連載 平松慶のオフショアワールド vol.15
静岡県・伊豆半島南沖でリベンジ釣行。
狙うはカンパチ、ヒラマサ、キハダ
今年の夏は見事に天候に泣かされた。「釣りに行けない」夏であった。伊豆南沖に7月、8月に2週に1度の割合で予定を組んだものの、台風の影響だけでなく、季節風にも悩まされ地団駄を踏んだ。伊豆の魅力と意欲は古くから持っており、自宅からも通いやすい距離なだけに私にとって外せないフィールド。九州対馬でヒラマサ狙いの稽古を重ね、いつか来る「伊豆マサ」のワンチャンに賭けた思い。今回は9月に入ってからやっと行けた伊豆通いの報告をしたい。
伊豆南沖へ出港。
今回の伊豆南沖への乗船は、泳がせ釣りの方々と一緒に沖に向かうこととなった。メインポイントに入る前に、泳がせ釣りのエサとなる魚(サバ)を釣る為、集合時間は網代港に2時となっていた。ルアーのお客さんのみなら3時が集合時間となる。まずは釣り座確認し、乗船料を支払い、初島沖に向かう。そこでエサとなるサバを確保し、南沖のポイントには6時に到着。いよいよここから始まる。
今回は「入れる南沖の中でも新島寄り周辺のポイントに入ります」と森竜丸の舵を握る森野滝雄船長が言う。伊豆南沖エリアはいくつものポイントがあり、魚影の濃さと潮通しの状況で船長が選択していく。今回は泳がせ釣りとの同船のため、ミヨシ側に我々ルアーマンが入り、胴の間からトモにかけてエサ釣りが入る。ポイントに到着。風はプラグをキャストするのに心地よい風速で、海況はほぼベタ凪。潮は2ノットで流れている。最も釣りやすい状況で、ジグを集中しながら落とした。南沖にはキハダマグロが台風12号の前に入っており、簡単にはヒットしない状況のようだが、所々でボイルが見える。魚っ気を感じられ、意欲は盛り上がる。御蔵島の様なわかりやすい鳥の群れではなく、鳥は回るが朝一番はまとまるような様子はなかった。泳がせ釣りのアングラーもゆっくりとサバを流していった。
私は水深105mのアナウンスを聞き、250gのGummyジグからスタートした。2ノットの流れであったが、最初に感じたのはあまり底潮が動おらず、上潮の押しが強いということ。二枚潮の対策さえすれば、ジグをボトムで踊らせられる。船の流れに合わせ、ジグの投入角度を探りながら落としていく。水面は、朝一番の状況と変わらず、キハダマグロが少し離れた位置で落ち着きなくボイルしている。この様子は、ジグで攻め続けるのか? キャスティングでキハダを探るのか? と悩んでしまう。私はメタルジグでの狙いを先行した。朝一番から潮の流れが少しずつボトムと表層で同調し始めたので、このタイミングならジグだろう、と考えたからだ。ただ表面積のあるGummyジグの250gや220gより、上潮の抵抗を少なくするためにシルエットの小さなKEI-JIG 200gにチェンジ。ボトムを徹底して狙うスタイルにした。この日は式根島で10:30が潮止まり。干満の動きが8:00辺りは一番良いと狙っていた。ジギングを継続していく。泳がせ釣りの方は、ストライクは有るのだが、甘噛みやサワラからのフックアウトが連発していた。
青物中心のジギングでの狙い方。
海況の様子は、鳥が飛び回り起伏のある瀬に向けて潮波が立ち始めていた。ボトムの様子は、森野船長が変化する毎にアナウンスしてくれる。105mからジグを投入し、97m、90m、80mと言った具合だ。瀬のトップが68mで、そこから再び水深が出てくる。このエッジに付く青物を狙わせてくれている。わかりやすい細かなアナウンスがアングラーの水中模索にヒントとなる。狙っているポイントは瀬に当たる潮がどう水中で動いているのか。瀬周りのベイトはどの様なステイ位置になっているのか? をメタルジグを通じて探る事が重要だ。ファーストコンタクトは、瀬に対しての駆け上がり。駆け上がる地形を流しているタイミングでのショートバイト。思わず苦笑い。食い込みが浅いのが、ジグに戯れているだけなのか? バイトをフッキングに繋げられなかったが、瀬には青物が回遊している確信。徹底してジグ操作に集中した。
瀬を越えて駆け下がるタイミングは、ボトムから少し上まで探る。潮が瀬に当る所で潮上なのか潮下なのかを探っていく。これは、魚礁などでよく起きるベイトの反応を意味するのだが、この場合はそんな状況を想像して探ってみた。「潮下位置にベイトが溜まり、それを狙う青物」といったイメージを想像しながらジグをしゃくり続けると「ガツン!」とバイト。このエリアでは良型のカンパチを探し当てることができた。
その後も再び集中してジグをしゃくる。ただ、10:30頃が潮止まりになるので潮が緩くなる。キャスティングでキハダ、サワラなどを探ってみたが、無反応。ここまでひたすら探り続けたが、少しの休息を取った。
平松流のマストパターン
今回の潮は、二枚潮で前半苦戦した。魚探を確認する限り、ベイトはボトム位置にしっかり映っていた。これをどう狙うかが、キモ。潮流に対してメタルジグをただ重くしていくスタイルは、メタルジグを反応に到達させるには適しているかと思うのだが、メタルジグを食わせるという結論にはなかなか結び付かない。私はメインラインこそPE4号で統一しているが、リーダーの太さは2パターンにしている。二枚潮での状況は、潮上にジグを投入し、PEラインの抵抗を利用しジグを投入していく。1度目の着底はライン(軌道線)コントロール。2度目からのシャクリでジグを踊らす様な操作を入れていく。また、今回は潮の抵抗が少ない形状のジグを使用し、必要なウエイトよりも気持ち軽めでジグをセレクトし、着底へと繋げた。水切れを意識したKeitan Jig175gでは、フォール時にジグが潮に持っていかれる。Gummy 220gも同じ現象。これが分かったので、KEI-JIG200gにして対応し、着底に集中。2度しゃくればジグを打ち直さなくてはならない手返しの悪さはあったが、ボトムを確実に取る、しっかりジグをアピールさせる。この動作に徹して探り、カンパチに口を使わせることができたのだった。手返しの悪い探り方になるが、潮流の兼ね合い、時合、水深、を考えての釣果。「魚は、そこに居る」と言う意識が無かったら、また目の前でキハダマグロのボイルに戸惑っていたら、今回のカンパチはヒットしなかったと思っている。
今回の実釣は、ピュアフィッシングジャパン・PENNリールのプロモーション撮影、アングラーズタイムの取材を同時に行った釣り。PENNリール広報からは新製品発表前による使用インプレッションも求められている。ジギングでは青物、キャスティングでキハダ、サワラを狙った。ただ、2つスタイルで都合の良く狙おうとはなかなか上手くいかず、最終的にはどちらも中途半端に終わった感が否めなかった。またジギングの可能性として、もう少し浅場を攻めてみたかったというのが正直なところ。伊豆南沖の浅場となると入れない場所もあり、さらに泳がせ釣りとの同船であり沖の潮目を流すことになるため、その辺りは仕方ないのだが……。ただ、夏海から秋の様子に移り変わる直前を今回は楽しませてもらえた。最も釣り上げたかったヒラマサこそ手にすることはできなかったが、これからもチャンスを求めて狙い続けていこうと思う。また、今回使用したPENNリールのアイテムは、後日、編集部がまとめるとのことなので、そちらも楽しみにしてほしい。
伊豆網代港 森竜丸データ
船長:森野滝雄船長 090-1620-1988
森竜丸HP:https://www.moriryumaru.com
ジギングタックル
ロッド:PENN・トルクPHK-63ML
PENN・トルクPHK-63M
リール:PENN・オーソリティー 6500HS
ライン&リーダー:サンライン・X8フルコンタクト 4号&ツナギート14号、16号
ルアー:K-FLAT・Gummy200g、220g、250g Gummy-fat180g、200g
K-FLAT KEI・Jig200g KEI Jig シャープ200g、235g、260g
フック&パーツ:オーナー ハイパーワイヤー♯7、ソリッドリング6.5㎜
JS-39 ブルーチェイサー11/0、9/0
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