様々なジグの動きを演出しやすく、パワーも装備!

ひと巻き100cmの新たなギアを搭載!
スタジオオーシャンマーク
BLUE HEAVEN L80、L100 【Mid Gear】

リールのギア比によって釣果が左右する場面も多い。大きく分けて、ハイギア、パワーギア(ローギア)に分けられるが、スタジオオーシャンマークから2024年、その間のギア比となるMidギアのブルーヘブンL80、L100モデルが登場。その設定の開発のきっかけ、そして使いどころとは? テスターの西本康生氏に、実釣時に話を聞いた。

ひと巻き100cmの新たなギアを搭載!<br>スタジオオーシャンマーク<br>BLUE HEAVEN L80、L100 【Mid Gear】

ブルーヘブンL100、L80にハンドル一回転100cmのMidギアモデルが加わった。L80は2024年5月に発売。L100は6月下旬に発売。Midギアの良さを、この記事で解説。

 

ブルーヘブン、これまでのギア比のラインナップ

スタジオオーシャンマークのブルーヘブンは、日本のベイトリールのジギングを牽引してきたと言えるリール。大型魚を狙うために、まず120Lサイズが登場し、その後に近海での汎用性の高い50Lサイズ、そして30L、80L、100Lとラインナップを増やしてきた。モデルによっては、発売後にも部分的にアップグレードが施され、ジギングの進化とともにブルーヘブンも進化し、アングラーの強い味方として愛用されてきた。そんなブルーヘブンは、これまでPw(パワーギア)とHi(ハイギア)の2つのギア比ラインナップであったが、2024年発売で新たにMidギアが開発されたのである。

アングラーは、より確実に魚を掛けるため、確実に引き寄せるため、そして快適性などを考慮しリール購入時にギアをセレクトする。それぞれのギアに利点と弱点があり、どちらを使うかは、様々な理由がある。パワーギアは、ハンドル一回転の巻き取り量が少ないが、巻き取りトルクがある。ハイギアは巻き取り量が多いが、パワーギアと比べると巻き取りパワーが劣る。
そのようなことからパワーギアは、大型の魚がヒットした後に、魚との距離をより効率的に縮めることができ、さらに重いジグを使用する際はアングラーの疲労感が少ないといえる。ただ、巻き上げ距離が短いために、タナの中を細かく探るのには良いが、素早いジャーク、素早い巻取りには向かない。逆にハイギアは巻き上げ距離が長いため、速いピッチのジャークに最適であり、糸フケの瞬間的な回収、喰い上げなどの対応力も高いといえる。このどちらを選ぶかは、何を狙うか? どのようなスタイルでどうジグを喰わせるか? よって変わってくる。
例として、
「大型カンパチなどを狙うのであれば、速いジャークでボトムから離れた場所まで誘い喰わせたいためにハイギア」、
「ボトム付近でヒットした魚を、パワーで抑え込むならパワーギア」、「素早く、少しでも根から離したいならハイギア」、
「中層を回遊する大型マグロをスローピッチジャークのフォールメインの誘いであれば、ヒットしてからのやりとりが有利なパワーギア」、
「ボトム着底後、素早く根からジグを離す必要があればハイギア」、
「ヘビーウエイトのジグを回収するのには、効率よく回収できるハイギア」などだ。
ここでは例としていくつか挙げたが、これらもそれぞれのアングラーの考えによって変わってくるだろう。ちなみにスタジオオーシャンマークのこれまでのブルーヘブンは、前記したように効率よく誘ったり、ヒット後のやりとりをとことん追求した結果によって、ハイギアとパワーギアという2つのラインナップになったと言える。

リール選びでのギア比は、何を狙うか? どのようなスタイルでどうジグを喰わせるか? よってセレクトするものが変わってくる。現在のベイトリールの多くは、ハイギアとパワーギアの2タイプが多いが、そこにスタジオオーシャンマークはMidギアを加えた。その真意とは。

新たなMidギアを登場させた経緯、理由

ベイトリールを使用した、究極のジギングを追求するスタジオオーシャンマークだが、ブルーヘブンにはノーマルモデルに加え、大田ガレージモデルOGMがある。このモデルは、厳選された各部の素材とボディの削り込みにより、より感度を高め、軽さを求め、強度アップを図った究極のモデルだ。その100サイズの開発中にMidギアの案が浮かんだという。
「ノーマルの100モデルのハイギア、パワーギアが発売され、その流れからOGMモデルの100サイズの開発にも着手したのですが、その中でMidギアを入れてみようと案が出ました。ひと巻き100cmです。これを使ってみると、様々な釣りに使いやすい。自分がジギングを始めた頃、ひと巻き100cmというリールが一般的だったこともあるかもしれませんが、幅広く対応するギア比だと思います」

左がノーマルのブルーヘブンのMidギアモデル。右がブルーヘブン大田ガレージモデルOGMのL100モデル(プロト)。大田ガレージモデルも既に製造に入っているとのこと。発売が楽しみなモデルだ。その性能については、後日、記事で掲載する予定だ。

そこで、OGMモデルの開発を進めつつも、まずはノーマルのブレ―ヘブンL80、L100にMidギアをラインナップに入れるということになり開発、テストがスタートした。ちなみに、ハイギアモデルはギア比5.9:1で、ハンドル1回転113cm、パワーギアモデルは4.9:1で、ハンドル1回転95cm、そして今回のMidギアモデルは、5.4:1で、ハンドル1回転100cm。ドラグマックスは、L80、L100ともにMAX14㎏というスペック。L80は、5号550m、4号600m、2号1200mのラインキャパで、カンパチ、ヒラマサ、キハダ、根魚等の大型魚、キンメ、クロムツなどの中深海の釣りに最適。L100は、8号400m、6号500、5号600m、4号750mのラインキャパを備え、L80と同様のターゲットに加え、クロマグロ、深海ジギングにも対応する。
「一回転100cmはバランスが良い。速い巻きでも、大きくしゃくる場合も、スローピッチのジャークでも、魚が喰うジグの動きを演出するための巻き量の調整がしやすい。またハンドルは110㎜(100/98㎜)ですが、このハンドルとの相性もいい。長いハンドルは、キンメなどの深場の釣りにはいいが、様々な動きを演出してカンパチ、ヒラマサ、キハダ、大型根魚などを狙う釣りは、110㎜のハンドルが操作しやすく、1回転100cmという巻き取りも、ジグの動きの調整がしやすいですね」

今回の実釣は、鹿児島川内から出船する「なぎさ丸」で宇治群島まで遠征し、L80Midを使って大物カンパチを狙った。水深は130~160mがメイン。ジグは300gを中心に使用。ラインはXbraidのSHINJI、ODDPORTの4号、3号。カンパチ狙いであるため、ボトムからワンピッチで速めの誘いを入れながら巻き上げ、途中からスローピッチジャークでジグを跳ね上げつつフォールを入れるといった誘い方がメインパターンとなる。
西本氏は、そんな誘いをMidギアモデルを使用して、答えを探していく。速い誘い、ミドルスピードの誘い、喰わせの間を入れた誘い、回収ともにスムーズであり、Midギアモデルは、万能モデルというのが良く分かった。釣行の結果としては、天候により1日の釣りであり、潮も終始悪かったこともあって、小型カンパチが時折釣れてくる展開。結果として大型こそ顔を見せなかったが、西本氏の釣りをMidギアがしっかりとサポートした。

大型カンパチ、大型根魚が期待できる宇治群島。夢のあるフィールドだ。

水中でのジグの動きを想像し、調整しつつ探っていく西本氏。Midギアの一回転100cmの巻取りは、魚が釣れるジグの動きを出すために、調整していく作業が行いやすいという。110㎜のハンドルとMidのギアの相性も良い。

Midギアは、パワーギアほどではないが、その巻き上げパワーにより魚との距離をガンガン詰めていくことができる。

深場、重めのジグでも回収はスムーズ。中深海の釣り、深場のカンパチ狙いに良い。

ブルーヘブンだからこそのMidの威力

既にブルーヘブンのL80、L100、L120などの大型番手を使用している人なら分かると思うが、ブルーヘブンは国産大型ベイトリールの中で「パワフルな巻き上げ」が特徴のリールだ。これはアルミ鍛造マシンカットのギヤーボックスとフレームを採用し、さらにその中に大口径で歯面が大きいマウンテンモジュールギヤーがしっかりと噛んで巻き上げるから。また、L100モデルにおいては、ピニオンギヤーを2つのベアリングで支え、高負荷時にピニオンギヤーのブレを無くし、巻き上げ時の伝達効率をアップさせている。ハンドルで入力したパワーをスムーズにロスなくボディ、フレーム、ギアがスプールへ伝えることで、トルクフルな巻き上げを可能にしているのだ。これにより、パワーギアモデルはよりパワフルであり、そしてハイギアモデルにおいてもパワーを備えているといえる。

大きめの歯面で大口径のマウンテンモジュールギヤー。このギアがしっかりと噛むことで、巻き上げパワーが生まれる(写真左)。右の写真は、L100のピニオンギヤー部。2つのベアリングが入っていることで、ブレなく強い巻き取りパワーを発揮。

ブルーヘブンは、他に比べると巻き上げパワーが強い構造。Midギアは、巻き上げパワー、そして巻き上げ速度を備えたモデルといえるだろう。

リールによっては、巻き上げが速いハイギアモデルは、大型魚狙いにおいて十分な巻き上げパワーを備えていないモデルもある。それでは、大型魚が掛かった時の勝負時も勝負できない。巻き上げ、寄せに苦労する。しかし、ブルーヘブンのユーザーでもある記者自身もこれまで感じてきたが、ブルーヘブンの大型番手のハイギアモデルは、巻き上げパワーがしっかりと備わっており、大型魚とのやりとり、重いジグの巻き上げ、回収といったことでアングラーへの負担が少なく感じる。巻き上げパワーの性能だけで考えたい場合、ブルーヘブンシリーズはパワーギアとハイギアのパワーの差が、他のベイトリールと比べ、極端に開いていないと感じる。
そしてこのシリーズ全般においてパワーが備わっている性能により、Midギアの存在がより活きてくるのだと考える。巻き上げパワー、そして巻き上げ速度と両方を備えているのがMidギアというわけだ。そして何より、ひと巻き100cmという数字が、アングラーが海中のジグの動きをイメージしやすい。この使いやすさに、テストをしてきた西本氏は太鼓判を押したというわけだ。
それでもブルーヘブンを使用するSOMテスターの西本氏をはじめとするエキスパートたちは、Midギアだけでなく、ハイギア、パワーギアも合わせて使い分けるだろう。それは、状況に応じてジグをより思い通りに動かしたり、ヒットした時のキャッチ率をより高めるといったことを追求し、究極の部分を突き詰めていくと、使用ギアによる差があるからだ。
ただパワーギア、Midギア、ハイギアとラインナップが3種になったことで、その使い分けにより、より細かな攻略が生まれてくるに違いない。そしてより魚との出会いが増すことに繋がっていくだろう。

3つのギアが揃ったブルーヘブンL80、L100。その使い分けで、攻略の幅が広がる。

製品ページ
https://studio-oceanmark.com/products/blue-heaven-100-80-50-30/

写真と文:アングラーズタイム編集部

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