梅雨前、梅雨の中休みが狙い目

相模湾シイラ開幕!
手軽に楽しめるオフショアキャスティング

今やヒラマサやキハダゲームの外道扱いとされぎみのシイラ。しかし日本のオフショアキャスティングゲームは、このシイラから始ったといっても過言ではない。そしてこれまで多くのアングラーを虜にしてきた。それは、様々な魅力がこのシイラにはあるからに他ならない。そんなシイラゲームの乗合船が、早くも相模湾でスタート。その様子をお伝えしたい。

相模湾シイラ開幕!<br>手軽に楽しめるオフショアキャスティング

シイラフィッシングの楽しさ

シイラは、大物ターゲットを狙っている時には、外道とされてしまいがちな魚であるが、シイラに合わせたタックルで狙えば、ゲーム性の高く、引きが強く釣り応えのある魚のトップクラスであると思う。トップウォータープラグやシンキングプラグを巧みに動かし、それに激しく襲ってくる様子。そしてひとたびヒットすれば、激しい走り、そしてジャンプを披露し、最後の最後まで激しい引きで抵抗する。よりヒット率を上げるには、正確なキャスト、飛距離、そしてシイラの活性に合わせたルアー選び、的確なルアーアクションを演出するテクニックが必要である。そして細かなアクションを演出し、シイラの動きをいなして寄せられるタックルセレクトも大切。さらに、より多くのキャッチするためには、シイラを素早く見つける、目の良さも必要になる。キャスト、ファイト、ランディングのタイミングと、キャスティングゲームをマスターするための要素が、この魚には詰まっている。

そんなシイラフィッシングは相模湾では古くから人気。昔と比べれば、キハダなどのターゲットが誕生したことで遊漁船の数は少なくなったが、それでも出船している乗合船には、シーズン中に多くのアングラーが訪れ、週末や連休、夏休みともなれば、2隻出しで乗合船を出すこともあるほどだ。なぜ、相模湾ではこれほどまでにシイラフィッシングが今なお人気なのか? それは、シーズンごとに状況が変化し、時として連日攻められていることで攻略が難しく、腕の差が出るからだろう。そんな中で大型を狙いすまして掛けてキャッチすれば、称賛されるのだ。

シイラ探し中

移動中は皆でシイラを探す。特に梅雨前のシーズン序盤は、大きな群れでいることが少ないため、釣果を得るためにはこのシイラ探しが重要。姿が見えたり、水面付近を泳ぐことできる波紋が見えれば、すぐに船長に知らせキャストしたい。

アンダーキャストで対応

混みあっているミヨシなどは、アンダーキャストが基本。オーバーで投げる場合は、垂らしを短くし、さらに後ろに大きく振りかぶらずに、ロッドを立て気味に構えてキャスト。そして周囲は毎回確認すること。シイラの姿が見えても、焦らずキャストしたい。シイラの動きに合わせて、シイラの視界に入るようにルアーを落とせば、より反応してくれるはずだ。

シーズンごとの楽しみ方

シーズン序盤の新しい群れは、ルアーに慣れていない個体となるため一投目のルアーには反応してくれる魚が多い。ただ、水温が低く活性は最高潮とは言えないため、高活性状態が落ち着くのも比較的早い。そんなシイラに対して、シンキングペンシルやジャークベイト系のルアーをロッドアクションで動かし攻略するのが面白い。

梅雨の本番シーズンに入ると、シイラはいるが、表層の雨水を嫌い、さらに水温の低下、光線量が少ないなどの理由から沈み気味になる。さらに流れ藻などもまとまっていなことが多い。この時期は、いかにシイラを探すかがカギとなる。移動中も気を抜けない。ただ表層で見つけられれば、一投目で果敢に襲い掛かってくるシイラも多い。梅雨の合間で、天気が回復した日、晴れが続いた日がチャンスだ。

梅雨の終盤、天気が良い日が多くなると、シイラの数も釣果も安定しだす。水温、気温ともに高くなり、シイラシーズンが本格的にスタートと言える時期。シイラの活性が高くなり、何度もルアーに襲ってくる楽しい釣りが展開される。天候も安定してきて初心者でも釣果が比較的得られやすく、楽しめるだろう。この頃までは、シンキングペンシル、ジャークベイトなど、少し沈ませて誘うルアーが良い。

夏本番、水温が高くなると、ポッパーやフローティングペンシルなどのトップウォーターにシイラが反応するようになる。よりエキサイティングなシイラゲームを楽しめる。ただ、大型のシイラは次第にスレてくる。新しく入ってきたシイラは反応してくれるが、相模湾内に長くいるシイラは、簡単には反応しない。そんなシイラを、ルアーを巧みに動かして攻略する楽しさもある。

その後、水温がさらに高くなると、シイラは水面の高水温を嫌い、また沈み気味にる。その時は再び、シンキングペンシルやジャークベイトの出番だ。この頃になると小型のシイラが多くなり、これはこれで初心者にはいい。小型とはいえ、引きは強く楽しめるはずだ。

流れ藻 ゴミ類 潮目

流れ藻やゴミ類、潮目がポイント。もちろんその付近にルアーを落とすキャスティングテクニックは必要になる。ピンポイントでなくてもシイラは反応するため、引っ掛けない程度で近くに落としたい。

アトゥーラ120 スギペンシンキング110 ストライクジャーク マヒジャーク

水温が低いシーズン前半と、夏の高水温の時期は、しっかりと飛距離が稼げるウエイトを備えたシンキングペンシル、ジャークベイトが良い。前半の低水温期は、トップウォーターを投げても、一瞬見るだけで反応しないことも多い。そんなシイラは、その後に釣りづらくなるため、初夏のように活性が高くなければ、迷わず沈むタイプのルアーを投げよう。写真は右列上2つがアトゥーラ120、スギペンシンキング110、右列上からストライクジャーク、マヒジャーク。

マヒボックス マヒペン127

高活性時には、トップウォーターのペンシルやポッパーで迫力あるバイトを楽しもう。テンポよくロッドアクションを入れ、水面で小気味よく動かしたい。写真上はマヒボックス、下はマヒペン127

シイラがヒット

ロッドは7ft前後のものが、細かいアクションを入れやすく、飛距離も出せて使用しやすい。ラインはPE1.5号、2号。リーダーは30lb、40lb、50lbほど。キャスト時にトラブルが無いように、FGノットなどで結束し、また新しいラインを巻いてくるなら、しっかりとテンションを掛けて巻くこと。写真のロッドは、マングローブスタジオのBKH722S-L/TZ。BKH722S-M/TZというワンランク強めのモデルもラインナップされている。

今年はスタートから好調! 
梅雨本番前にまずは楽しみたい

2023年5月18日、神奈川県平塚の人気遊漁船である庄三郎丸で、シイラの試し釣りで出船があるということで同行させてもらった。シーズン中、シイラの乗合船で多くのお客さんが訪れる船である。同船者は、マングローブスタジオの上屋敷隆さん、サプライズの椙尾和義さんと常連アングラー1名。この試し釣りの1週間前にも、上屋敷さん、椙尾さんは試し釣りで沖へ出ており、その時は2尾のシイラをキャッチ。出会ったのも、その2尾だったという。ただ、それから良い天気が続いている。シイラが沢山入ってきていることを期待をして、まずは平塚の真沖に船長は船を進めた。

真沖に走ること20分ほどの潮目を流していく。するとすぐにシイラを発見。素早くキャストした椙尾さんに、幸先よくヒット。上がってきたのは全長80cmクラスの雌シイラだった。そこから数尾のシイラを目撃、そして順調にヒット。その後は、西側に船を向け、途中の潮目沿い、流れ藻付近を流していった。するとこちらでもシイラを数多くヒット。流れ藻によっては、その下から数尾のシイラがゾロゾロと出てくる感じだった。さらに西側のシイラに良さそうな澄んだ潮のエリアでは、活性が高いシイラにも遭遇。背ビレを出し、激しくルアーにアタックしてくるシイラも確認することができた。水温は19~20℃。一週間前の試し釣りより、少しだけ上がっていた。この日は、試し釣りということでお昼には陸へ上がったが、それでも船中20本ほどのシイラをキャッチ。サイズはどれも、80cmほど。小型シイラは数尾だけ姿を見ただけであった。そんな釣果に、「これならば乗合船を始めても、お客さんは楽しめる」と庄三郎は判断し、3日後から乗合船をスタートすることとなった(5月21日)。ちなみに、この試し釣り以前に、すでにお客さんからは「いつから乗合船が始まるのか?」と、問い合わせが多数あったという。シーズン開始を楽しみにしているお客さんがいるのだ。ちなみにその後の乗合船スタートでは、上々の釣果を得られた様子。メーターオーバーも出ている。シイラシーズン、夏の釣りが開幕した。

ただ前記したように、この後に来る梅雨の長雨はシイラが表層の雨水を嫌がり沈み気味になることで釣りづらくなることもある。まずは、雨がまだ少ない今のうちにチャレンジしてみてはいかがだろうか? 暖かい日なら、夏の雰囲気も感じられるだろう!

初心者から経験者まで
イベント参加もオススメ

また、今回乗船した庄三郎丸では、今回同船した椙尾さん、上屋敷さんが丁寧に教えてくれるシイラセミナーを開催予定。まだやったことのない人は、レンタルタックルもあるので安心。上達したい人には、ルアーの動かし方や投げ方などのコツ、タックルセレクトなどを教えてくれるはずだ。開催日は7月20日、8月24日、9月7日、9月21日。5時30分集合で、帰港は1時のスケジュール。参加希望の方は、庄三郎丸に電話(0463-21-1012)、またはFAX(0463-21-1026)にてご連絡を(※予約時に連絡先をお知らせください)。その他、ショップごとのセミナー、釣行会なども、この庄三郎丸で行われる。チェックしてみると良いだろう。

加えて、2023年は「Hiratsuka Cap×ひらつかシイラプロジェクト」といった大会が開催予定されている。自身の腕を試したい人、シイラフィッシングを多くの人と楽しみたい人などは、ぜひ参加してみると良いだろう。詳細は記事最後に掲載したポスターで確認してほしい。

椙尾さんとシイラ

庄三郎丸のセミナーで講師を務める椙尾さん。いつも良く釣る。近場の潮目で幸先よくキャッチ。

シイラがヒット

上屋敷さんも次々とキャッチ。上屋敷さんも庄三郎丸のセミナーで、毎年講師を務めている。今回はまだ中型が中心の海だったが、これからが楽しみだ。

シイラ

ダブル、トリプルでヒットしてくる場面もあった。

シイラとフィッシュグリップとハリ外し・フックリムーバー

船長がランディングしてくれたら、自分でルアーを外す。この時、フィッシュグリップや、ハリ外しがあると安心。シイラは暴れるので、注意したい。またシイラ探しや、ルアーがもしも飛んできたときのために、偏光サングラスも必ず用意したい。右写真はスタジオオーシャンマークのフィッシュグリップと、ハリ外し・フックリムーバー。

シイラ釣り

この日は、3名で満足できるほど釣り上げ終了。

取材協力:庄三郎丸(神奈川県・平塚港)
釣果情報&詳細 https://www.shouzaburo.com/

写真と文:アングラーズタイム

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