究極の最新鋭キャスティングロッド!
最新最強カーボン素材、ロッド製造技術で完成させた!
近海の大型魚からクロマグロまで対応する
APIA GRANDAGE 【WORLD OCEAN】
〜開発秘話とラインナップ〜
世界最高クラスの強度を持つカーボン繊維T1100Gに、APIAオリジナルの技術を加えて誕生したオフショアキャスティングロッド「WORLD OCEAN」。誰もが体感できるという飛距離アップに加え、圧倒的な強度、操作感、そして体への負荷の軽減という性能をまとったシリーズだ。このロッドに対する思いと性能の詳細、完成に至るまでのストーリーを、開発者でありAPIAの代表を務める宇津木善生さんに話をうかがった。
INDEX
開発への経緯・APIAにとって20年ぶりのオフショアロッド
APIAといえば、多くの熱いファンを持つシーバスロッドをメインに開発するロッドメーカーだ。究極のシーバスロッドを目指して開発が進められ、世に数々の人気、実力を備えたロッドを送り出してきた。そして現在は、シーバスだけにとどまらず、様々なショアゲームロッドを展開している。しかし創業時は異なる分野からのスタートだった。
「うちは創業が1997年で現在27年目になります。今ではシーバスロッドのイメージが強い会社ですが、実は創業はジギングロッドからスタートし、しばらくはオフショアロッドを開発、発売していました」
1997年というと、日本のオフショアのルアーゲームの創世記。この年の数年前まではラインはナイロン、フロロカーボンが主流であったが、細くて強いPEラインが登場したことで、ソルトゲームが大きく変わった時期だ。ジギングにおいては深場を探れるようになり、メタルジグも次々と重いものが登場。そしてその後、様々なメソッドとともに、ジギングロッドが開発されていくことになった。
「APIA創業前の話ですが、奄美大島で大型のカンパチがジギングで釣れるというのを雑誌で見てチャレンジし、そこからジギングに僕自身がハマっていきました」
当時、まだジギングロッドは種類が少なく、既存のロッドを改造して使うアングラーも多くいた。宇津木さんは、そんな改造ロッドの存在を知り、自らも作り始めた。
「改造だけでなく、自らジギング用のベイトロッドを作り始めました。そしてそれを遠征仲間からも頼まれるようになり、それがAPIAのスタートになりました。今から20年前のシーバスロッド開発にシフトするまでは、オフショアアイテムが中心だったのです。ただ、ここ数年で僕自身の考えが少し変わってきました。過去に情熱を燃やして取り組んでいたオフショアの釣りをもう一度やろうと‥‥」
簡単ではなかったキャスティングロッド
宇津木さんがオフショアの釣りの再スタートを考えていた今から数年前、タイミングよく久米島でのキハダジギングの誘いがあった。
「そこで同行者から『ロッドメーカーなんだから、自分でロッドを作ってきなよ』と冗談混じりで言われ、まずは当時なかったスロージギングロッドを見様見真似で作っていきました」
そして、満足できるロッドではなかったものの、そのロッドで釣果を出すことができた。ただ次にGTフィッシングに行くことになった時、簡単には作れないことを実感したという。宇津木さんがオフショアゲームにハマっていた30年ほど前とはGTロッドは更に大きく違っていたからだ。
「当時、GTフィッシングはまだナイロンが主流でした。そのためPEに対応したものは、どのくらいまで強度を上げたら良いのか、どのような性能が適しているのかが分からなかったのです。しかし、そんな難しさがあったからこそ、大型魚を想定したキャスティンロッド作りに夢中になって取り組むことになりました」
これが今回登場した、「WORLD OCEAN」の開発のスタートとなった。
最新素材T1100Gでの挑戦!
5年ほど前、カーボン素材・トレカ®️T1100Gを使ったシーバスロッド開発がスタートした。この誕生したばかりのカーボンでのロッド製作は、APIAにとって新たな挑戦だった。同時に「WORLD OCEAN」にも、このT1100Gを使うことを考えた。このT1100Gは、第3世代炭素繊維と呼ばれ、従来品よりも強さ(強度)と硬さ(弾性率)の両立を大きく向上させた最新カーボン。現存するカーボンの中で最強クラスの素材だ。これにより、高い弾力性を備えたブランクを作ることができるのだ。
その後、APIAではシーバスロッドだけでなく、ロックショアやショアGTのロッド、更にはアジングなどのライトなロッドにもT1100Gを入れて開発。それらをやっていくうちに、T1100Gの効果的な使い方が分かってきたという。
「T1100Gをキャスティングロッドに取り入れることで、予想以上の飛距離アップにつながるロッドが完成しました。T1100Gを使うことで反発力が増し、キャスト時に曲がったロッドが素早く戻り、飛距離アップに貢献した。さらにキャスト後のティップの止まりが早い。スピニングロッドは構造上、螺旋を描きながらラインが出ていくが、この時、ティップのブレが大きいとラインがブランクを叩いてしまう。これによって飛距離低下を起こす。しかしT 1100Gでは、ピタっと止まる。飛距離は、ひと伸び、ふた伸びほど違う。この飛距離は最高。一部のオフショアメーカーは、T1100Gを使用していますが、オフショアキャスティングロッドではまだ少ない。そこでこの素材にこだわりました。ただT1100Gは弾性率が33トンと高いため、強度を上げるには他の要素も組み合わせる必要がありました」
大型魚狙いのオフショアロッドで最も重要なのは、折れたらダメということ。折れてしまっては、その釣り、その日の釣りは終了してしまう。そこで強度面をとことん追求したという。
「大型魚用のロッドは、ギンバルスタイルでロッドを立ててファイトすることを想定しなくてはならない。その際、低弾性で曲がるロッドでは反発が無く、起き上がってこないロッドはアングラーがキツい。ただT1100Gは硬いゴムと一緒で、押す力は必要だけれど、その分、戻る力も強いという特性を持っていた。そのため、反発力の強さで魚へ強くプレッシャーを掛けられ、さらに魚を浮かせる、ファイトが楽に行えるロッドが出来上がりました。テストを重ねていく中で、明らかにファイトタイムが短いというのも実感。これは大きなメリットだと感じましたね」
強度の追求。BULK405とナノジョイント、シールドテック
T1100Gをメイン素材にしつつ、それぞれのモデルにどのくらいの強度を備えるか、モデルごとに開発が進められた。
「他のトン数のカーボンを組みわせたり、マグロ用のモデルにはグラスを少し入れたり、さらにAPIAオリジナルの新技術であるBULK405を入れて強度アップを図りました」
BULK405は、一枚のカーボンシートの中に多方向のプリプレグを入れ、405スーパーレジン処理を組み合わせたAPIAオリジナルの補強構造。通常は、縦繊維のブランクスに後から多方向でカーボンシートを重ねて補強するパターンが多いが、それを一枚のシートに収めることで、カーボンプリプレグの密着性を向上させたのだ。そしてこれにより脅威の破断強度を持ったブランクを完成させたのである。
「マグロ対応モデルの上から1番目、2番目においては65°で40kgを実現させています。ブランクスは、さらに曲げてマイナス方向に曲げるテストを行い、納得できるまで強度を突き詰めました」
また、T1100Gを使用したロッド開発と同時に、ジョイント部の研究も行っていったという。それがNANOALLOY®Technologyによって生まれた、強度、軽量化、高バランス、ベンディングカーブに対して、従来のジョイントパフォーマンスを超える「ナノジョイント」だ。
「ジョイントのテーパー差は、だいたい1/100mm程度で設定している場合が多いと思いますが、APIAに関しては2/1000〜5/1000で設定しています。そのため緩むことはかなり少ないです。また負荷が掛かるジョイント部は、この精度の高さが強度に繋がります。シーバスロッドを作っていくうえで、APIAがいち早く研究開発した最新のテクノロジーです。WORLD OCEANは、バットジョイントにこのナノジョイントを採用しています」
さらに、独自のブランクの処理がWORLD OCEANでは採用されている。それが「シールドテック」だ。
ロッドを傷から守るフィニッシュ加工ですが、これはただのアンサンドフィニッシュではありません。APIAオリジナルのフィニッシュです。シールドテックという特殊なテープを巻いて傷が付きにくい仕様にしています。これはロックショアロッドに採用していたのですが、オフショアでは必要ないと思い、最初は採用していませんでした。ただ、オマーンにキハダを狙いに遠征した時に、ボートの運転が荒くブランクスが傷だらけになってしまった。ガイドに掛けていたルアーがブランクスに当たり傷を付けたのです。WORLD OCEANは大型魚を狙うロッドであり、一生に一度しか掛からないような魚がヒットする可能性もある。そんな時に、ブランクスの傷によってロッドが破損するのは避けたい。そんなこともあり採用しました」
APIAのショアロッドで培ったロッド製造の経験に加え、最新最強の素材T1100Gを使用したロッド開発の経験、さらに強度面での追求と長い年月を費やして完成させたWORLD OCEAN。
「最初に使った時に、投げやすさ、飛距離にまず驚くと思います。『今までとは大きく違う』と。新感覚と言えるでしょう。またヒットしたら、強度とともに反発力の強さで早く浮かせられるということを実感できるはずです。一発目から高基準のモデルに辿り着けたと思っています。同じような作り方をしているロッドは、無いと思います。同じような製品が溢れている中で、特別なものを作りたいという気持ちで開発しました。お客さんの心に刺さるロッドになると思っています」
大型カツオから記録級クロマグロまで網羅
各モデルの特徴
834ML
PE4号の使用を前提に開発されたモデル。「このモデルは、7、8kgの大型のカツオを狙うために作り上げたモデルです。大型のカツオを狙う三重の遊漁船の船長に協力してもらい完成させました」。長さは動きの速いカツオのナブラを攻略するために、キャスティングの飛距離が必要であるということから、8フィート3インチに設定。この長さとブランクの反発性能で、驚くほどの飛距離を出すことが可能だという。またティップを柔らかめに設定。カツオは掛かってから、縦横無尽の走りを見せるためにバレやすい。そこでしっかりと曲がり、カツオの動きを追従し、ロッドの反発力でカツオを浮かせていく仕様になっている。またティップが柔らかく、ブランクの強い反発力で遠投できるため、外房のようなアンダーハンドでキャストするヒラマサキャスティングでの使用にも向いているという。
825 M
PE5号を使用する近海のキャスティングゲームを広くカバーするモデル。近海のキハダ、ヒラマサがターゲットだ。「多くのアングラーが連日のように攻めてプレッシャーが高いフィールドでは、繊細に攻めることが大切。そんなフィールドで活躍する繊細さを備えながらも、ヒット後はしっかりと曲がりながらも反発力とパワーで強引に寄せることが可能です。使い勝手の良いモデルです」
826MH
PE6号のモデルは、ヒラマサ、近海のキハダ、GTに対応するモデル。飛距離、パワー、操作性に優れており、近海から遠征まで幅広く活躍する。「優れた操作性を備えながらも、十分なパワーを備え、ヒットしてからは楽に魚を浮かせます。GTのような投げ続けるゲームにおいても、楽に扱うことが可能です。体力に自身のないアングラー、体力が落ちてきた高齢のアングラー、女性などにもオススメのモデルです」
838H
20kgオーバーのヒラマサ、GT、50〜60kgのマグロ狙いを対象にしたモデル。三重、和歌山沖などで大型キハダを狙う時にも活躍する。「キャストしやすいティップセクションを持ち、魚の引きに対してスムーズに曲がっていきながら、ベリー、バットがしっかりと魚のパワーを受け止め、さらに反発力で魚にプレッシャーを与え続ける性能。そのため魚の浮きが早い。一般男性が最も使いやすいモデルと言えます」
8010HH
PE10号仕様のロッドであり、ダブルHという強さを備えながら、柔軟で弾力のあるブランクにより、他の同スペックのロッドと比べると楽に扱えるモデル。この『楽』というのは、キャスト時、そしてヒット後のロッドが曲がった状態の時に体に負荷が少ない、大型魚をコントロールさせやすいというもの。「他者の同クラスのロッドと比べる決して軽くないが、持った人の多くが『軽い!』と言います。これはバランスを突き詰めることで軽さを感じられる作りにしているからです。ターゲットは、50kgクラスのGT、100kgまでのクロマグロ、大型キハダを想定しています」
7812HHH
クロマグロの100kgオーバー、200kgクラスを想定したPE12号仕様のモデル。こちらも強さを持ちながらも、ロッドを立てた状態でもファイトを行えるように、しっかりとロッドが曲がる設計。もちろん大型魚のパワーを受け止め、反発力でプレッシャーを与え続けられるように強力なパワーを備える。「北海道のテスターにテストを繰り返し行ってもらい、完成させたモデルです。テストでは、200kgに迫るクロマグロの実績もあり、その際の情報をフィードバックしてもらいながら完成させました。大型クロマグロ狙いであれば、まずはこのモデルをオススメします」
7614MAX
PE 14号の使用を想定した最強キャスティングモデル。ターゲットは200kg、それ以上の夢の記録級のクロマグロ。T1100Gの比率の高いマテリアル構成にし、破壊強度を極限まで上げつつも、キャスティングでの飛距離、操作性を損なわないように設計。「ただ硬い棒のようなロッドではなく、パワーを備えつつもファイト時には曲がるロッド設計となっています。大型魚とのファイトを想定し、少しでも楽に行えるようにレングスは短めですが、キャスト時には、しっかりと飛距離を出せるバランスです。夢のサイズを追いかけるアングラーに使ってほしいモデルです」
768H+
こちらはGT狙いでのシンキングルアーの使用を前提に開発されたモデル。ショートレングにすることで操作性、軽量化を突き詰めつつ、ヒットしてからはパワーを分散し、弾力を活かして魚を浮かせられるアクションにすることで、大型GTと勝負できるように設計。「ファイトが楽になるショートレングスにより、GTだけでなくマグロとのファイトにおいてもアングラーを有利にします。ショートレングゆえに飛距離は出ないと思われがちですが、T1100Gの反発力、キャスト後のブランクスの安定性により十分な飛距離を出すことが可能です」
WORLD OCEAN は2024年11月末に発売されている。そしてこれから2025年、各地のショップに並び、さらに展示イベントで並べられる。実際には使用してみないと性能の全ては分からないが、ぜひショップや会場で手に取って、そして曲げてみてほしい。このロッドの良さが、それだけでも分かるはずだ。
製品情報
https://www.apiajapan.com/product/rod/grandage-worldocean/
製品購入ページ
https://apiaweb.shop/shopbrand/ct107/