連載 平松慶のオフショアワールド vol.5

ジギング講習。青物必打~メタルジグで誘う。
『線の動作』と『点の動作』

「メタルジグの操作。水中で描くジグをイメージしてみよう」
ジギングでの一番の面白さというと「何が釣れるか、わからない」だろう。その発展系として「狙った魚が釣れること」に辿り着く。では、どの様にすれば自分が意図している魚に辿り着くことが出来るのだろうか。今回は、私のスタイルであるスピニングタックルでのジギングを基本として、水中でメタルジグを操作する方法をお伝えしたいと思います。偶然ではなく、必然の釣果への第一歩です。

<span>ジギング講習。青物必打~メタルジグで誘う。</span><br>『線の動作』と『点の動作』

メタルジグで青物を誘う

 

メタルジグの特徴と、狙いたい魚の捕食スタイル、ポイントでの解説

アングラーが船に乗り込む際、そのエリアで狙える魚が見えています。「この時期はブリが釣れているよ」「サワラが回遊しています」「マグロを狙おう」などと船宿からの発信があり、ターゲットがはっきりしているゲームが現在の主流です。これはジギングでもキャスティングでも言えます。「ブリやサワラがイワシを食いあげてナブラが出ている」「ヒラマサの誘い出しで狙いにいきます」など、具体的なシチュエーションが明確になっていることも多く、アングラーが興味を示して行動に移しやすいのも近年のオフショアゲームの特徴です。「釣りものが決まっている」ので、釣りの組み立てもスムーズです。

キャスティングゲームであれば、ヒラマサを狙いに誘い出しスタイルで探っていこうなどとなり、そのフィールドのベイトは何か? イワシベイトか? イカなのか? サンマなのか?となります。そしてベイトによって選択するルアーが違ってきます。サーフェスで展開出来るキャスティングゲームは、プラグのチョイスが重要です。ではジギングではどうでしょうか。ショートタイプ、セミロングタイプ、ロングタイプ‥‥と、ジグの形状の変化とカラー選択が中心になり、現場でその日の状況を察知することが重要になってきます。

ルアーゲームは、ターゲットが何を捕食しているのか? これが重要です。例えば、冬にあるタチウオパターン。ブリが捕食しているベイトがタチウオであり、ショートジグをどれだけ機敏にシャクっても全く反応がなく、ロングタイプのジグを選び、動きを抑えたしゃくりで誘うとブリが反応した、といった経験は多々あります。カンパチ狙いでロングタイプジグで誘っていて、仲間が使っていたショートタイプのジグだけヒットしているということもあります。このタイミングでカンパチが捕食していたのは、タカサゴ(沖縄ではグルクンと呼ばれています)であり、短いジグで小刻みにアクションを入れることで釣果に繋がっていました。こうした「ターゲットが何を捕食しているのか」という分析をフィールドで察知し、すぐに対応して当たりを探していくのがジギングの面白さ。そしてバーチカルスタイルでどの様に誘っていくのか、という部分で頭を悩ませるのではないでしょうか。メタルジグの操作を解説するにために、まずは「ターゲットが何を捕食しているのか」を解説し、そしてジグ操作をまとめていきたいと思います。

ジギング 青物

ジギングでもキャスティングでも、ターゲットが何を捕食しているのか知り、分析することが釣果へのまず一歩。それに応じて、ジグやプラグをセレクトする。

オフショア

ジギングは、目に見えない深場を探ることから、ベイトを見分けにくい。フィールドを知ることも大切だ。

『線の動作』と『点の動作』。メタルジグのコントロールは?

私は、「オフショアルアーゲームのキャスティングもジギングも、狙い方(釣りの組み立て)は同じだ」という考え方を持っています。夏の風物詩、シイラキャスティングを例にします。シイラを狙うのは、流れもの(流木など)、ブイ、潮目といったストラクチャーなど、海上での変化のある場所になります。流木に付いているシイラを誘うために、ポッパータイプでまず広く誘ってみる。興味を示したシイラが反応してくる。シイラが攻撃的反応を取った時に、食わせのタイミングを入れてバイトに持ち込む。これがシイラゲームの一つのパターンです。これを水中で想像しながら行うのがメタルジグ操作になります。

『線の動作』と『点の動作』。この二つは、船長から指示があった棚や水深を流木位置に見立て、ジグを落としていく。「ボトムの反応です、中層にベイトが映っています」、これがサーフェスから見た流木周辺になります。シイラは捕食しやすい環境に身を潜めており、これはブリやヒラマサでも同じこと。動物的行動として、出来るだけ無駄な体力は使わずに捕食したい、と動いています。
『線の動作』と記したのは、流木に付いているシイラにポッパーでアピールしながら探って行くことと例えます。ボトムから中層までを線を描く様にジグをしゃくり探っていく。そして興味のある青物が反応し、追ってくるイメージです。
では次に『点の動作』というと、これは食わせのタイミングを作る、という事になります。ポッパーでスプラッシュをあげながらプラグの存在をターゲットに気づかせ、興味を示したら捕食したいと感じるタイミングを意図的に作ってあげることです。
この一連を想像してジグを操作する事で、何も見えない海中を闇雲にしゃくり続けることの不安が軽減され、どのタイミングでアクションに変化を付けてやれば良いのか、もっと言えば、本当にこのポイントに狙いたいターゲットがいるのだろうか、といった疑問も薄れてきます。
バイトがあったら、間違いなくターゲットはいます。そのバイトがヒントとなり、ショートタイプのジグなのか、ロングタイプのジグで広く飛ばして探るのか、組み立てもできてきます。同じ動作ばかりをしていることは、あまり良くなく、ファーストキャッチを得るまでは、釣れている人の動きを真似る、ジグを合わす、自身でアクション変化をつけてその日の状況を探していくことが大切です。それが面白い部分でもあります。

ジギングは考えて誘うことが大切

ジギングで探るのは変化の見えない海中。しかし、水中にも変化はある。まずは船長のアナウンスによる魚の位置や魚探の反応などを基準にし、その中で線で誘って追わせるのか、点の誘いを入れて食わせの間を演出するのか、などを考え攻略していきたい。闇雲ではなく、考えて誘うことが大切。

ビックサイズの青物

周りで釣れている人がいれば、その人のしゃくり、ジグの形状やサイズなどを合わせるのも良い。

平松流のマストパターン

私は、ジギングで船べりに立った際、メタルジグを出来るだけ投げるようにして広く探ることを心掛けています。スパンカーを張り船を潮に立てる流し、潮に同調させて流すドテラ流しと船の操作も地域によって違いがありますが、どちらも意識的にジグを広く探るために投げて投入しています。ジグを投げないのは、ドテラ流しの胴の間(真ん中釣り座)位です。
先に記した『線の動作』と『点の動作』ですが、この意味を更に解説すると、ジグを一点で探るのではなくて、広く探るという意味も含みます。バーチカル(真下)位置での探りは、どうしてもジグが潮と絡んでいるのかわかりにくい状況になります。またヒットするであろうゾーン(層)のジグアピール時間も短く、しゃくる効率も悪いと考えます。

中層にベイトが映っている状況、魚礁を狙っている場合でも、ターゲットはベイトの周りで捕食するタイミングを計りながら回遊しています。「潮が動かないから魚は釣れない」という言葉がありますが、これは潮が動いているときこそ、ベイトの活動も活発となり、ターゲットも捕食意欲が増していることを意味します。魚礁でも潮がある時は、潮の当たる位置よりもズレてべイトが映っており、潮が動いていないときは、漁礁にひっ付くようにして魚探に反応を出します。いわゆる、ベイトもターゲットもお休みのタイミングですね。ベイトもプランクトンを捕食するために動いており、ベイトの動きがよくなるタイミングいうのは、潮が流れている時であり、ターゲットも活発になるのです。こういったタイミングを知っているだけでも、ジグの操作は変わってきますし、更にジグから得た潮の動きもわかってきます。

落としたジグをしゃくる際に、ジグに何らかの重みを感じながらのしゃくりと、ジグをシャクっても軽く感じてしまう、そんな違いがわかれば、目に見えないジギングも理解できているのだと思います。ちなみに潮が動いていない時にメタルジグのアイにリーダーが絡むことがあります。これはメタルジグに潮の抵抗がない状態で、しゃくりの動きに対してジグが跳ね過ぎてしまうことで起きる現象です。経験された方もおるのではないでしょうか。ジグアイにリーダーがグルグルと巻きついている、それです。この様な状況の時は、ほぼ潮は流れていないと理解することも大切です。

メタルジグとラインの絡まり

潮が動いていない時に、ジグが動きすぎて起こる結び目の絡み。

ガミー ケイジグ ケイジグシャープ

平松が、点の動作、線の動作の攻略で愛用しているのがガミー、ケイジグ、ケイジグシャープ。使いどころ、使い方などは下記にて解説しているので、ぜひチェックしてほしい。

▼ 点の動作の解説

▼ 線の動作の解説

今回は、水中で見えないジグ操作を「シイラのキャスティングゲーム」に重ね合わせた解説いたしました。水中でどのタイミングでターゲットにアピールをするのか? また食わせのタイミングは、どんな場面で入れることが効果的なのか? 潮の動きのタイミングってどんな時なのか? それを知るには‥‥。そんな事を解説しました。ぜひ、想像力を高めながらのジギングのゲーム展開を行ってもらえれば、と思っています。『線の動作』と『点の動作』は、上記のYouTube内で解説しています。更にジグの形状によって誘い方も変化があることも伝えています。この解説と合わせて動画を確認し、ジギングを組み立てていくと、更にジギングの面白さが広がると思います。

平松慶がメタルジグで青物を釣り上げる

AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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