クロマグロキャスティングゲームを完成させた佐藤偉知郎の完全監修ダイワマグロロッド「SALTIGA C DOGFIGHT」を深掘り

大型クロマグロをルアーフィッシングのターゲットとして確立したアングラーといえば、多くの方が名を挙げるのがSOULSの佐藤偉知郎さんだろう。まだ大型クロマグロを釣り上げることが難しかった時代から果敢にチャレンジ、追求し、そしてスタイルを完成させてきた。そんな佐藤さんが、ダイワとタッグを組みロッドを開発。どのようなモデルなのか、解説していきたい。

※ロッドの写真は、一部プロトモデル。

INDEX

佐藤偉知郎のノウハウとダイワの技術
開発の経緯と性能
新たなダイワキャスティングロッドを支えるテクノロジー
中型から夢のサイズまで狙えるラインナップ

佐藤偉知郎のノウハウとダイワの技術

2001年、クロマグロキャスティングゲームで50kgが釣れニュースになった。それ以前から、今のように強いロッド、強いリール、強いラインが無かった時代に、日本のトップアングラーが幾度となく青森県大間海域に通い、大型クロマグロ狙いのルアーフィッシングにチャレンジしてきた。しかし小型は釣れても、大型はなかなか釣れず、試行錯誤の繰り返しであった。そんな中、2001年に50kgが釣れ、オフショアフィッシングシーンでニュースとなった。今や100kg、200kgという時代だが、この頃は、クロマグロを釣り上げることがとにかく難しかったのだ。そこからキャスティングでのクロマグロゲームは、ライン、ロッドブランク、リール、フック、金具類といったタックルの強化とともに年々進化し、より確立されていった。そんなクロマグロキャスティングシーンを牽引し、今のクロマグロキャスティングシーンを作り上げたアングラーの一人といえば、佐藤偉知郎さんだと多くの人が言うだろう。常にクロマグロにチャレンジ、そして研究してきたアングラーだ。そんな佐藤さんがダイワSALTIGAブランドのロッドを監修した、それが今回紹介する注目の「SALTIGA C DOGFIGHT」だ。しかも2025年は、SALTIGAリールもリニューアルされた（25000番の登場で大型マグロ釣りが変わる!!）。新しい構造で耐久力がアップしたドラグ、大型化されたギアにより巻き上げがよりトルクフルに。更に大きくなり剛性が上がったローター、新構造のオシレート。そして25000番という太糸、大型魚対応モデルも登場。2025年のダイワは、大型魚、大型マグロを獲るために、本気になってアイテムを揃えてきたというわけだ。

さて、DOGFIGHTといえば、ソルティガリールの初代となるソルティガZ時代から発売されていたシリーズ最大であり強化モデルの限定ブラックカラーのモデルだ。ノーマルのソルティガZ自体も、当時、強度が高くそして防水ということで注目を集めた。その中で、更に強さを追求し、大型魚をとことん追求したアングラーが、こぞって手にしたモデルがSALTIGA DOGFIGHTである。その冠を、今回のロッドは受け継いでいる。そして今回のロッドにおいても目指したのは、SALTIGA最強の強度というもの。シングルファイトを前提とした設計で、佐藤さんのファイトスタイルである曲げて獲るということを可能とするために、しなやかでありながら強靭、そして強い復元力を備えたものになる。更に遠投性能。それらを佐藤さんのロッド作りのノウハウ、そしてダイワ最新テクノロジーで作り上げたのだ。

佐藤さんのファイトスタイルは曲げて、魚にプレッシャーを与えて獲るというもの。このスタイルを可能とするために、しなやかでありながら強靭、そして強い復元力、遠投性能を備えたものを目指して開発された。

開発の経緯と性能

今回のモデルを開発するにあたり、まずダイワ社員からの熱い要望だった。記者もその社員からは「いつかは本格的なマグロロッドを作りたい」と聞かされていた。ただそのようなロッドは簡単にできないのも事実。まず社内の人間が、大型マグロと多くのファイトを経験することは容易できない。また佐藤さんは、SALTIGAリールでの契約であり、自身でSOULSのロッドも出していることから、ダイワ社内ルールで簡単にはことが進まない。しかし担当者の熱い考えが会社ルールを変え、そして佐藤さんが協力、監修を快く引き受けてくれたことで実現したというわけだ。

佐藤さんの自身のブランドSOULSのマグロロッドは、これまで多くの実績を得ている。アイテム数も多い。ではそれらのモデルと同じになってしまうのではないか？ということも考えられる。これについて佐藤さんは「SOULSとダイワのロッドは、使っている素材も違えばアクションも違う。またSOULSのラインナップにはない、被らないモデルをダイワ独自の軽くて強いカーボンを使って、全く新しいマグロロッドとして開発しました。長さ、パワーと、SOULSのロッドとは被っていないのです」と解説。
また、性能について聞いたところ「マグロだからといってガチガチのモデルではなく、僕のスタイルである曲げて、プレッシャーをかけて獲るということを前提にしたモデルとなっています。破断強度もかなり高いです。更にダイレクト感が高い。ルアーを動かしている時に、その動きが手元に伝わりやすい。キャスティングにおいても、反発力が強く、もの凄い飛距離が出ます。粘り、リフト力、感度、軽さがバランスよく備わっています。昨年（2024年）は、このモデルのテストで何本も100kgオーバーを獲っています。マグロ入門者でも使いやすく、そして上級者でも納得できるモデルです。自信をもってお勧めできるロッドです」とコメントしてくれた。

佐藤さんのこれまでの多くの経験から導き出された性能を、DOGFIGHTに注入。SOULSのロッドがエキスパート向きなのに対して、DOGFIGHTは入門者でも扱いやすく、中級者、上級者でも納得のいく粘り、トルク、そして軽さ等を装備しているという。

新たなダイワキャスティングロッドを支えるテクノロジー

今回、DOGFIGHTとして佐藤偉知郎さん監修のロッドを完成させるために、ダイワ独自の最新テクノロジーを余すことなく搭載している。粘り強く、力強く、ロッドを立てて曲げて獲れる性能。そして飛距離アップ。これらを可能にする反発力については、感度領域設計システムESS（エキスパートセンスシミュレーション）、HVFカーボン、X45フルシールドで設計。ESSは、曲がったブランクが戻ろうとする動きを、解析、設計する独自開発システム。どこが優れ、どこが足りないかを数値で明確に把握するとともに、釣り人の感性をも設計に反映することが可能な設計システムだ。また、HVFカーボンは、カーボンそのものの高弾性化に加え、カーボン繊維を繋ぐレンジの量を減らしてカーボン繊維の密度を高めることで、粘りや強度を上げるというもの。X45フルシールドは、キャスティング、アクション、フッキング、ファイトなどといった釣りをしている最中の動作で発生するブランクのねじれを無くすために、ブランク外装に45°のカーボンバイアスクロスで締め上げるというもの。キャストアキュラシーとブランク本来の持つ性能が引き出されるテクノロジーだ。

中型から夢のサイズまで狙えるラインナップ

今回発売されるのは、PE６号、８号、10号、12号対応の４アイテムとなる。
まず、最もライトなPE６号クラスの84-6モデル。こちらはPE５号〜６号を使用した中型クロマグロをメインとし、ヒラマサにも対応。軽いブランクで、キャスト時のブレが無く、素早く的確にナブラを撃つことが可能。柔軟なティップと強靭なバットパワーの相乗効果で、シンキングペンシル、ポッパーを器用に操作することが可能なモデルとなっている。

次にパワーのある81-8は、PE８号を使用したクロマグロや大型が期待できるキハダフィールドで活躍するモデル。81の長さと低弾性化したブランクにより飛距離をしっかりと出すことができ、沈むのが早いナブラに対して、少し離れた位置から攻略が可能だ。

更に大型クロマグロ狙いなら、スタンダードと言えるのがPE10号クラスの76-10モデル。キャスティングでの飛距離とファイトのしやすさをバランスよく備えた76のレングスで設計。幅広いエリア、シチュエーション、そしてサイズに対応するモデルとなる。

そしてシリーズ最強となるのが、72-12モデル。大型マグロを相手に、ファイト性能を極限まで高めたショートモデル。ロッドを立てた際の曲がりの支点を、他のモデルよりもバット部に寄せることで、より楽にロッドを立てることができ、魚に強いプレッシャーを与えられる性能。レングスはファイト重視の72のショートでありながら、船縁や手すり、船底をかわしやすい長さに設定。

今後、さらにアイテム数が増える可能性があると佐藤さんはコメントしていたが、まずはこれらが基本となる４アイテム。クロマグロシーズンはすぐにスタートする。SALTIGAリールも、大型マグロに対応する25000番（PE10号360m、12号300mのラインキャパ）がラインナップされた。今から今シーズンのマグロでしっかりと釣果を残すために、準備しておきたい。