連載 平松慶のオフショアワールド vol.14

オフショア実釣。
伊豆諸島 南沖で仲間達と実釣会!
カンパチ、ヒラマサ、キハダを狙ってきた。

6月に御蔵島タックルの解説を記事で伝えてから、2度の悪天候、ターゲット未キャッチと続き釣果報告が出来ないでいた。そんな中、今回はいつも御蔵島釣行でお世話になっている伊豆網代の森竜丸で、御蔵島と合わせて意識している伊豆南沖に釣行。自身が運営しているショップ・Goldicの釣行会だ。相模湾内でもキハダが好調に上がり始め、シイラも熱くなっている。いよいよ夏本番! 伊豆南沖での実釣の様子を報告したい。

オフショア実釣。<br>伊豆諸島 南沖で仲間達と実釣会!<br>カンパチ、ヒラマサ、キハダを狙ってきた。

伊豆南沖へいざ、出港。

今回の釣行メンバーは、2時過ぎに東伊豆の網代港に集まり、3時に乗船する。船は森竜丸。伊豆遠征船としてルアーだけてなく、泳がせ釣り、近海のファミリーフィッシングと、様々な釣りを楽しませてくれる船だ。船長夫婦とは古くから親交があり、信頼できる船宿さんである。今回はGoldic 周年祭釣行会として企画し、ベテランアングラーから初心者までお客さんを募っての釣行だ。近況で御蔵島よりも南沖に魚影が見えているとのことで、フィールドは南沖を選択した。狙いはキハダ、カツオ、ヒラマサ、カンパチ。表層が賑やかになればキハダを追い、瀬周りの反応に合わせてメタルジグで狙うスタイル。網代港から南沖エリアで最初に入る利島周辺までは約3時間の移動となる。集合したアングラーは、それぞれエアコンの効いたキャビンに入り移動となった。

仮眠を取っていると、エンジン音が変わり、ポイントに到着したことがわかった。外へ出ると、水鳥が水面近くで飛び回っている。そして水飛沫が上がる。その周囲に鳥が突っ込む。右に左に水鳥が激しく群れを成して動いている。そしてその先には利島が雄大に立っていた。潮流がぶつかり合い、白波が線を描く。

6時、ゆっくりと船はポイントを定め、スタートフィッシングのアナウンスを始めた。水深90m。中層にはキハダの反応も出ているようで、「ジグ回収時は気をつけて!」とのこと。自分はまず、ケイジグシャープ200gから落としてみた。潮流の強いエリアでも、リアウエイト形状のケイジグシャープならストレスを感じない。船は、スパンカーを張り船を立てる流しではなく、ドテラ流しで探っていくこと流し方。ミヨシでキャスティングをする仲間との兼ね合いがあるから。スパンカーを立ててしまうと、キャスティングがしにくいからだ。ドテラ流しなら風の表面を捉えれるため、右舷側にキャストを行い、左舷側にメタルジグを投入できる。無風であるなら特に気を遣うこともないが、この日は不安定な風が朝から吹いていた。こうして釣りがスタートとなった。

今回、お世話になったのは、長年乗船している東伊豆網代南の森竜丸。近海はもちろん、伊豆南沖、御蔵島などのプチ遠征で、多くのアングラーに夢を与えている。今回探った利島エリアは、森竜丸は利島に許可を得ていることから探ることが可能だ。

ミヨシではキャスティング、右舷にはジギング組が並び探っていった。中層にはキハダ、ボトム周辺にはヒラマサ、カンパチが回遊する。

青物中心のジギングでの狙い方。

表層はキハダの気配がいっぱいだった。このようなタイミングでは過去に青物のバイトも多かった経験から、私はメタルジグでボトム周辺を丹念に探っていった。船長は、ボトムには青物の反応、中層はマグロが動く反応が出ているとアナウンスしくれる。キハダのスプラッシュを気にしながらもボトムのジグに動きを伝える。片舷でのドテラ流し。100m近い水深でのジグ操作となり、どうしてもメタルジグウエイトが足らないと感じ、ケイジグシャープ200gからGummy250gへとチェンジ。ボトムまでストレスなく落ちていった。しかし、二枚潮だとすぐに分かった。これは難しい。ドテラ流しなのにジグが下の潮では引かれるように動いているのだが、中層を過ぎたあたりから、船に寄ってくるような潮の抵抗を感じる。もの凄く探りにくい状況に手を焼いた。それでもボトムから30mを意識して青物を狙って探り続けた。

8時過ぎになり、潮が動かなくなってしまった。潮見表での数字と実際のフィールドでの様子が一致し、ウエイトを軽いものに戻してみた。当然ボトムでの困難な潮流は落ち着きをみせたが、逆にジグに潮の抵抗が掛からない悪い状況。少し気持ちを楽にして、辺りの状況をゆっくりと見てみる。あれほど騒がしく動いていた水鳥たちは、いつしか水面で休んでいる。更に、潮目に出来ていた潮がぶつかる白波もなだらかになっていた。こうなると、本当に手も足も出ない。メタルジグをしゃくっていても、ジグが動いている様子が全く感じ取れない。

こんなタイミングでは、タックルのチェックをし、必要ならば直しておく。今回、自身は気合を入れて80lbのフロロカーボンリーダーで準備をしてきたのだが、次に動く下げ潮での二枚潮を予測し、リーダーに受ける潮の抵抗を考え、50lbリーダーを結束。潮が複雑な場合、どうしてもリーダーが太いと影響を受ける。少しでも深場でのメタルジグの操作を優先したタックルセッティングで、下げの潮に挑みたかった。後半の潮の動きに賭ける。

水深は、深いところで160m、浅いところで60mほど。深い場所では、自ずと220g以上、300gほどのジグまで使用することになる。カンパチ、ヒラマサはボトムから20mほどが狙う層になる。船はドテラ流しで流れており、ラインは斜めに出るため、スピニングタックルのほうが強弱をつけたしゃくりが行えるため扱いやすい。

潮の流れに合わせて、ジグを重い物、軽い物に交換していく。程よく潮を噛むウエイトを選ぶことで、よりジグが効果的な動きを演出する。

平松流のマストパターン

潮が再び動き始めたのは、水鳥たちの活発な動きで確認できた。そしてジグで探る水中の様子も、はっきりと感じ取れるようになった。「食いそうだ!」。つい口に出してしまった。ジグが受ける潮の抵抗は、釣れている時こそ、引き重りが少なくてよく動いている。「食いそうだ」と感じる様子がそこにあった。この時、他船から、18kgと13kgのヒラマサが泳がせ釣りでキャッチしたと船長に連絡が入った。青物は動き始めている。

私はボトムから丁寧なジグ操作で青物を探った。すると「グッ!」そして「ググッ」っとバイトがあった。しかし掛からない。まだ食いが浅いのか、小型の青物がジグにじゃれるようにしているだけなのか? それでもバイトはあった。ここからが集中の時間帯だ。

キハダが再び動き始める。水鳥が騒がしくなる。キャスティングしている仲間も気合いが入ってきている。潮が動き出したタイミングで後半戦が熱くなってきた。このタイミングで船長は大きくポイント移動。20分ほど船を走らせた。水深80m。ここから60mまでの広い瀬を狙う。装着されているジグはGummy200gだったため、もう少しアップテンポで探りたいと感じ、同じGummyの220gにチェンジ。ボトムにはベイトに混じった青物の反応が出ていると船長がアナウンスしてくれた。

中層にキハダの反応、ボトムに青物の反応。キャストして広く探ってく。

しゃくりは、一定のテンポで下から上まで探るのではなく、ボトム付近ではヒラマサ、カンパチのヒットを想像して、テンポよいしゃくりと食わせの間を入れる動きで探っていく。その上の層では、キハダを意識して探る。ジグ回収時も、キハダのヒットの可能性があるため油断しないようにしたい。

後半、潮が動き始め鳥も動き始める。水面にはキハダが姿を現す。ミヨシではすかさずプラグをキャスト。タイミング的には喰いそうな感じであったが、小型ベイトを捕食しており、なかなかプラグに喰いつかない状況が続いた。

そして、ふた流し目、ミヨシ側でメタルジグで探っていた石川さんにヒットが訪れた。ロッドがしっかりと弧の字を描いている。青物だ。船中、このファイトで活性が上がる。ゆっくりと丁寧にリフトしてキャッチしたのは5~6kgサイズのカンパチだった。船長の的確な判断に間違いはなかった。さあ、次は私も、そんな気合いが入る。

待望の初ヒットはミヨシ側でしゃくっていた石川さん。この1匹で皆のテンションも上がった。

私の横でしゃくっているのは、まだオフショアゲームを始めて一年目の仲川麻里さん。ご主人と毎週のようにマイボートで釣りを楽しんでおり、伊豆沖は初チャレンジだという。アドバイスするために横でやってもらったが、何ひとつアドバイスする事もなくジギングをこなしていたので、私は横目で見守るくらいであった。その麻里さんがボトム着底2しゃくりでバイトを得てロッドを曲げた。

ドラグ音が響く。慌てながらも必死にリールのハンドルを巻く。ラインは下へ下へと出ていく。青物だ。すぐに私はファイトのサポートに入った。リフトのタイミング、ポンピングの仕方、そんなアドバイスを入れた。ロッドを握る彼女から、緊張感が伝わってくる。もう少しだ、と仲間からも励まされながら魚とのやり取りを続けた。水面に姿を見せたのはカンパチだった。ランディングして、全ての緊張が解けたようで、満面の笑みを浮かべた。4kgクラスだったが、彼女にとってはファーストカンパチ。私が作り上げたGummy180gで見事にキャッチし、サポートに回った私も嬉しかった。連続してのヒットに皆、興奮する。まだまだ狙える。船中、集中してジグを落としていく。時合というのは、こういう時。すると安富秋夫さんのロッドが強烈に絞り込まれた。安富さんは伊豆フィールドに精通しており、ジギングはベテランの域。魚はヒットと同時に走る。ゴンゴンとロッドを海面に叩く様子を見て、良型だとすぐにわかった。ドテラ流しで右舷側で釣りをしていたので、トモから回り込み、左舷側に移った。それほどの強烈なファイト。安富さんも必死にやりとりする。しかし…。詰めの場面でフックアウト。悔しかった。フックアウトしてしまったから何とも言えないのだが、明らかに良型の青物だった。終了時間ギリギリで時合が始まったため、これがラストとなってしまった。これが伊豆南沖の魅力であり、私にはヒットは無かったが、同船者の皆さんは、きっと次の思いが募ったのではないだろうか。

オフショアゲーム1年目の仲川麻里さんにヒット。皆に励まされながら、必死のファイト。見事、カンパチを水面に浮かせた。サイズは小型だが、初めてのカンパチ。かなり嬉しかったことだろう。

今回、Goldicのお客さんでチャーターした釣行会。私自身も釣りを楽しませてもらったが、ホスト役としてのお手伝いもした1日であった。御蔵島や利島、南沖といった伊豆沖はまだまだこれからも熱くなってくると感じる。Goldicを立ち上げた17年前。その何年か前から伊豆沖に通い出し、ヒラマサやカンパチといった青物ジギングの開拓を森竜丸さんとともに行ってきた。近年、大型マグロの回遊もあり、人気で沸く伊豆諸島オフショアゲーム。これからもゲームフィールドの開拓やチャレンジに意欲的にトライしていきたいと思っている。

ジギングタックル
ROD:PENN・TORQUE PHK-63ML
PENN・TORQUE PHK-63M
REEL:PENN・Authority 6500HS
製品詳細ページ
https://www.purefishing.jp/product/brand/penn/

LINE&LEADER:SUNLINE・X8 FULL CONTACT 4号&Tunageat12号、14号
LURE:K-FLAT・Gummy180g、200g、220g、250g
Gummy-fat180g、200g
KEI Jig200g KEI Jig SHARP200g、235g、260g
AbuGarcia・微弱(ビジャ)メタル180g、200g
HOOK&PARTS:OWNER・HyperWire♯7、SOLIDRING6.5㎜
JS-39 JIGGER MEDIUM Blue Chaser11/0、9/0

タックル問い合わせ
Goldic TEL:046-252-6010(火曜日定休)
HPアドレス https://www.goldic.net/

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文:平松慶
写真:アングラーズタイム編集部

AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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