オフショアワールド vol.19
オフショア実釣。
冬の玄界灘
ヒラマサ道場の長崎県対馬で寒稽古開始
1月はヒラマサを求めて長崎県対馬に毎年入っている。1年のスタートをヒラマサから始める。何年も続けている私の恒例行事だ。1月から桜の開花が始まる3月末の期間は、海の様子も変化が激しく、狙い方の難しさの中にある技術確認が釣りを面白くさせてくれる。1月は秋からの様子と冬のパターンを考えながらの実釣で楽しんできた。その様子を紹介したい。
長崎県対馬。通い慣れたフィールドの匂い
世の中は、新年が明け、その後は成人式に。人の動きも多く活気に満ちていた羽田空港。今回の対馬ヒラマサ行脚は、北海道からと本州各地からの参加者で楽しんだ。参加する8人が合流したのは、福岡空港の対馬行きの搭乗口。前準備も完璧に出来ているベテラン揃いなだけに、引率の私も気持ちが楽。対馬へ前日入りをして、3日間の釣りを楽しむスケジュールだ。意欲果敢にヒラマサを狙っていく。今回も春漁丸の春田船長親子が舵を取り、冬場のメインポイントとなる魚礁をジギングで狙っていく。
初日は東沖の上対馬まで船を走らせた。春漁丸が停泊している樽が浜港から上対馬、比田勝沖までは航路50分。海況はベタ凪で気持ちよい航海の中、ポイントまで走る。対馬の周辺には多数の魚礁が点在している。親潮の黒潮が対馬暖流となり、島全体を包むように北上する。魚類にとって対馬の島全体が捕食場となり、滞留出来る最高のエリアとなっている。イカ、アカムツ、クエ、マダイといった市場でも価値のある魚種や養殖魚などが一年を通じて捕獲できることもあり、漁業者を支えてきた。暖流の恩恵に授り、漁協は島の漁師を養うためにも東沖、西沖に魚礁を設置している。
ヒラマサ狙いは、夏は深場と浅場の瀬、冬場は魚礁につく。四季に応じたヒラマサの着き場を把握しており、ヒラマサを様々な狙い方で探っていける島でもある。だから私は通い続けている。回遊がなければ成立しない釣りではなく、暖流によりベイトの行動に合わせて生息域に変化があるのが一番の魅力。これを理解すると対馬のヒラマサゲームがより深くなり、面白さをもたらせてくれるのだ。初日は上対馬の魚礁。ここから狙う。今回の3日間の狙い場の中心は、魚礁狙いだ。
魚礁と瀬周りのジギングでの狙い方
冬シーズンの魚礁狙いで大切なのは、ヒラマサの捕食しているベイト(餌)を知ることだ。夏場の浅い瀬周りで掛けるヒラマサは、口周りが発達してギザギザが強い。浅場では甲殻類も捕食しているからだ。一方、冬場の魚礁周りに着くヒラマサは、イワシやイカの子などがベイトになるため、口周りのザラザラ感が夏場に対して少ない。自論ではあるが、四季を通じてヒラマサを対馬で追い続けてきた経験から感じ取ったものだ。これを理解してもらえれば、ジギングでメタルジグを操作するしゃくり方も変わってくるだろう。
ポイントは100m。魚礁から少し潮下に船を置き、上る潮に合わせて魚礁を船が通過していくドテラ流しでの探り方になる。潮が動き出すとベイトが魚礁に対して広がる。広がるベイトを追い回すように、ヒラマサやブリ、マダイの行動も活発となる。「潮が動けば魚が食う」。この意味はこういった理由があり、潮止まりになるとベイトは最低限の身を守るために群れにはなるが、そもそもヒラマサが捕食意欲がなく、ベイトに緊張感がない。そんな説明をアングラーに伝えて、実際私もしゃくってみる。
今回は実釣を激しくやるよりも、冬場の状況を理論的に見てみたかった。釣れるタイミングは、どんな船の流れで、さらに魚探に映るベイトはどんな動きをしているのか。これまで釣れる時に必死に釣ってきた私としては、指を咥えなければならない場面でもあったが、その時の状況をどうしても知りたかったため、しゃくるのを少し控えめにし、船全体の動きや釣果の流れを把握するようにした。
船はポイントにトモ(後方)から入っていく。中層ではワラサ(ヤズ)がポツポツと当たり出してきた。そんな中、大トモの瀬田さんが猛烈なバイトを得た。Gummy fat 200gでボトム中心に狙っていた瀬田さん。ボトムから5シャクリでバイト。使用していたペンリールのスラマードラグでファーストランを受け止め、そこからは無理をしないファイトで浮かせてきた。「デカい!」。タモ入れする春田若船長が叫ぶ。瀬田さんは慎重過ぎるほど丁寧にファイトしており、後に聞いたら「重くて巻けなかった」と教えてくれた。無事ランディングして測量すると、10.3kg。初日からの10㎏オーバー。これが対馬のポテンシャルだ。
他のアングラーも気合いが入る。潮が効いているタイミングでしゃくり幅を大きくせずに、魚礁に着くベイトを意識した誘いに軍配が上がった。活性が高いタイミングに派手なアクションを入れると、ヤズの攻撃を喰らう。冬場の魚礁狙いの典型的パターン。経験値でそれを避け、的確にターゲットをキャッチした瀬田郁夫さんの釣果は見事であった。初日の冠は、10.3kgヒラマサ。翌日も好条件は続いた。ただ、潮が効いていないタイミングの時に魚礁は沈黙する。私はダメを承知で瀬周り狙いを提案した。
「ケイさん(瀬周りが)好きやしね」と若船長が笑いながらポイント提案を引き受けてくれた。これからが、私のマストパターンに繋がっていく。
平松流のマストパターン
私は漁師船をずっと見ていた。今回はガチなアングラーではなくサポートや知識研究も深めた釣行と決めていたので、人の動き、潮の流れ、ベイトの反応などを意識してチェックしていた。同船者はわかっていたと思うが、操舵室での滞在時間も今回は長かった。釣れる理論が得たかったからだ。漁師船はサワラを狙ってヒコーキを曳いていた。1月の半ばにサワラ漁。少し時期がズレている。海水温もまだ落ち切っておらず、握るメタルジグが温い。秋の瀬周りを探るパターンを組んで見たかったのだ。これが、見事に的中した。
船を厳原沖に走らせ、70mラインへと入ってもらった。ヒラマサを狙いたい。今、魚礁ではヒラマサ3に対してブリが7。数ある魚礁はこれに近い状況かもしれない。「瀬周りがダメなら魚礁に戻ればよい」と考え、1月の瀬周り狙いをする。春田船長らは、様子を伺っていた。移動中に潮回りを予想し、瀬周りの潮は効いてきた。案の定、ヒラマサが連発し始めた。サワラ漁師船の行き来するポイントなだけに、サワラにやられてジグをロストするアングラーもいた。私も2発やられた。しかし、ヒラマサの匂いがプンプンしていた。
瀬流し狙いはジグのウエイトさえ合えば、広く探れる。見事だったのは、細野さん。彼も対馬の常連で、過去魚礁でラインを飛ばされたりと苦い経験も持っている。瀬周りで上手い具合にジグを操作させたのは、やはりサワラ漁のおかげだと気付いて言っていた。9kgクラスを連発する。船の流れと同調するようにトレース出来るジグウエイトを選び、中層までをしっかり探れるジグで攻めていた。バーチカル狙いになりがちなKEI-JIG SHARP235gを扱い、ヒラマサを引き出していく。他にマダイも連発。ベイトが動き回っている証拠がそこにはあった。あれだけ魚礁で釣れていたヤズの姿は少なく、ヒラマサメインで喰ってきた冬場の瀬周り。KEI-JIG SHARP 235gを潮と船の流れに同調させ、ヒラマサを的確に当てていくテクニックを是非覚えておいてほしい。平松流マストパターン。「平松案マストパターン」と言えるのではないだろうか。
1月の長崎県対馬ヒラマサ釣行。Goldicツアーとして引率、ガイドを中心に釣行。今回は釣果に徹底した時間以上に「なぜ釣れるのか」を考えてロッドを振る以上に状況把握を努めた。今回得た情報は、自分が持っていた知識と重ね合わせて分析する素晴らしい時間になった。釣れた。釣れなかったと結果を報告することも必要であるが、現場で状況を見抜く思想やチカラも養えることができた釣行会だったと思う。次は3月。ド級ヒラマサが狙えるシーズンに突入する。目的を持ちフィールドに立っていきたいと思っている。
ジギングタックル
ロッド:PENN・Slammer PHK-63ML(プロトダイプ)
PENN・Slammer PHK-63M
リール:PENN・Authority 6500HS
PENN・Slammer DX 6500
ライン&リーダー:サンライン X8フルコンタクト 4号&ツナギート12号、14号
ルアー:K-FLAT・Gummy200g、220g
Gummy-fat180g、200g、235g
KEI Jig200g、235g
KEI Jig シャープ200g、235g
テストベイトロッド:6.2フィートMHクラス
リール:PENN・Fathom2 2スピード25NL
ライン&リーダーは、スピニングタックルと同じ
フック&パーツ:オーナー・ハイパーワイヤー♯7、ソリッドリング6.5mm
JS-39 ブルーチェイサー11/0、9/0
偏光グラス:zeal optics vero2モデル
春漁丸
春田直実船長 拓也若船長
拓也若船長 080 3970 4909
http://shunryomaru.com/
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