デカいサイズが連発!
アルゼンチン・ウルグアイリバーの
ドラードフィッシング
【② 実釣編】
日本の反対側にあるアルゼンチン。そこに生息する黄金の魚・ドラード。いつかは釣りたいと長年思っていたこの魚を求めて、2022年の年末から新年にかけてアルゼンチンへ訪れた。釣り場到着までは約2日間と遠いが、それだけの価値はある。道具やアクセスについては前回の【①フィールド、アクセス、道具、宿泊など】でお伝えさせてもらったが、今回は、その実釣編だ。
いよいよ実釣編!
長旅を終え、ついに4日間のドラードフィッシングが始まった。前回の記事でも書いた通り、アルゼンチン・ウルグアイリバーのコンコルディアでのドラードフィッシングは、週に4日、1日に2艇だけドラードが数多く生息するダムエリアに入れるというレギュレーションが設けられている。今回、我々は7名での釣行であったため、3名、2名、2名に分かれて乗船。1艇は、ダムの少し下流の一般エリアでやる。最初の3日間は自分は3名グループで乗船。沖縄本島でGTをメインにした遊漁船・ノアマリンのスタッフである新開さん、吉田さんというメンバーで楽しんだ。釣りは午前午後と分かれているため、皆がダムエリアに入れるように計画した。
朝、食事を済ませてから車で5分ほど走り船着場まで移動。人数が多いため、トラックの後部座席と荷台に分かれて移動する。到着後、今回お世話になる3名のキャプテンと挨拶をかわして乗船。事前情報通りに、この時期にヒットが多いというトップウォータープラグ(ダイビングペンシル)を、ひとまずタックルに装着した。皆の目標は、まず20lb(10lb=約4.53㎏)とした。
ちなみに後で分かったことだが、ダムエリアに入るキャプテンの2名は、それぞれに好みの狙い方があった。1人は、僕らが持ってきたルアーの中からベストなものを選び、それで探らせてくれるキャプテン。もう一人は、ルアーでやらせてくれるが、釣れないと自作のヘビージグヘッドや中通しオモリのリグに、フェザーや自作のナイロンビニールを巻いたルアーを「これがいい!」と勧めてくるキャプテンだ。この自作ルアーが良く釣れるのだが、あれこれ考えて持ち込んだハードプラグを自分なりに動かして釣りたいというのが正直なところ。ただ、勧められたときは「郷に入っては郷に従え」と、メンバーはしばらくは使う。今回はルアーメーカーの取材ではないし、釣れるのだから断る必要もない。
さて肝心な釣りだが、まずダムエリアに到着したら、アルゼンチン側のダムの付け根に近づき、そこを管理しているポリスに挨拶をする。そしてパスポートをチェックされる(チェックは最初だけだった)。そこでOKが出れば、いよいよ釣りだ。すでに周りではドラードの跳ねが見える。大型も跳ねている。このエリアにドラードが集まっていることが分かり、期待が高まる。
情報通りトッププラグからスタート
まず手始めにキャストしたのはマリアのレガート。インターネットで数年前に釣行したアングラーの記事を見ると、マリアのローデッドの速巻きが良いという記述があったため、より速い動きに対応するように作られた新しいモデルのレガートを選んでみた。すると、数回のキャストですぐにバイト。これはフックアップしなかったが、そのすぐ後にフッキングまで持ち込むことができた。
ドラードならではのジャンプを繰り返す。そのジャンプは、ボートの脇に寄せてきても披露する。これがたまらなく面白い。ボート近くんに寄せてしばらくやりとりし、ドラードがおとなしくなったところで、キャプテンがリーダーを掴む。そしてボガーグリップで掴み、ルアーを外してからドラードを手渡してくれる。大きいサイズなら、キャプテンがぼーがーグリップで量った重さを教えてくれる。ファーストキャッチは10lb超えない、この地ではベイビーサイズと言われる個体であったが、1尾目だけに嬉しい。やっと念願のドラードを手にできたのだ。もっと釣れるまで苦労するかと思ったが、小さいながらも意外に簡単に釣れたことに驚いた。それだけ、この地はドラードパラダイスということなのだ。
その後、アタリは出るがなかなかフッキングまで至らない時間が続いた。ダムの最深部エリアではなく、岸際の浅瀬を攻める感じであった。船長が勧める動かし方としては、とにかく速くというもの。ダイビング系のペンシルであれば、通常の使い方であるワンピッチ&ワンジャークをよりテンポを速く行う感じ。多少、水面にボディーが出ても追いかけてくる。またポッパーでも、一回一回ポッピングを行うというよりも、速い巻きで飛沫を上げながら巻いてくる感じが良いようだ。
ここでキャプテンが、自作のジグヘッドのルアーを勧め、ダムにより近いエリアに移動。すると同船の新開さん、吉田さんにもヒット。こちらは、自分より大きいサイズだった。後にサイズ感覚は変わるが、この時点ではうらやましいと思うサイズだった。
沈めたほうが、ヒットしてくるのがデカい!
初日の最初はトップウォーターで狙っていったものの、大型が出ないことで、その後の2人のキャプテンは、よりダムに近い深場を攻める選択をした。ここから、トップウォーターでの釣りはほぼ無くなった。沈めたほうが釣果が出たからである。また大きいサイズも混じる。ダムの近くでは、ダムがどのような構造になっているのか分からないが、放水の水はダムの壁から流れてくるのはほんの少しで、多くは水中から湧き水のように流れてくる。そしてその周りがメインポイントとなる。そこに投げろ!とキャプテンから指示がでる。
ここで船長が勧めるルアーは、ラパラXラップマグナム。中でもXR30MAGがベストだという。16cmのボディーで72gのウエイト。潜行深度9mというモデルだ。ワンサイズ小さいXR20MAG(14cm、46g、潜行深度6m)ではダメだという。新開さん、吉田さんは、このルアーを持参していたため迷わずこのルアーを装着。キャプテンの指示通り速めの巻きで動かしていく。一方、自分はシンキングペンシル、重さのあるシンキングミノーを試していく。するとキャプテンが勧めた通り、新開さん、吉田さんはバイトを得た。2人とも数本釣り、20lbオーバーまで難なくキャッチ。自分にはアタリが無い。
自分は色々と試すが、動きが合っていないのだろう。釣り場はどんどんダムからの水が湧いてくる場所。その中で、着水と同時にどんどん沈み、速い巻きでも浮き上がらない動きが良いのかもしれない。
ちなみにアタリがあるのは、水が湧き出ている箇所の脇に落とし、ルアーを流されながら潜らしていく。その中で、流されたルアーがヒラを打つ場所でヒットしてくることが多い。河川で流れに対して直角気味にルアーを投げて、ルアーをドリフトさせながら巻き、流れ切ったところでヒットしてくるシーバスやトラウトを狙う感じに似ている。
そんなパターンを見て、自分は湧いているエリアの奥の、流れが少し緩やかな場所にシンキングペンシルを着水させ、しっかりと沈めてから流れに乗せるというやり方なども試していくが、何かが違うようだ。
そんな自分を見かねて、キャプテンはジグヘッドにフェザーとナイロンビニールを巻いたルアーを勧めてきた。これを水が湧き出ているエリアの脇に落とし、ラインテンションを保ったまま沈め、ある程度沈んだところからリトリーブし、少し巻いたらまた落とすという動きを繰り返して探ってみる。すると、リトリーブのし始めで「ドスン」とすぐにヒットした。強い引きに、なるべくラインを出されないように耐える。周りには水中に岩が点在している。ラインを出されすぎると、メインラインが岩に擦れてしまう。ドラグは5㎏ほど。それでもラインは出されるので、ハンドドラグで対応していく。そして無事キャッチ。寄せてきた魚は、最後にキャプテンがリーダーを掴み、ボガーグリップで掴み、サイズを言って手渡してくれる。32lbの良型であった。すぐに目標の20lbを多くの人が越え、我々の目標は50lbに変更された。
大型をコンスタントにキャッチ
翌日からは、釣り方が分かってきたことで、コンスタントに同行者たちはキャッチした。ちなみに自分は、沈むルアーとして出発前日の夜に部屋から出てきて持参したデュエル社の「BIG BLUE POWER VIBE(生産終了)」という、125㎜で80gあるバイブレーションプラグの速巻きが良いことを発見。そしてこのルアーで連発した。皆のヒットの頻度は、半日で1人5~10発。キャッチは半分から1/3程度といったところ。とにかくバレが多いのだ。ヒットと同時に、バレを意識してかなり強くフッキングを入れるが、硬い口になかなかフックが刺さり込まないようで、ジャンプでフックアウトしてしまうのである。これはトレブルであっても、シングルフックであっても変わらず起こる感じだった。そのため、軟なフックでは半掛かり状態で伸びてしまう。太めのシングルフックでも伸ばされ、刺さりきっていないのが想像できた。
また、ドラードは鋭い歯を持つことから、リーダーにワイヤーを使うという考えもある。ワイヤーであれば、ラインブレイクすることが無く安心であるが、今回自分は使わなかった。ナイロンリーダーでは、キズが入ったら結び変えて対応し、フロロカーボンリーダーも使用した。結果、リーダーブレイクでのルアーロストはゼロだった。
そして2日目午後には、今釣行の最大となった50lbというビッグサイズを吉田さんがキャッチした。あと一歩で世界記録サイズである。最終的に結果としては、40lb台も数本キャッチされた。自分の最大は38lbであった。十分満足できる釣果だ。
今回の釣行では、天候にも恵まれた。4日間釣りスケジュールのうち、3日目の午後だけ出船後に雷、大雨で撤収となったが、残りは良い天候の中で楽しむことができた。
見知らぬ土地への遠征。準備の段階からあれこれ考え楽しく、ワクワクしながら現地に向かい、到着したら夢の魚を朝から狙い、のんびりランチタイムを過ごし、午後もしっかり釣りをし、夜は食事をしながら釣りの話で盛り上がる。釣り人にとって、最高の時間。だから遠征は良いのだ。費用と時間を考えると、簡単には行けない場所。だが、ドラードを釣りたければ、この地は行く価値が十分ある。ちなみにシーズンは、日本の冬の時期。シーズン中の週に4日、1日2艇(アルゼンチン側、ウルグアイ側からも2艇)しかこのエリアを狙えないため、予約はすぐに埋まってしまうという。気になる人は、すぐに下記のトラベルプロ・アングラーズネストに問い合わせてほしい。自分は他にも釣りたい魚、行きたい地は沢山あるが、このアルゼンチン・ウルグアイリバーはいつかまた行きたい。