出会いの少ない、チャンスの少ない魚を
しっかり掛けるために再設計
鈎先が触れたら刺さる!
太い線径を備えた 大型魚対応フックの新サイズ。
バーティカルリミット6/0、7/0
2021年に誕生した、Gamakatsuのジギング対応フック・バーティカルリミット。素早く刺さり、しっかりホールドする性能を備えた人気フックだ。このバーティカルリミットは、これまで5/0までのラインナップだったが、2024年秋に新たなサイズ、6/0、7/0がラインナップに加わる。ただ今回のモデルは、既存製品の性能は継承しつつも、新たに大型魚を獲るために設計が施されていると言う。開発スタッフにその性能について聞いてみた。
INDEX
釣り鈎としての基本性能とGamakatuジギングフック
釣り鈎は、ルアーやロッド、リールなどのタックル類と比べると目立たない存在だが、フック選びによって釣果を左右することも多く、魚をしっかりと掛けるためには、慎重に選ぶ必要がある。釣り鈎は、これまでの釣りの歴史とともに様々なものが発売され、ターゲットごとに適切なフックがあるとも言える。オフショアジギング用としても、様々な形状のものがあり、ターゲット、釣り方に合わせたフック選びをすることで、よりキャッチ率が上がる。エキスパートになればなるほど、フックの重要性を理解していることから、フック選びは慎重だ。そんな中でジギングアシストフックのフック形状は、大きく分けて鈎先が内側に曲がっているネムったカーブポイントと、鈎先が真っすぐのストレートポイントの掛け重視に分けられる。
前者はフックが口内に入り、そのフックが魚の反転によってズレ、刺さりやすく外れにくいカンヌキに刺さることを前提にしたフックが多い。カンヌキに刺さらなくても、鈎先がどこかに掛かれば、その形状によって素早く刺さっていくが、フックが口内にしっかりと入っていないようなショートバイトなどでは、鈎先がネムっていることで抜けてしまうこともある。
一方、掛かり重視の鈎先角度の広いストレートポイントのフックは、鈎先が立っていることで初期掛かりに優れる。ただ、フックのフトコロまで刺さり込ませるには、しっかりとしたアワセが必要になることも多い。半掛かり状態では、フックアウト、身切れ、鈎が伸びるなどが起こりやすい。
どちらを選ぶかは、捕食してくる魚次第、そしてアングラーの好みもあるだろう。そんなジギング用のフックは数多くラインナップされているが、その中でも青物対応、良型魚をターゲットとしたもので人気があるフックが、Gamakatsuの「貫」と「バーティカルリミット」だ。どちらもスタンダードな形状であるが、スタンダードな形状というのは、釣り鈎の歴史の中で突き詰められたものということ。「貫」と「バーティカルリミット」は、そんなスタンダード形状に、現代のアレンジを加えたフックといえる。ちなみに、「貫」はフックポイントがネムっている鈎。カンヌキに刺さりやすく、しっかりと掛かれば外れにくい。一方、バーティカルリミットは、掛かり重視の鈎だ。どちらも発売から3年ほど経過しており、それぞれの特徴が活かされ、アングラーの手に多くの魚をもたらしてきた。そして2024年、さらに大型魚を確実に手にできるようにと、バーティカルリミットに大型番手6/0、7/0が追加される。しかし今回発売されるのは従来のモデルをただ大きくしただけでない。形状変更とテストを繰り返して完成させたモデルとなる。そこでGamakatsuスタッフの中村有登さんに、性能について細かく解説してもらった。
バイトを高確率で捉える「バーティカルリミット」の基本性能
バーティカルリミットは、2021年から発売されているフックだ。大型青物までをメインターゲットに開発されたモデルである。
「これまで発売されてきたバーティカルリミットは、キープ力を重視するというよりも、掛かりやすさを重視した鈎。コンタクト性を重視というのをコンセプトにスタートした鈎になります。鈎の先端が触れたところから刺さり込もうとする『初期掛かり性能』を備え、魚が反転しようとするだけでもしっかりと掛かってしまうほどの『貫通力』をバランスよく両立するように設計しました。鈎先角度の広い、広角ストレートポイント設定で、初期掛かりの良さと貫通力を装備しています」
大型魚用に進化させた6/0、7/0の強度
ターゲットが大型になればなるほど、魚からのコンタクト回数は少ない。その少ないチャンスをものにしたい。
「そんな時、まず掛けなければ始まらないという考えで、掛け重視でかつヘビータックルでの勝負でも対応する鈎が欲しいということで、バーティカルリミットの新サイズ6/0、7/0の開発に着手しました」
この少ないチャンスをものにするというのは、オフショア、ショア限らずだ。大型フックというと、オフショアでの使用をメインに考えられがちだが、ロックショアから大型魚を狙う人も年々増えている。ロックショアでは、オフショア以上にチャンスは少ない。そんなことから、オフショア、ショア問わず「掛け重視の大型魚対応のフック」という要望がユーザーからあったという。
では6/0、7/0はどのような性能を備えているのか? まず大型化にともない、線径はもちろん太くされている。その太さは、今までの5/0から6/0は2ランクアップ、7/0はさらに2ランク上がっている。Gamakatsuから発売されているルアーフックの中の強いモデルとして、バーチカルヘビーというモデルがあるが、それと同等のパワーを6/0、7/0では装備されている。
「『貫』の4/0~6/0は線径が太いモデルなのですが、バーティカルリミットはストレートポイントで、さらに掛かりやすさ、鈎先へのコンタクト性を上げることを考え、鈎先の角度を広めにしています。鈎先角度を広めに取ると、どうしてもフッキング時にフッキングパワーが必要になってくるのですが、その時のフッキングパワーのロスを少なくしようと考えると、鈎のタワミは少なくしたい。そんなこともあり、今回のモデルはより太軸に設計しました。また、ストレートポイントのフックでフトコロまで刺さり込ませるためには、フッキングパワーが必要になるのですが、フッキングが弱かったりすると半掛かり状態になってしまう。ある程度の太さの鈎でも、大型魚相手で伸びてしまうのはこのため。フックはフトコロまで刺さり込んだ状態で性能を発揮するようにできているが、今回のフックは、半掛かり状態でもある程度耐えられるように、といったことも考え太さを設定しました」
フックポイントは初期性能をよりキープする設計
また太さ以外に、新サイズでは鈎先に関しても改良が施されている。それは、鈎先の尖頭倍率を従来のモデルよりも少し穏やかに設計したというもの。これは、鈎先を欠けにくくし、初期性能をキープさせるためだ。
「この鈎先の形状も、いつ来るか分からない魚からのコンタクトを逃さないための考え。鈎先をビンビンに研いで置くのも良いのですが、それでは少し根に触ったり、一日を通してジグに当たり続けたりしていると、どうしてもポイントが甘くなってしまう。安心して使い続けられるように、あえて穏やかな尖頭倍率に変更しました」
ちなみに、既存の5/0までのサイズ展開の発売の後、この6/0、7/0の開発はすぐに着手したという。ただ、大型魚だけに、実釣でのテストも進みにくかった。
「開発中にそれなりに結果も出たため、そこでOKにしようという案もありました。ただ掛かり方やホールド性に納得がいかない部分があり再検証。従来モデルでは、貫通力を上げるためにバーブを小さめに設定していたのですが、通常サイズのバーブに戻すことに。さらに身切れなどによるバラしは、根際の攻防を余儀なくされる止める釣りにおいてはどうしても避けられない部分ですが、部分平打ち『ウィークポイントプレス』を採用して最小限に抑えるなど、細かい部分を突き詰めていき開発していきました」
大型魚の少ないバイトをものにするために、とことんGamakatsuがこだわって作り上げたバーティカルリミット6/0、7/0。販売は、フック単体とアシストフック仕様となる。アシストフック仕様は、より耐久性能高い組み方を今回採用しているとのこと。発売は2024年11月頃を予定。これから数々の大型魚をアングラーに届けてくれることだろう。発売が楽しみだ。
製品紹介ホームページ
https://www.gamakatsu.co.jp/products/68-822/
開発動画