2023年、キハダシーズン開幕!

佐野ヒロム流
三重・尾鷲沖のキハダ攻略「タックル編」

マグロ類、ヒラマサ等の大型魚を追い続ける佐野ヒロムさん(以下敬称略)。これらの大型魚狙いの釣行スケジュールの中で、春から秋にかけて、定期的に三重県に訪れ大型キハダにチャレンジしている。これはキハダの自身の記録を塗り替えるため。そこで今回は、佐野ヒロムが実際に尾鷲沖のキハダを狙う際に、どんな道具を用意して挑むのかをまとめてみた。2023年のキハダキャスティングシーズンも、これから本格的にスタート。ぜひ釣行準備の参考にしていただきたい。

佐野ヒロム流<br>三重・尾鷲沖のキハダ攻略「タックル編」

釣果に繋げるための準備の大切さ

近年の三重、和歌山沖は、大型キハダと出会う可能性が高い地である。昨年、数回にわたり佐野ヒロムの三重県尾鷲沖のキハダ狙いの釣行に取材に同行した。そして昨年11月の釣行の模様を、2023年1月に記事として報告した(佐野ヒロム流 三重・尾鷲沖のキハダ攻略)。この釣行では、初日はキャスティングで54㎏、2日目はジギングで55㎏という釣果を上げた。佐野さん自身も「できすぎ!」と言うほどの2日間続けての釣果だった。

三重県沖、和歌山沖のキハダは、シーズン中にSNSで見ていると、毎日のように釣れていると錯覚してしまう。ただ、日によってはキハダに出会えない、いても喰わない、チャンスが少ないという日も多い。行けば、バンバン跳ねているわけではない。そんな中でのチャンスタイムに、いかに掛けて確実にキャッチに繋げるか。それには、キハダの動きをしっかりと見て、キハダの泳ぐ方向を把握し、その先にルアーをしっかりと着水させて誘うこと。そして、万全の準備をしたタックルが必要不可欠であるということ。大型になるほど、獲るためにはタックルセレクトは重要になるのは言うまでもない。そこで、今回は佐野さんに使用している道具を取材し、まとめてみた。ぜひ参考にしてほしい。

良いサイズのキハダ

飛距離を出して投げられるタックル

良いサイズのキハダを確実に手にするには、しっかりと飛距離を出して投げられるタックルとともに、強さが必要になる。60㎏、70㎏オーバーといった大型キハダの可能性がある海域だけに、万全のタックル準備が必要だ。

大型を意識したタックルセレクト

佐野さんは、4月から11月頃まで、なかでも大型を狙って三重に通っている。
「タックルはその時に捕食されているベイトによって変化してくるのですが、この海域のキハダはサイズが大きいので、PE6号、7号、8号タックルをメインに、さらに70㎏オーバーの特大サイズがいる時はPE10号のタックルも使用します。小型のベイトを捕食していて、通常より小型のトップウォーター系プラグや、CBONEのオズマなどのシンキングペンシルなどルアーサイズを落として狙うような時に、飛距離を稼ぐためにタックルパワーを落としたとしてもPE5号です。相模湾などではPE3号、4号を使用することもありますが、三重ではキハダの平均サイズが大きいことから最低でPE5号。5号なら、強引なファイトをしなければ40、50㎏といったサイズをこれまで獲っています。より確実に獲ることを考えれば、PE6号、8号でしょう」

タックル

メインラインはPE6号、7号、8号がメイン。できれば釣行前に新品のラインを巻いておきたい。

使用するプラグ。ポッパーが最近熱い!

基本となるルアーは、トップウォータープラグで、アクションのキレが良いアピール系のペンシルとなる。
「よく使用するのはCBONEのライアンやロデオ、ゾロといったモデルです。捕食されてるベイトの状況、キハダの活性状況などに合わせられるように、130~250㎜のサイズを用意します。誘い出し、ナブラ撃ちともに使用します」
加えて、近年はポッパーでの釣果が多いという。
「小口径で泡を纏いながら早い動きの誘い、ミノーのようなウォブリングでアピールするCBONEディクソンや、多くのアングラーが使用して結果が出ているバズー、バズースリムをセレクトしています。バズーは、ショートポッピング&ステイで泡を出して泡の中にルアーを隠したり、ストレートリトリーブで動かしたりもします。ポッパー系も160~260㎜と幅広く持参し、ベイトのサイズ、キハダの活性などにより使い分けます」

ライアン
ライアン

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ロデオ
ロデオ

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ゾロ
ゾロ

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バズー
バズー

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ディクソン
ディクソン

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装着するフックについて

「プラグに装着するフックですが、僕の場合は、速引きで後ろから追わせてルアーにバイトさせる攻め方より、ルアーをスロー気味、ミディアムスロー気味で動かし、キハダにしっかりと見せてスイッチを入れ、お腹のあたりにバイトさせるのが得意なので、腹のアイにショートアシストタイプのフックを2本装着しています。このフックは、アシストラインが短いと可動範囲が狭いので、少し長めのものをセレクトしています。ただ長すぎると、ルアーの背中部分にフックアイが掛かってしまうので、掛からない長さを目安にします」
ちなみにテールのフックは、自由度があるのでショートアシスト1本にしているという。テールは長くしてしまうと、ルアー本来のアクションを抑えてしまうからだ。
「テールを1本にすることでテール側が軽くなり、プラグの姿勢が崩れてしまうような時は、ルアー本来の動きが出なくなってしまうので、そんな時はフックを装着するスプリットリングにシンカーを装着して調整します」
ちなみに使用フックは、ヴァンフックのビーストエッジBG86シリーズ、スタジオオーシャンマークのオーシャンツイン。シンキングプラグには、ヴァンフックのボルトロックだ。

左はヴァンフックのビーストエッジ、右がスタジオオーシャンマークのBG86シリーズ。

シンキングプラグには、このフックをアシストフックのようにリーダーが結ばれるリングに装着する。

バズーにヒットしたキハダ。カンヌキに腹のフックがしっかりと掛かっているのが分かる。

愛用ロッド。使用ラインごとに用意

佐野は、キハダキャスティングにおいてCBONEのアンフィニティを愛用している。
「三重沖の時のモデルは、83/12、83/14がメインです。これにPE6号、7号、8号のリールをセットします。モンスタークラスがいる時は、80/16にPE8号、10号のリールをセットしたものを使用します。またベイトが小さく、小さいトップウォータープラグ、シンキングプラグをキャストする時は、90/12、84/10といったモデルが出番で、PE5号、6号で使用します」
アンフィニティシリーズは、強さがありながら、ファイト時の曲がり込んだ時に、曲がる箇所が手前にくることで、ファイトが楽とのこと。また、キャスト時はしっかりとしなり、そのしなりが戻る時のバランスが良いため、飛距離を出しやすい。さらにアクション時は必要以上に弾かない設計となっているため、しっかりとルアーを操作できるのも特徴だと言う。

ENFINITY

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大型キハダをしっかりとポンピングできるアンフィニティ。ロッドの復元力が高くし、リフティングパワー、耐久性を高めたロッド。常に相手にプレッシャーを与えられる。

アンフィニティはロッドの反発力が高く、キャスト時のしなりの戻る力も合わさることで、驚くほど飛距離が出せるモデルだという。

アンフィニティは、しなりのバランスが良いため、ルアーアクションも入れやすい。

リールはソルティガ一択。
さらにカスタムパーツでグレードアップ

リールは、8号クラスでは18000番のダイワ20ソルティガをセレクトしている。また6号、7号クラスでは、14000番も使用しするが、18000番をあえて使用することも多いという。「その理由としては、より早く巻けるため。キハダがこちらに向かってバイトしてきた時に、早く巻いてアワセを入れたり、バイトが無かった時に、素早く回収して次のキャストをするためです。20ソルティガは、ファイトが長時間に及んでも破損やトラブルが無く、ボディやギアの耐久性が高いため、巻き心地が良く、力強い巻取りが可能です。ちなみに、20ソルティガをメーカーの要望によりあえて長期間、メーカーメンテナンスに出さずに使用していますが、ガタつきなどはありません。タフなリールですね」

さらにこの20ソルティガに、スタジオオーシャンマークのカスタムスプール・NO LIMITS 20ST23000BM、18000HP、17000RC、16000HPを装着している。
「飛距離アップが望めるとともに、ファイト中の放熱、排熱コントロール性能が高く、ドラグ性能も高いモデルです」
加えて、ハンドルもスタジオオーシャンマーク製のビッグマウスハンドル20ST20000/18000 BM95、BM70 を装着。EVAのノブは滑りにくく、独特の形状により力が入りやすい。またこの独特の形状は、上手、逆手で握ることができるので、ファイト中の筋肉疲労を分散させることができる。さらにキャスト後に握る時に、ミスなく掴めるのも特徴だ。
「ヒットした時に、最初のひと巻きが行いやすいので、しっかりフッキングさせられるノブです」

リールは20ソルティガ一択。キハダゲームでは、ある一定の層でキハダが抵抗し続ける場面も多く、その際にリールの巻き上げパワーの強さが重要になる。20ソルティガは、そんな時にそのパワーを発揮する。スタジオオーシャンマークのカスタムスプールは、キハダの最初のダッシュ、ファイト中の走り、そして船べりでの寄せの際に、スムーズにドラグを効かせ、そしてその際の熱を排熱し、対応してくれるという。

ダイワ 20ソルティガ
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スタジオオーシャンマークNO LIMITS 20ST カスタムスプール
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スタジオオーシャンマークNO LIMITS 20ST カスタムハンドル
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使用ラインと結束
ラインは、XBRAIDのオッズポートを使用。

「オッズポート6号、7号、8号、9号と、細かくバリエーションがあり、8本縒りの中に1本プラスでは入っていることで強く、適度なハリがあるため、キャスト時のエアノットが少ないラインです」
ちなみにリーダーは、スタジオオーシャンマークのオーシャンノッターを使用してFGノットで結束。編み込みの回数は、PE5号、6号は16~18回、7号以上は20回だ。
「さらに、リーダーの上のPEライン部分には、XBRAIDのスクラム16で、プロテクトリーダーシステムを組みます。これにより、キャスト時にPEラインに直接指を掛けなくて済み、PEラインの毛羽立ちを無くすことができます。ルアーの結束は、ラーノット。細めのリーダーから、200lbのリーダーまでしっかりと結束でき、強度もあるノットです」

ラーノット&スクラム16プロテクトリーダーシステム

ジギングでのアプローチも考えて準備

キハダがトップウォーターに出にくい状況では、ジギングでのアプローチも行う。事実、昨年の取材時の2日目は、鳥は回っているものの、キハダの跳ねは無い状況。ただ、魚探を見ると深い場所に反応が見られることから、ジギングで攻めたところ見事ヒットに持ち込んだ。

佐野がキハダをジギングで狙う際に用意するタックルは、CBONEのBRAVE(昨年の取材時はプロト)というロッド。65の通常のジギングロッドより少し長さがあるモデルだ。「このロッドで、ジグを大きくしゃくり、ジグを飛ばし、バックスライドのファールでバイトさせるスロージギングで誘っていきます。フックはバックスライドのフォールでバイトさせることから、テール側に1本アシストフックを装着します。使用フックは、ヴァンフックのジゲン・グリッピーです。信頼できるフックです」
ラインは、キハダのサイズが大きいことからPE5号、6号、7号を使用。リーダーは、PRノットや、FGノット編み込みを増やした方法で結束しているという。

ヴァンフック ジゲン・グリッピー

近海マグロ、大型青物用に作られたアシストフック。フロロカーボン芯糸内蔵PEアシストラインを四編み加工し、耐久性・耐摩耗性をアップさせたモデル。適度な張りとしなやかさで、ジグへの絡み付きが少ない。

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ジギングの時は、フォールアクションするジグのテールに、アシストフックを1本装着。

「ロッドの長さは、なぜ少し長めかというと、しゃくる時に大きく動かせるということに加え、ヒットしたキハダを船べりまで寄せた時にやりとりしやすいからです。キハダは、船に近づくと回ります。船べりで回っている状況の時に、ロッドが長いことで、船底やスクリューのペラを、ロッド操作でかわすための長さ設定です」。このロッドは、2023年発売予定だという。

キハダは、船べりに寄せてきてから円を描くように回る。大型になれば、その円も大きくなる。その際に、船底などをかわすためにロッドを下げて対応するが、少し長めのロッドほうがより対応しやすい。

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すでに今年度の尾鷲キハダの挑戦をスタートしている佐野さん。今年も、何本ものキハダをキャッチすることだろう。佐野の記録への挑戦は続く。これからこの海域のキハダを始めるアングラーは、ぜひタックル選びの参考にしていただき、万全の準備をして挑んでほしい。

キハダと佐野ヒロム

写真と文:アングラーズタイム編集部

取材協力:ヴァンフック
https://vanfook.co.jp/
遊漁船:ディープブルー
https://owase-deepblue.com/

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