刺さりやすさ、ホールド性を両立!
幅広い青物、大型青物に対応するアシストフック
スタジオオーシャンマーク「青技太地」
その実力を久米島で検証!
2024年春、スタジオオーシャンマークから発売されているフック、アシストフック「青技」に、線径を太くしつつ改良された「青技太地(せいぎ ふとじ)」モデルが追加ラインナップされた。このモデルは、従来のモデルから安易に太くしたのではなく、各アイテムいちから開発し、形状を突き詰めていったもの。一見、細軸ではあるが、大型青物にも対応する性能を備える。そこでその実力を再確認するために、沖縄県久米島にキハダを狙いの釣行に同行し、取材させてもらった。
形状によるフックの性能と、大型青物に対応する「青技太地」
大型魚狙いは、一日に何度もヒットチャンスは訪れない。その少ないチャンスを、しっかりとフッキングまで持ち込み、確実にランディングに持ち込むために、スタジオオーシャンマークが2024年の春に発売したのが「青技太地」。20号と23号モデルははダブルアシストフック仕様、より大型魚に対応する25号はシングルアシストフック仕様で登場となった。
フックは魚との接点。フックの良し悪しで、釣果は変わる。では良いフックと言うのは、どのようなものか? フックを選ぶうえで重要なのは、その釣りに合っているかどうか、どうジグを捕食させてフッキングさせるかである。
ジギングの場合、速いテンポでしゃくる釣りと、スローテンポでしゃくる釣り、ジグのフォールの動きで喰わせる釣りなどがあり、スタイル毎により良いフックが存在する。例として、速いテンポでしゃくるジギングは、巻き上げの途中にバイトがあり、そのままフッキングの動作になり、しっかりとフッキングする。そして、根際でのヒットの時などはハイドラグで根から離さなくてはならない等を想定していることから、太軸、中太軸のフックを使用することが多い。それらのフックの中に、一旦口の中に入ってから、口内を滑らせてカンヌキに掛かるように設計されたハリ先がネムっている物と、触れた瞬間に刺さり始めるハリ先がストレートの物が存在する。いずれにしても、太さがあることで刺さりにくいため、力強い向こう合わせ、もしくは自身でしっかりとした合わせを入れなければ半掛かり状態になってしまうことも多い。
一方、スローピッチジャークの釣り、フォール主体の誘いの釣りは、深場のアカムツやキンメ、根魚狙い、近海の青物によって広がりをみせた経緯と、巻き上げでのバイトが少ないことから、刺さりやすさを考慮して細い軸のフックをメインに使用する。抵抗の少ない細軸で、ハリ先が魚肉に触れた瞬間にフッキングさせる考えだ。しかし、スローピッチの釣りで狙うのは、小型の魚だけではない。大型魚のスレた個体、魚の活性状況によっては、スローピッチジャークで狙うこともある。そして多くの結果が出ている。この時、やはり細軸のフックでは強度面で不安がある。そこで以前はハイピッチで使用するような軸が太めのアシストフックを使用する人が多かった。だが、フォールでのバイトなどではしっかりと刺さりきっていないことも多く、バイト後のフックアウトに繋がってしまうことも多々あった。そこで、そんな状況に対応するべく開発が進められたのが、「青技太地」なのだ。
太地モデルの開発と、その性能
青技太地モデルは、2016年の発売したフック「青技」20号、23号を現代のスローピッチジャークでの青物狙い用に改良を施したもの。もともとの青技も、スローピッチジャークにおける青物攻略フックとして発売されたモデルだが、発売時からラインは強くなったことで、鈎にもパワーがより必要になった。さらに大型の青物をスローピッチジャークで狙うノウハウがより高まった。いまや、キハダ、大型ヒラマサ、カンパチはもちろん、クロマグロにおいてもスローピッチジャークによって攻略されている。そこで新たな強度とサイズ展開の必要性が出てきたのである。
「ハイピッチで探るアングラーからはひ弱に見えてしまうかもしれませんが、小鯛鉤をベースデザインとしたこの形状は、ナローゲーブゆえに口周りに掛かるファールフッキングが少なく、しっかりとカンヌキに刺さり込み、ロングシャンクはテコの原理が働き、鈎先を深く差し込んでいきます」。開発に携わったスローピッチジャークの名手・西本康生さんは語る。
今回の太地モデルは、以前のモデルの線形を太くしただけでなく、独自に形状を開発。さらに西本さんが号数ごとに、様々なことを想定し、数々の実長テストを経て形を詰めていったとのこと。そのため開発には長期間を要した。ちなみにシングルモデルは大型魚対応というのが分かるが、ツインフックにおいては小型軽量フックのため、口内によりしっかりと入る性能。2本の鈎がカンヌキを捉え、フックサイズからは想像ができない程の大物に対応するという。
実釣テスト。カンヌキに刺さる性能が一番!
今回、青技太地フックの性能を今一度確かめるべくスタジオーシャンマークの大塚隆さんの沖縄県・久米島釣行に同行。大塚さんは毎年、数回は久米島に訪れており、この地で西本さんとともにキハダ狙いのスローピッチジャークを確立、そして広め、数々の大型キハダをキャッチしてきた。もちろんこの地でも青技太地のテストは繰り返されてきたが、その実力を今回、見せてもらうというわけだ。メンバーは、大塚さんを含め5名だ。
ちなみに大型魚釣りにおけるベストなフッキングは、カンヌキに刺さること。カンヌキはフックの奥まで刺さりやすい箇所であり、そして外れにくい。カンヌキに指すことだけを想定したエサ釣り用のフックには、フックポイントが極端にネムっていて、口内に吸い込まれたフックが魚の反転とともに口内を移動してカンヌキに指さるフックもある。ただ、ジギングの場合は、ジグがあることでフックが口内の奥まで入りきらないこともあり、ある程度、刺さりやすい鈎先形状が必要となる。そのため、他のジギング用のハリ先が内側に入っているフックも、極端には曲がっていない。ただ、スローピッチジャークのジャーク中、ステイ時、フォール中のバイトを拾うためには、より素早く刺さる性能が必要だ。そこで今回の青技太地は、ストレートポイントを採用しつつ、ナローゲイプにし、鈎先の向き、長さ、耳の角度などを絶妙に設定し、ジグの動きの中でフックがカンヌキ、カンヌキ付近に的確に刺さるようにテストを繰り返し、最終的な形を作り上げたのである。
さて、ここで簡単に久米島のキハダの概要を解説しよう。久米島キハダは、パヤオに着いたベイトを捕食しに回遊するキハダを狙っていくスタイルとなる。ルアーで狙う場合は、ジギングがメインとなり、探る水深は反応によりまちまちだが、80~230mと幅広い。船長が大型、良型の反応が出ている層をアナウンスし、その水深の少し下から探っていく。この時、ジグをスローピッチジャークでしゃくり上げ、長めのフォールを入れて探っていくのが最もヒット率が高い。そしてバイトはフォール時がメインとなるため、ジグのテール側だけにフックを装着する。上下にフックを装着しても良いが、片方がフッキングした後に、もう片方のフックが余計な場所にフッキングすることで、キハダをコントロールしにくくなる。それを避けるためのテール側のみのフック装着だ。
今回、船長の話では、僕らの前の釣行では喰いが渋かったとのこと。反応はあるが、なかなかフッキングまで持ち込めないようだ。そこで、フックが軽くより口内にフックが入りやすい23号太地の40㎜(ダウブルアシストバージョン)を大塚さんはメインにセレクト。同行のメンバーにも「各サイズ、それぞれバランスを調整して作り上げたフックです。カンヌキにしっかりと刺さりますので、試してみてください」と伝え、持参したフックを使用してもらった。
ブルーヘブンL50、L80
https://studio-oceanmark.com/products/blue-heaven-100-80-50-30/
ブルーヘブンL50-20th
https://studio-oceanmark.com/products/blue-heaven-l50-20th/
喰いが渋い状況でダブル、大型魚により安心のシングル
さて、久米島での実釣の結果はというと、初日の最初のキャッチは同行の松井さんであった。キハダジギングのファイトを数多く経験しており、巻きどころでしっかりとプレッシャーを掛けながら巻き上げ、30㎏ほどのファーストキハダをキャッチ。フックは25号太地シングルを使用していた。続けて、同行の堤さんが良型のメバチをキャッチ。こちらも25号のシングル。どちらもがっちりとカンヌキ付近を貫いていた。さらに松井さんは、もう一尾追加。その後、大塚さんが水面で子トビ(小型トビウオ)を追いかけているキハダを見逃さずにプラグキャスティングで掛け、30㎏ほどを1本キャッチ。その後に大塚さんはジギングでもヒット。こちらも同サイズのキハダ。ジギングの釣果では、23号太地が2本ともカンヌキをしっかり貫いていた。初日はこれで終了となった。
そして2日目は、朝早い段階で大塚さんがキャスティングで1本キャッチした後、ジギングで同行のJIGRIPの小野さんがキャッチ。さらに大塚さん、小野さんがジギングでダブルヒットとなり、ともにランディング。どちらも30㎏クラスであった。さらに3日目の最終日は、小野さんがジギングで、堤さん、石川さんがともにキャスティングでキャッチし、渋い状況とは言われていたが、十分な釣果を残した。
そしてこの日、実は記者も午前中にジギングで1尾キャッチさせてもらった。水面で子トビを追いかけるキハダを目にし、活性はそこまで渋くないと判断し、船長から大型の反応があるとのアナウンスがあったことから、大型狙いで青技太地25号のシングル35㎜を使用。PE4号タックルで、リールはブルーヘブンの80L。ドラグはストライクポジションで5.5㎏にして挑んだ。そしてフォール中にヒットを得た。合わせとともに相手が反転し、そのままフッキングした感じを得られた。その後のキハダのラン後、巻き上げに転じたタイミングでそこからドラグレバーを2クリック締め、7.5㎏ほどにし、さらに残り30m付近でキハダが船の影を嫌がって動かなくなったため、指ドラグでその層をかわしてラインディングまで持ち込んだ。キハダは30㎏弱で、PE4号だったために少々強引なやりとりをしたが、青技太地25号のシングルはカンヌキにしっかりと刺さり、僅かな変形もなく戻ってきた。青技太地の十分なパワーと刺さり具合の良さを実感した1尾であった。ちなみに、今回の釣行では、多くがカンヌキ、カンヌキ付近へフッキングしていた。
フック選びは奥が深い。ちょっとした形状の違いだけで、フッキング率が大きく変わる。エキスパートは、フックの形状、重さ、太さ、アシストラインの長さなどを吟味する。それはどのようにジグを動かし、そしてどうバイトさせてフッキングに持ち込むのかということを考えているから。そしてバラさずにランディングまで持ち込むことも考える。フック選びがしっかりとしていれば、キャッチ数は上がる。エキスパートが、人よりもより多く掛け、そしてファイト中にバラしが少ないのは、こういったことで可能にする。青物狙い、大型青物狙いは、時として簡単にはバイトしてこない厳しい状況がある。その中の少ないチャンスをものにするために生まれた青技太地。スタジオオーシャンマークのこだわりの形状を、日本国内の鈎職人が手曲げで製造した信頼のフック。遠征のキハダ、三重&和歌山沖のキハダジギング、トンジギ、遠征でのカンパチ、ヒラマサ、大型根魚、そしてクロマグロ等で、ぜひ試してみてほしい。