連載 平松慶のオフショアワールド vol.2

2022年 北海道オホーツク海・紋別沖で狙うブリジギングゲーム

「北海道オホーツク海エリアでブリをジギングで狙う」。今年の行動指針のひとつは、オホーツク海でも紋別沖に絞ってというものでした。今年で約10年という北海道ブリ行脚を続け、本州で狙うブリのジギングとは大きく違うスタイルが近年見えてきています。メタルジグを落としてしゃくるだけのスタイルでは、偶然はあっても必然的な釣果にはなかなか繋がりません。私のオホーツク海で学んだブリジギングを、公開したいと思います。

2022年 北海道オホーツク海・紋別沖で狙うブリジギングゲーム

 

オホーツク海・紋別沖のブリゲーム時期と行動

北海道は日本海、太平洋、オホーツク海、という海域で分けられ、そのエリア毎にブリが釣れる時期も狙い方も様々です。そして本州と北海道のブリゲームの一番の違いは「北海道ブリは夏の時期に回遊してきたものを狙う」ということです。実はこの回遊してくるブリと、本州でいわゆる「居着き」と呼ばれる、そのエリアに一年を通じて生活環境として生息しているブリとの違いを考えなくては、北海道でのブリジギングゲームは成立しません。また海水温の上昇に伴い回遊してくるブリなだけに、狙える時期も限られており、本州とは全く違う時期が最盛期になってきます。北海道の冬は、とにかく寒い。エリアによっては流氷の接岸などもあり、その時期はブリが生息することは不可能です。ですから海水温が上昇している時期のゲームとなります。

まず紋別沖でのシーズンと海水温について。日本海側の積丹半島でブリが釣れ始める5月下旬から6月初旬は、まだオホーツク海の紋別沖はサクラマスジギング最盛期です。海水温が5~7℃と低く、6月上旬まではサクラマスジギングになります。この時期が終わり、宗谷岬を越えて温かい潮流がオホーツク海に流れ出すと、私はブリの気配を気にしだします。まずブリの回遊よりも少し早いシイラの回遊があり、その後の7月頭頃から紋別沖はブリジギングがスタートとなります。

7月頭で例年の海水温が13~14℃。8月には紋別沖では高い海水温と言われる16~17℃となり、そしてブリの戻り時期となる10月下旬では9℃程になりブリは姿を消します。この海水温データが基準となって、遊漁船のジギングシーズンをわかりやすくしています。

ブリのシーズン

紋別沖のブリは、7月頭頃からスタート。水温を観察していれば、ブリのシーズンが見えてきます。

オホーツク海紋別沖ブリの攻略法は?

今年は7月下旬、8月頭と9月下旬に紋別ブリを狙ってきました。これまで何度もこのエリアでブリを狙ってきましたが、ブリと一緒にマフグも辺り一面に生息します。また紋別沖の地形は、ホタテ漁業の操業場であり、ブリをストック出来るような魚礁や大きな根がほぼ存在しません。紋別沖でブリを狙う一番重要なキーポイントは、潮の読みとブリの回遊する層、これが重要になってきます。

マフグの量は半端なく、それこそ「1落とし1ヒット」になります。ですので、いかにそのマフグをかわしてブリを選んで釣るか、が大切になってきます。また船長がブリのポイントとして船を付ける位置は、大きな瀬の変化が少しでもある場所や、潮目が出来ている位置です。潮目は多くのプランクトンが発生し、それを追うベイトが溜まります。ベイトはオオナゴや、海水温が高い時期になればカタクチイワシ。もちろんマフグもそれらのベイトも捕食するので、フグ対策は必ず必要になります。

ブリを狙うポイントは深くても60m前後。それ以上を狙う例外もありますが、あまり狙わないのも紋別沖の特徴です。マフグ対策として、メタルジグをしゃくる際、毎回船べりまでジグをしゃくり続け、そして次の投入は出来るだけ船からジグを離すように投入することです。しゃくっているメタルジグのアクションを途中でやめて、落とすとほぼ間違いなくフグがジグを追います。毎回入れ直すこと、そして斜めで探るような「線の動作」を意識した誘いがマフグを回避出来、ブリに近づける狙い方になります。

アクションは、スピニングタックルでワンピッチアクション。ホバーリングなどの「点の動作」を入れて探ることはお勧めしません。それほどマフグの活性は高いからです。またオホーツク海の特徴で、潮の流れは速く、ブリの活性が高い時のコンディションは、1.5ノットの流れが良いと経験で感じています。もちろん潮流2ノットを超えるような状況でもブリはヒットし、潮の動きも重要になってきます。ポイントが、広い瀬に絡む潮目狙いになっているので、ジグを見せて狙うような「点の動作」での探りよりも、どんどん打ち直しての「線の動作」で探ったほうがこのエリアでは合っています。

魚探

大きな変化がない紋別沖。テンポよく「線の動作」で広く探っていくことがコツです。

マフグの猛攻を避けなくては、ブリは釣れない

マフグの猛攻を避けなくては、ブリは釣れない。その方法は、一回一回船べりまでしゃくり、入れ直すこと。そしてブリの回遊する層をいち早く、把握することです。

平松流のマストパターン

メタリジグを斜めに引けるように、出来るだけ遠くにジグの投入位置を取るようにします。マフグ対策と、そしてブリは完全なる回遊によって動き回っているからです。地形の変化が極端に少ないエリアでのゲームです。広く探り、ブリの回遊に当てることを重視します。また、ジグのしゃくるスピードですが、ワンピッチアクションでメリハリをつける操作です。イメージとして、マフグの群れをジグがシャープな動きで通過し、その群れの中にいるブリに口を使わせる、という考えを常に持ってジグ操作をしています。ポイントは潮目探しが中心であり、そのあたりを理解することで釣果がはっきりとしてきます。使うジグサイズは160~180g。私は長めの形状よりもセミロング以下のタイプを好んで釣果をあげてきています。

オホーツク海紋別沖エリアは、7月初旬から10月下旬までの短いブリシーズンになります。本州とは違い、独特な狙い方が楽しみなエリアです。ホタテ漁船の後ろで砂が舞う時にオオナゴなどが舞い上がり、これによってブリの活性が上がったり、ナブラが起きたりする様なエリアです。このエリアは、マフグ対策とメタルジグの操作をアングラーが常に頭において狙うというのが、一番の魅力ではないでしょうか。

【取材協力船】
ホライゾン2 (船長:有持和也船長、紋別港ガリンコ号乗船場横)
TEL:090-7052-2882
ブリ船代 一人10000円(氷付き、定員:10名、レンタルタックル有り2000円)
出船時間:4:30港集合~5:00出港、12:00帰港
ブリ狙いの時は、1名から出船可能

AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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