【ソルトゲーム基礎知識②】
きちんと設定し、ラインブレイクを防ごう!
リールのドラグ設定ってどうやるの?
リールには、ドラグという機構がある。これは使用するラインの強さによって設定し、魚の走りによってラインブレイクを防ぐためのもの。しっかりと計測しておけば、ラインブレイクが減り、より魚を手にすることができるのである。ドラグ設定は、初心者ほど正しく設定することが大切だ。
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ドラグ設定は初心者ほど必要
ドラグ調整はルアーフィッシングの基本である。ドラグは、事前に設定しておくことで、使用するラインの引っ張り強度に達する前に、ラインを放出して切れるのを防ぐという機構。特に海は、予想よりも大きな魚が掛かる可能性もあり、使用するラインの強度以上に締め込んだドラグでは切れてしまうので、しっかりと設定しておきたい。
では、ラインが切れないように太く、強いラインを使えば良いという考えも浮かぶが、太くすることで抵抗を受けやすくなる。ジギングでジグを沈めた時には、潮の影響を受けやすくなり、ジグが流されたりすることもあり、しゃくるのも重くなる。キャスティングにおいては、飛距離が出なくなる。逆にドラグを極端に緩くすれば、ラインは切れないが、魚がなかなか寄らずに、根ズレや根に潜られる可能性が高くなると言える。そういったことからベストな太さのラインをセレクトし、ドラグ設定をしっかりして行っておくことが必要となるのだ。
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リールのドラグは、スピニングならスプールの前方、スタードラグのベイトリールはハンドルの付け根、レバードラグのリールはレバーの付け根のダイヤルを回転させて設定する。
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ドラグ設定は、手で感覚を頼りに調整するだけの人もいるが、初心者ほどどのくらいで何キロなのかが分からないため、しっかりと測定しておきたい。
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しっかりと計測していれば、引きが強い魚がヒットしてもラインが切れる心配は少ない。ジグやプラグを投入する前に、計測しておくことが必要だ!
ドラグ値は、ライン強度の1/3、1/4が基本
ドラグ値は、使用ラインの強度の1/3、1/4ほどが目安となっている。なぜここまで、強度よりも低い値で設定する必要があるのか?
ソルトゲームを楽しむ人の多くは、PEラインを使用する。このPEラインの先にリーダーを結ぶことになるのだが、その結び目、ルアーを接続するためのリーダーの結び目は、結ぶことによる摩擦で強度低下を起こす。結び方には、様々なものがあり、強度低下を極力起こさない結びもあるが、もしもの時も考え低めに設定するのだ。
その「もしも」とは、きちんと結ばれてないとき、知らない間にPEラインやリーダーに傷が入っているなどだ。
では必ず1/3、1/4設定なのかというと、そうでもない。スローピッチジャークのファイトでは、ロッドとラインを直線的に構えてファイトことから、ガイドによる抵抗が少ないと考え、ドラグ値を1/3、1/4より上げることもある。逆に、刺さり重視の細軸のハリを使用している場合で、根ズレの心配がそれほどない場合はドラグ値を下げたり、ドラグ値をあえて低めに設定して魚を走らせて疲れさせたり、魚の口切れ、身切れを考えて低くすることもある。
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スーパーライトジギングや、タイラバなどでは、細軸のハリの使用、口切れを防止する考えから、あえて緩めにドラグ値を設定することもある。
ドラグの設定方法
ドラグセッティングの方法だが、実際に釣りをするときと同様に、ロッドにリールをセットし、ガイドにラインを通し、ラインに計測するハカリをセットして行う。この時、魚が掛かった時を想定して、通常はロッドを曲げて計測していく。これはガイドの抵抗を含めて計測するため。ジギングの場合は、下へと突っ込むファイトが主なため、ラインは下方向、キャスティングでは斜め下方向で計測するのがベストとなる。設定したい値の時に、ドラグが効きラインが出るように調整する。
計測は、ハカリや計測したい重さのオモリで行う。ハカリの場合は、ロッドを持ちドラグを調整する人とハカリを持つ人が必要になる。一方、オモリで行う場合、水の入ったペットボトルを利用して、そのペットボトルにラインを結び、それをロッドを曲げて持ち上げる動作で設定を行う人も多い。1Lの水が入ったペットボトルなら1㎏、2Lなら2㎏だ。
またリールのドラグ設定用に開発されたボウズプロダクションの「ドラグチェッカー」というアイテムもある。これは、ラインを突起に挟み、ラインがまっすぐになろうとする力で計測するもの。ハカリの目盛りが止まるため、ラインをどこかに固定すれば1人でも測定が可能だ。
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ハカリの場合は2人一組で、設定していく。写真は、ハカリ機能の付いたフィッシュグリップ・スタジオオーシャンマークのオーシャングリップを使用。
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スタジオオーシャンマークのオーシャングリップ。ハカリが付いているモデルを選べば、魚の重さを計測するだけでなく、ドラグ設定時にも重宝する。
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ラインを挟み込んで測定。ラインがまっすぐになろうとすることで、数値が出されるドラグチェッカー。写真はライトジギングに最適な5㎏モデル。この他に、1㎏、3㎏、15㎏モデルが発売されている。
ドラグ値の目安
では、実際に使用ラインに応じて、どのくらいの数値なのか? 下記を参照してほしい。ちなみに下の数字は、1/4で計算した値。1/3に設定する場合は、設定値は変わる。またlb数は使用するラインにより異なるので、リールに巻いてあるラインのlb数を調べ、それに応じて数値を出してほしい。
PE0.8号(16lb)約7.25kg⇒約1.8kg
PE1号(20lb)約9kg⇒約2.2kg
PE1.2号(24lb)約10.8kg⇒約2.7kg
PE1.5号(28lb)約12.7kg⇒約3.2kg
PE2号(33lb)約14.9kg⇒約3.7kg
PE3号(48lb)約21.7kg⇒約5.4kg
PE4号(64lb)約29kg⇒約7.2kg
ちなみに一度、ドラグ設定した同じタックルであれば、前回の設定時のロッドの曲がりを覚えておくことで、正確ではないもののほぼ同じドラグ値に設定することも可能。この方法なら、ルアーまでセットした状態で、ルアーのハリをタックルボックスや船の金具などに引っ掛けて、設定することができる。ちなみに、ドラグは毎回、帰港後にタックルを洗う時にはしっかり締め、その後はドラグを緩めて保管しておくのがベストだ。
釣りは、やり続けていると、より大きいサイズを釣りたいと思うようになるもの。大きい魚を狙う時こそ、ドラグ調整はしっかりと行わなくてはならない。また、大型魚狙いにおいては、使用しているリールのドラグの性能が優れているかというのも重要。ドラグ値の変化が無く、スムーズにラインを放出されることが大切だ。少々、めんどうくさいと考えられがちなドラグ設定。しかし、しっかりと身に付けておきたい。
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ドラグがしっかりと設定されていれば、大物に対して勝負できる。不安要素は極力、無くしておきたい。