3、LOGICAL PRIME55 #3
REEL:Studio Ocean Mark・Blue Safari35、BLUE HEVEN L50-20th
LINE:X BRAID・ODDPORT #2+フロロカーボンリーダー14号
Berkley・Super FireLine COLORED #1.5+ロロカーボンリーダー10号
SPLITRING:Studio Ocean Mark・TRACK SPLIT RING M5

メインタックルのリールは、Blue Safari35を使用。ウイングドラグを搭載したモデルだ。このウイングドラグは、あらかじめ設定したドラグ値からワンクリックで400~500gのドラグの上下が可能なドラグレバー。西本さんは、青物狙いの場合には、センターの位置で使用ラインに合わせてドラグを設定し、魚の動きに合わせてドラグを操作している。ドラグ操作することで、ラインブレイクはもちろんのこと、フックアウトに繋がるフッキングした部分のハリ穴を無暗に広げるのを避け、フッキング場所が悪く浅掛りの場合のフックアウトも最小限に食い止めることが可能に。

ハリごとのこだわりが詰まったラインナップ

西本テスターの釣り鈎へのこだわりの根底にあるのは、フックサイズと対象魚との合性であり、1サイズ決まったら等倍にサイズアップやサイズダウンするといったことでは到底納得せず、1サイズ毎に開発。このスタイルに、SOMも賛同。更に、従来の青技と同様に仕上げにもこだわったという。
「モデルごとに線径を少しずつ変え、ハリ先の長さと向き、耳の角度、カエシの大きさを微妙に変えながらテストを重ね、納得のいく形状まで詰めました。また、アシストモデルは、スローピッチジャークをメインとするアングラーが一眼でわかる高品質な巻き仕上げになっています」
細めのアシストラインに最小の張りを持たせるフロロラインを使用し、セキ糸の巻きが難しい袋刺し仕上げにより、セキ糸部のシルエットを細く仕上げている。抜き刺し仕様では、シルエットが太くなることでアシストラインが舵効果を生んでしまい、ジグの動きが変化してしまうことがある。袋刺し仕上げは、一部のアングラーが個人使用として作っていた方法だが、量産化は非常に難しい。そこでアシストフックの組工場へ出向き、技術の高い職工へ技術指導することで完成に至ったという。

ブリ、ワラサ狙いなら、太地20号、太地23号がベストサイズ。そして新サイズの太地25号がラインナップ。どれも僅かに形状が違う。

アシストラインは高品質な巻き仕上げを採用。量産化が難しい製作方法だが、アシストフックの組工場で職工へ技術指導を行うことで製品化に繋げたという。

ちなみにラインナップは、従来モデルの青技シリーズのアシスト仕様は、20号、23号のツイン25mm、35mmであったが、今回の追加モデルの 20号太地、23号太地はツイン30mm、35mm、40mmのアシスト仕様、25号太地はシングル30mm、35mm、40mmと、全8アシストがラインナップ。これらのフックで、日本近海のスローピッチジャークによる青物狙いを、ほぼカバーすることができるだろう。

ジグは、状況に合わせて当りパターンを見つけられるように各種用意。フックもダブルのアシストから、各サイズのシングルバージョンも用意し、ジグの動きの変化をみつつ攻めていた。

上級者ほど釣り鈎にこだわり、持論を持っている。これはそのアングラーが体得した釣り方と、それに合った釣り鈎の答えを見出しているから。それは、ハリ先の鋭さや強さだけが重要というのではなく、狙う魚が自分の動かしているルアーにどうやってアタックしフッキングしたかという想像力と、これまでの釣果の積み重ねからの結果である。あなたの釣りには、どんなフックがベストなのか? それを考えるのも釣りの面白さの一つである。そしてジギングにおいてスローピッチジャークで大型の青物を狙うのであれば、今回の青技太地がその答えのひとつになることだろう。

上級者になればなるほど、フックの良し悪しが分かるようになる。自身のジギングスタイル、狙う魚種、そして魚がどのように喰ってくるかを想像し、よりベストなものを選べばバレは少なくなる。今一度、どのようなフックが自分に良いのか考えてみてほしい。そこには深い釣り鈎の世界があるはずだ。そして、その中で青技が気になったならば、ぜひ使ってみてほしい。

「YouTube動画でも、西本康生さんによる青技太地の解説を公開中!」
https://youtu.be/MzZ7OiUromo?si=c5SfPtlM_Z747p16

取材協力:スタジオオーシャンマーク
https://studio-oceanmark.com/

取材協力船:キャスティングヒート(三重県鳥羽)
https://casting-heet.com/

まとめ:アングラーズタイム編集部 大本英則

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