夏の奄美大島
ビッグディッパー
GTキャスティング釣行

記事投稿者
小林凜（シマノサポートアングラー）
佐賀県在住。魚影の豊かな玄界灘をホームフィールドに、オフショア・ショアを問わず釣行を重ね、記憶に残る一尾との出会いを追い求めているアングラー。ビッグゲームからライトゲームまで幅広く精通し、その魅力と楽しさを多くの人に伝えている。

GTへの想い

これまで多くの大型GTの実績があり、日本のGTフィッシングのトップクラスのフィールドといえる、奄美大島からトカラにかけてのエリア。そんな地に、2025年夏、GTキャスティングで遠征する機会を得ることができました。

自分にとってGTという魚は、目標を掲げて挑戦し続けているターゲットです。自分は幼少期から釣りにハマり、中学生でシーバスフィッシングを本格的に始めました。その後、中学生時代に近所に住んでいた遊漁船サンライズ新海の田代誠一郎船長に、初めてヒラマサキャスティングに連れていってもらい、その時に経験した強烈なバイトをきっかけに、オフショアキャスティングにハマることに。

以後、オフショアキャスティングやショア（磯）からのキャスティングゲームで大物を求めて釣行を繰り返してきましたが、その中で、攻略が難しく、なおかつ非常に魅力的なターゲットであることから、GTにも興味を持つようになり、大型を釣りたいと強く思うようになりました。そして初めてGTのバイトを目の当たりにした時は、鳥肌が立つほどの衝撃でした。その時、さらに大きいGTはどんなバイトをしてくるのか、引きはどれほどのものなのかと、興味が膨らんだのを憶えています。それからというもの、目標を50kgに定め、挑戦し続けて来ました。そんな目標を実現するために、今回、奄美大島の人気GT船・ビッグディッパーに乗船。福井健三郎船長の操船のもと、3泊4日で大型GTを求めてチャレンジした模様をお伝えしたいと思います。

初日は連続バイトで幕開け

今回の釣行の初日は、航空機の都合によりお昼からの出船となりました。この日は実釣時間が限られていることから、奄美大島の近海から探ることに。港に集合したメンバーは素早く準備を済ませて出船し、港から約1時間走らせた場所がポイントに。この日は風が10m近く吹いており、ファーストポイントから抜群の雰囲気。ワクワクした気持ちはさらに高まり、GTキャスティング遠征がスタートしました。

このポイントは自身にとって初めての場所だったため、まずは使い慣れているシマノ・ワイルドレスポンス240をセレクト。このルアーは、自分にとって無くてはならない存在で、これまで数々の自身のレコードサイズをキャッチさせてくれた、強い信頼を置いているモデルです。幅広のボディとビッグシルエットによる抜群のアピール力を備え、ショートからロングまで幅広いジャークに対応する性能を持っています。さらに、137gのウエイトにより、PE10号タックルを使用してアゲンストの状況下でも、飛行姿勢が安定し、飛距離がしっかり出せるため、非常に頼もしいルアーです。

すると開始一投目からGTの強烈なバイト。しかしフッキングに繋げられず、二投目をキャスト。これにも強烈バイトがあり、今回はしっかりフッキングに成功。しかしファイト中、船底をかわしてやり取りしている最中に、まさかのフックアウト。

その後も高活性の状況は続き、6ヒット。しかしすべてフックオフとなり、なかなか魚を手にできない状況が続きました。そんな私を見た船長が、「GTの活性が高すぎて外掛かりになっている」と教えてくれました。ドラグもある程度締めていたため、ファイト中に身切れしてしまっていたようです。

結局、この日はキャッチできずに終了。GTの活性は高く、多くのチャンスがあったものの、悔しさが残る一日となりました。

ビッグディッパーは、国内GTフィッシングのトップアングラーである福井健三郎さんが営む遊漁船。３隻の船を所有し、最も大きい70ftの三号艇は福井さんが操船。奄美大島・トカラのGTを知り尽くす頼れる船長だ。

奄美大島にあるビッグディッパーの事務所。ビッグディッパー艇のこれまでのGTフィッシングの歴史が刻まれた、GTアングラーにとって魅力あふれる場所だ。

ベタ凪の釣行二日目

二日目は朝から風もなく、ベタ凪の中で出船することに。朝一は、前日に良かったポイントからのスタート。ベタ凪のため厳しい一日になると予想しました。しかしベタ凪なものの、朝から良い感じに潮は流れていたため、ワンチャンスはあるだろうと前向きに考え、キャストを開始しました。

ルアーは前日に連続バイトを得たシマノ・ワイルドレスポンス240Fをセレクト。これをシングルフック仕様に変更。前日にトレブルフックで全てフッキング後にバレていたため、シングルフックに変えることで、フッキングした時にはカンヌキにしっかりと掛け、バラシを防ぐ狙いです。

しかし前日とは打って変わって魚からの反応が全くない、静かな海へと変わっていました。そこで船長は早めに見切りをつけ、シャローエリアへの移動を決断。このシャローエリアでは、ワイルドレスポンス240Fをより目立たせ、広範囲にアピールするように、普段よりも強めのジャークで引きつつ、ショートジャークの動きで誘っていきました。しっかりと潮も流れており、良い雰囲気の中で、キャスト開始して数投で本命のGTからのバイト。しかし、これもフッキングまで持ち込めませんでした。

その後も、ルアーの動きをあれこれ試しながらキャストを続けたものの、魚からの反応は無く、結果として釣行二日目はワンチャンスのみで終了。ベタ凪の難しさを痛感した一日となりました。

初のトカラとなった釣行三日目

三日目も朝から風もなくベタ凪で、さらに奄美大島の夏らしい灼熱。前々日、前日の状況を踏まえ、三日目は大きくポイントを変えてトカラ列島の最南端に位置する横当島に朝一から移動することになりました。私にとって初のトカラ列島でのGTフィッシングであり、移動中からワクワクが止まりませんでした。ポイントに到着すると、釣りをする前から「ここに来られただけでも良かった」と感じるほど、今まで見たことのないような綺麗な景色が広がっていました。

この日は、シマノから2025年秋発売の新製品・ダイブフラット200Fをセレクトし、トレブルフック仕様でスタート。春にプロトモデルをヒラマサキャスティングで使用した時に、今まで味わったことのない連発バイトを得ることができ、GTにも効果的なのではと思いセレクトしました。

シャローポイントで、エサとなるベイトフィッシュが沢山いる状況の中でスタートの合図が出されました。しかし、いつ出てきてもおかしくないような雰囲気にもかかわらず、なかなか水面にGTが出ません。そのまま時間だけが過ぎ、ノーバイトでお昼頃にポイントを移動することに。

次のポイントでも、同じくダイブフラット200Fをセレクト。ダイブフラット200Fは、ダイブフラット240Fとは異なる動きを出し、クイックなキレのあるアクションで、動かし方次第でさまざまな使い方ができる印象です。使いやすいサイズ感、フラットサイドの強烈なフラッシング、ラトル音で、GTはもちろん、ヒラマサ、その他の魚にも活躍するダイビングペンシルだと感じています。

その後、沈み根が入っているポイントでダイブフラット200Fを速めのショートジャークで誘っていると、小型のGTがチェイス、そして強烈なバイト。ダイブフラット200Fの高アピールに反応したのか、本気で喰いにきたバイトでしたが、これもフッキングには至らず。結果、釣行三日目もGTの反応はあったもののキャッチすることができずに終了。初日のGTの高活性を思うと、二日目、三日目には釣れると思っていましたが、やはりGTキャスティングは難しく、そう簡単に釣れる魚ではないと実感。最終日に期待を託しました。

釣行最終日の最後の最後に

最終日も朝から微風でほぼベタ凪。朝一のポイントでは反応が得られず、駆け上がりのポイントに移動。水深は30m前後で、潮も流れていたため、コルトスナイパー ペグマ200HSをセレクトしてみました。

このルアーはオフショア用ではなく、ショアビッグゲーム用に開発されたシンキングミノーですが、深い層をサーチできることから使ってみることに。フルキャストしてから25カウントで沈め、そこからただ巻きで探っていきます。すると中層で“ゴッ”とバイト。一瞬、GTと思いましたが、寄せてくると綺麗な良型のカスミアジ。本命ではありませんが、南方らしい魚がようやく釣れ、ホッとすることができました。

ヘビーシンキングミノーのコルトスナイパー ペグマ200HSジェットブーストにヒットしたカスミアジ。ショア用として発売されているが、オフショアでも威力を発揮する。トップウォーターに反応がなかなかない状況で心強いルアーだ。HSは120g、さらに深場を探れる170gの200XSもラインアップされている。

その後、釣行終了の時間が近づき最後のポイントを移動。潮波が激しいポイントに移動となったため、ルアーをワイルドレスポンス240に戻しました。その理由は、潮波の中でもヒラを打ってアピールしてくれることに加え、使い慣れているルアーで最後は勝負したかったからです。

そして福井船長から「残り３流し」とアナウンスが告げられた後、潮波に差し掛かったタイミングで強烈なバイト。丁寧にファイトし、最後の最後に綺麗な良型のGTをキャッチすることに成功しました。釣れなかった三日間が報わる、感動の一匹でした。

国内トップクラスのフィールドとはいえ、簡単には釣れないGT。だからこそ、釣れた時の嬉しさは格別です。これからもサイズアップ目指して、GTキャスティングに通い続けたいと改めて考えさせられた釣行となりました。

最終日の終了間近で、使い慣れたワイルドレスポンス240にヒット。力強い抵抗を、慎重にいなしながら寄せていく。

最後に、今回の釣行で用意したタックルを紹介したいと思います。用意したロッドは、シマノ「25オシアプラッガー リミテッド S83H」、「24オシアプラッガー フルスロットル S82XH-3」、「24オシアプラッガー フルスロットル S83MH-3」の3タイプです。

まずは25オシアプラッガー リミテッドS83H。こちらはフルスロットルよりも高弾性の性能のため、風がある状況でも振り抜きやすく、安定した飛距離でキャストすることができます。ティップ側まで張りがあるためにルアーの操作性もよく、100〜130g程度までのプラグで、波動が強いルアーでも使いやすいです。ベリーからバットにかけては、高弾性で張りがありパワーを備えているため、ロッドを立てて耐えているだけで、反発によって魚を浮かせてくれる性能を備えています。

また、24オシアプラッガー フルスロットルS83MH-3は、小型のルアーを投げるために準備しました。Hクラスとは違い、穂先まで適度な張りはあるものの、70g〜90g位までの小さいルアーでもしっかり扱うことができるため、GTキャスティングにも必要なロッドです。MHでもバットパワーが強く、しっかり魚を浮かせてくれます。

さらに24オシアプラッガーフルスロットルS82XHは、大型のルアーを使用する時や、シャローエリアを攻略するために用意したパワーモデルです。走られたら根ズレする危険があるようなリーフ周りのシャローポイントで、ハイドラグで耐える必要がある時に威力を発揮します。130g〜180gまでの大型のルアーや、巻き抵抗が強いルアーを使う時に、とても使いやすいロッドです。

ちなみにPEラインは、すべて「オシア17+」をセレクトしました。16本編の中に中芯が入っているPEラインのため、適度な張りがあり、トラブルが少ないのが特徴です。さらに1日投げ続けても毛羽立ちが出にくく、ブレイクの不安が少ないだけでなく、結び直す回数も減らすことができます。使っていて非常に優れたラインだと感じており、おすすめのラインです。

ぜひ釣行時のタックル選びで参考にしていただければ幸いです。

キャッチしたGT。簡単には釣れないからこそ価値があり、魅力がある。

【小林凜・使用タックル】

タックル①

ロッド：シマノ25 オシアプラッガーリミテッド S83H

リール：シマノ25 ステラ SW 14000XG

ライン：シマノ オシア17+ 8号

リーダー：シマノ オシアナイロンキャスティングリーダー 140lb

ルアー：シマノ ワイルドレスポンス 240F

フック：がまかつ プラッギングシングル ワールドレコーダー 9/0

タックル②

ロッド：シマノ24 オシアプラッガー フルスロットル S82XH-3

リール：シマノ19ステラ SW 14000XG

ライン：シマノ オシア17+ 8号

リーダー：シマノ オシアナイロンキャスティングリーダー 140lb

ルアー：シマノ ペグマ 200HS

フック：がまかつ GTレコーダー4/0

タックル③

ロッド：シマノ24 オシアプラッガー フルスロットルS83MH-3

リール：シマノ21 ツインパワー SW 14000XG

ライン：シマノ オシア8 PE 6号

リーダー：オシア ナイロンキャスティングリーダー120lb

ルアー：シマノ ダイブフラット 200F

フック：がまかつトレブルSP-XH 4/0

遊漁船・ビッグディッパー　https://bigdipper-amami.com/

文：小林凜
まとめ：アングラーズタイム編集部