シイラ喰いのヒラマサゲーム

自己記録33.7kg超えがヒット!?

オフショアアングラーの夢のひとつ、ヒラマサのビッグゲーム。キャスティングによるヒラマサゲームは、アングラーがヒットの瞬間を見ることができる興奮。シャローで根をかわして魚と対峙する緊迫感。これらが多くのアングラーを魅了する。九州北部では、産卵を控えた個体を狙う春マサと並び、シイラやダツといった大型のベイトを狙う秋から年末にかけては、ビッグサイズのヒラマサにターゲットを絞った釣りができる。そして、30kgオーバーのヒラマサが姿を現した!!

自己記録33.7kg超えがヒット!?

九州北部の釣り場が盛り上がるシーズン

今回『ルアーパラダイス九州TV』の取材で、古賀章太さんが訪れたのは長崎県・平戸沖。福岡在住でこの海域をホームとする古賀さんが、ちょうど一年前に自己記録33.7kgをキャッチしたポイントだ。そして今回はその記録を上回るヒラマサを狙う。

先週、出船したときには11kgのヒラマサをキャッチしたという古賀さん。このときの状況は、今の時期にヒラマサが捕食しているシイラが追われていたという。チャンスは朝マズメ。この時間にいいポイントに入り、スタートから全集中で釣ることが重要だという。そして船は港をあとにしてポイントへ一直線に走る。

古賀さんは、ファーストポイントに到着したときの印象を口にする。
「潮が緩いですね。うっすらと潮目が見えるのですが、もう少しハッキリと見えてほしい。まだ太陽が昇る、日の出前。この時間帯に釣っておきたいですね」

手にしたタックルのリーダーの先には、ペンシルベイト。潮と風の関係性を確認しつつ、数キャストしたのちにルアーのサイズを5cm大きくした。このルアーに装着したフックはカルティバST-66・#5/0。ルアーのサイズから考えると若干大き目のフックセレクトだが、狙うのは30kgオーバーである。秋のビッグサイズ狙いのヒラマサのキャスティングゲームでは、浅いところを中心に狙うことが多い。
「瀬が盛り上がっているところがポイントです。そこに潮が当たって、潮が盛り上がったところが狙い目ですね。魚が出るのは、瀬の手前が多いです。そこを重点的に狙うことを心がけています。このポイントにいち早くルアーが届くように、飛距離の調整やキャストする角度を考えます。ただ、今は潮と風が合っていない。今は潮が勝っている状態なのでルアーを効率よくポイントに運ぶのが難しいですね」」と古賀さんは口にする。最初のポイントでは魚の反応はなく、次のポイントへ移動することに。

巨大ヒラマサに追われて飛び跳ねるシイラ。勝負のカギはヒラマサがシイラを口にする前のタイミングでルアーをヒラマサの目の前に置くことだ

広範囲にボイルがあって狙いを絞りづらい状況だったが、ヒラマサをキャッチ。サイズは6、7kg。カンヌキ付近にガッチリとカルティバSTX-68・#5/0が刺さった

目の前に夥しい数のシイラが!!

次のポイントは潮が流れがよく、潮目が明確に出ていて期待できる。潮目に近づくと胸の鼓動が高まっていく。
「出そうだけどな」。潮目を重点的に狙うために、投げる角度を変えなが釣っていく。しかし、潮目を過ぎてからヒラマサが出ることがあるので、船長から合図があるまではキャストし続けることが重要だ。だが、このポイントの雰囲気はよかったが、魚は出なかった。

次のポイントを目指す。とそのとき、移動中にシイラを発見。ヒラマサが寄っているかもしれないので狙ってみることに。そして次の瞬間、船の前方にヒラマサに追われ、海面を跳ねる夥しい数のシイラ。時間的には潮どまりの寸前だ。

しかし、チャンスだがシイラが飛び跳ねるところが広範囲すぎて狙いが定まらない。ルアーはシイラのサイズに合わせて大き目を選び、アクションは水面を早巻きして、逃げ惑うシイラを演出する。だが、広く探ってみたがヒラマサの反応がない。

その後、数箇所のポイントを探ってみたが、ヤズの反応はあったものの、ヒラマサの反応がないまま、終了の時刻が近づいてきた。最後のポイントはヒラマサの聖地とされる、古志岐三礁(こしきさんしょう)。ポイントに着いて周囲を見渡しても、今のところボイルはない。投げている最中も周囲を見ながら、ボイルを探す。そうして日が傾き始めると、ヒラマサの気配が濃厚になってきた。

だが、シイラのナブラの中にルアーを入れても喰ってくれない。間もなく日没。本日ヒラマサはノーヒットで終わってしまうのか、そんな思いがよぎった瞬間、ついにヒット!! キャッチしたヒラマサは6、7kgで、カンヌキ付近にガッチリとカルティバSTX-68・#5/0が刺さっていた。
「ルアーを速巻きで回収中に後ろからヒラマサが追ってきたので、ちょっとスピードを緩めたら喰ってきました」と本日のファーストヒラマサに表情が緩む古賀さん。この一匹が今日の最後になった。

ヒラマサが捕食をしているシイラが、ルアーにヒット。「このサイズのシイラが15~20kgクラスのヒラマサの胃袋に、折れ曲がって入っていることがありますね」

ついに姿を現した推定30kgオーバー。リールからラインを勢いよく引きだし、剛竿を曲げて根に逃げ込もうとする、巨大ヒラマサのファイトに耐える古賀さん

ついに姿を見せた30kgオーバー

撮影は一日の予定だったが、古賀さんのリクエストで二日目にチャレンジ。昨日は五島方面に向かったが厳しい状況だったので、今日は大きくポイントを変えて壱岐沖へ向かうことに。海面を見ると、朝からシイラが追われている状況なので期待できる。シイラが追われているので、迷わず270mmのペンシルベイトからフィッシングスタート。状況は昨日と違って風があり、潮の流れのもいい。なによりも、シイラのナブラが凄い。朝イチのいい時間帯になんとかキャッチしたいという思惑だったが、モーニングタイムは不発で終わった。

次のポイントは壱岐の北岸。見渡すといくつもの船が集まっている。これをどのようにとらえていいのか… そんな思いでルアーをキャストしていると、シイラがヒット。これが本命のヒラマサの胃袋に折れ曲がって入っているサイズだ。

その後は数箇所をまわってみたが、どこも状況はいまいち。あっという間に時間が過ぎ、古賀さんが選択したのは、昨日と同じ古志岐三礁。ここがラストのポイントになる。雰囲気は昨日と同じく、悪くはない。最後のポイントとして選んだことに悔いはない。そんなことを思いながら、ペンシルで誘っていると、巨大なヒラマサの影がルアーの後方につき、次の瞬間大きな水飛沫を上げてヒット。根に持ちこまれないようにロッドを立てるが、激しく音が鳴るリールからラインが吐き出される。そして次の瞬間にラインブライク。
「ルアーを襲ったときの姿とファイトからすると、自己記録の33.7kgを超えていたかも…」。狙い通りのサイズをヒットさせるまでには行きついたが、無情にもリーダーが根ズレでブレイク…。

だがその後、気を取り直して次を狙い、終了間際でヒット。
「スレかも知れない。引きがおかしい」と、ヒットした瞬時にそう口にした古賀さんの言葉通り、ルアーを追って反転したときのスレ掛かりだった。このときに使っていたルアーのフックは、カルティバSTX-60・#5/0(プロト)。ネムリ気味のポイントで、魚が掛かったらしっかりホールドしてバレにくい。ネムっているので、針先がルアーに当たりにくいというのが特徴だ。
「最後の最後まで、粘ったかいがありました。なんとか、二日で二匹。ただ、悔しいのは、人生最大のサイズをラインブレイクで逃してしまったこと。ただ、これも釣りのひとつ。次の出会いを求めて、がんばりたいです」と古賀さん。
思い描いた通りの結果にはならなかったが、次の一匹に向けて最大限の準備をするという古賀さん。自己記録更新への挑戦は、すでにスタートしたのであった。

ルアーを追って反転したときにスレ掛かり。フックはカルティバSTX-60・#5/0(プロト)。ネムリ気味のポイントで、ホールド性が高いのが特徴

ルアーパラダイス九州TVの番組情報はこちら!

まとめ:野間登志輝

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