2025年、好調が続く春ヒラマサ
TENRYU Spike&Dragg Forceで攻略!
外房ヒラマサ
タックル&テクニック
関東のヒラマサの聖地と言えば外房の大原、勝浦エリアだ。古くから大型ヒラマサ狙いのアングラーが通い、今なお熱いアングラーが挑戦し続けている。そんな外房ヒラマサの2025年の春シーズンは好調が続いている。今回、シーズン開幕直後のタイミングで、天龍のフィールドスタッフでありルアーメーカー「MASHIO」の代表を務め、外房で多くの実績を持つ松原和裕さん、天龍スタッフの上森俊季さんの釣行に同行。外房ヒラマサのタックル、テクニックについて解説してもらった。

INDEX
外房ヒラマサについて
ヒラマサはパワフルな引きをみせ、さらに大型になることから、人気のオフショアルアーターゲットである。関東でヒラマサフィールドと言えば、まず今回釣行した外房の名前が一番に上がる。大原、勝浦の沖でのヒラマサゲームが古くから人気であり、過去には体長170cm、49.5kgの世界記録のヒラマサもこの地でキャッチされている。そんな夢のあるフィールドであることから、多くの熱きアングラーがこの地にチャレンジし、そして腕を磨き、試してきた。今回、釣行に同行させてもらった松原和裕さんもその一人。この地でヒラマサを攻略するために、自らジグを開発。大原の遊漁船・山正丸に通い、時には船のサポートスタッフとして活躍しつつ、お客さんにアドバイスするほどの腕の持ち主だ。
そんな外房ヒラマサだが、シーズンは大きく分けると春と秋。ヒラマサの盛期となるタイミングを今か今かと待ち焦がれているアングラーも多い。では春はいつなのか?
「ゴールデンウィーク頃に10kg前後が狙えるようになるのが例年のパターン。その前にも30kgなどの大型が釣れますが、安定して釣れるようになるのは5月頃が多いです。産卵のタイミングで、外房の浅い場所に入ってくる感じです」(松原)
ちなみに春の良い釣果が出る時期は、6月後半頃まで続くことが多い。その後、夏は根周りで単独で釣れる感じになり、次の盛期となるのは秋シーズン。10月頃から釣れ始めるというのがパターンとされているが、魚の動向は年によって、ベイトの動きによって異なってくる。
「秋は台風が何回か直撃して、シーズンが開幕することが多いですね。シイラやスマなどの大型のベイトを追うこともあり、大型が出る時期でもあります」
春ヒラマサでの実釣
今回、釣行に同行したのは4月の最後。タイミング的にはベストであった。この日、松原さんと天龍の上森さんは早朝に大原港の山正丸に乗船。大原、勝浦の船は、午前、午後で出船しており、2人は午前午後ともに乗船予定とした。ちなみに、外房では午前は良くなかったが、午後が良かったという日も多い。もちろん逆もある。そんなことから、時間と金銭的に余裕があれば、午前午後の通しで乗るのがオススメである。
さて、今回の釣行の2人の釣果を先に記述してしまうが、午前は上森さんが12kgほどのヒラマサをキャスティングでヒットさせた。広いエリアの中に根が点在するエリアで、2kgほどのヒラマサが群れ、その中に大型もいる状況。そして見事、良型を引き当てた。その後、小型のヒラマサをジギングでキャッチ。松原さんは何度が惜しい場面があったが、フッキング、ランディングまで繋がらずに午後出船に期待する形となった。ただ、午前中の海の様子を見た感じでは、魚は動いており、いつ良型が喰ってきても良いと感じる海況であった。

上森さんがキャッチした12kgのヒラマサ。タックルは、TENRYUスパイクSK822S-MH、リールはステラSW14000XG、ラインはPE5号+ナイロン100lb(2.5ヒロ)、ルアーはラピード160(フック込み50g)。

こちらはジギングでの釣果。当日は、このサイズが多かった。使用ロッドは、TENRYUジグサムドラッグフォース JDF601S-5/6。PE4号+フロロ14号/56lb(3ヒロ半)。ジグはMASHIO/菜の花130g。
そして午後、徐々に風が吹き始め、雨もパラパラと降ってきたが、そんな天候の時こそチャンスが多く訪れる。実際、魚の動きはさらに上向きになっていった。メジ(クロマグロの幼魚)の群れを確認でき、その中にヒラマサも混じっている状況だ。そんな中で、松原さんはしっかりと魚の動きを読み、良型のヒラマサを掛け、ランディングへ持ち込んだ。計測の結果、14kg、叉長102cm、全長110cmのヒラマサだった。
外房ヒラマサのポイント
外房のヒラマサのポイントは、浅い水深の根周りがメインとなる。水深20〜30mで根の高い場所で15mほどだ。ちなみにポイントは、広いエリアの中に根がある場所を広く探っていく場合と、潮が当たっている根周りを探るパターンがある。また、沖には水深30〜40m、それ以上のポイントもある。そんな場所をキャスティング、ジギングで探っていく。
「ジグとキャスト、どちらで攻めてくかは、ポイントによって決めています。これはポイントを知っていないとなかなか難しいとは思いますが、小型のヒラマサがいる場所ではジギングで探っていきます。ただ、そのような場所でも船のミヨシ、トモが釣り座であれば、キャスティングをメインにして探っていくこともあります。プラグのほうが大型のヒットの確率が高いからです。胴の間が釣り座の場合は、プラグだけでは釣りきれないので、状況を見てジグを入れます」
外房の乗合船は、ポイントに船を入れていく際、乗船者の釣り座が平等になるように、追い風、向かい風側と交互に船を流していく。追い風側ではキャスティング、向かい風側ではジギングとなるが、追い風側であっても、キャスティングだけに拘らず、ジグを投げて投入し、斜めに引いて探ってくることで釣果に繋がることが多い。
「船が進んでいく先へ、どんどんジグを入れていき攻めていきます。こうすることで、キャスティングだけでは獲りきれない魚をヒットに繋げられます」

ポイントは浅い水深の根周り。プラグで探りつつ、時にはジグをキャストして探る。
タックルは、外房攻略に合ったものをセレクト
ヒラマサは、各地に生息いている。ただ攻め方は、どこも同じではない。そしてフィールドによってベイトも違えば、ポイント、釣り方も異なるからだ。特に外房は攻略に合ったタックルを選ぶことが大切だ。ヒラマサキャスティングが人気のフィールドの多くが、オーバーキャストでプラグを投げる。しかし外房では、同船のアングラーも多く、船の形状、両舷での釣りになるため、トラブルを回避する理由からアンダーキャストで探るのが基本となる。また使用するプラグも秋の大型ベイトの時以外は、小型のほうがヒット率が高い。
「まずキャスティングですが、僕の場合は春の10kg、15kgほどのヒラマサを狙う場合だけに限らず、PE5号にリーダー90lb、100lbというタックルをメインでセレクトいたします。その理由は、ちょっとでも飛距離を稼ぐためです」
松原さんは乗合船に手伝いで乗船することも多く、その際は空いている場所で釣りをすることが多い。多くの場合、胴の間となる。ミヨシやトモならアンダーでもバックスペースが取れて投げやすいが、胴の間からの場合、太いラインだと飛距離を出しづらい。飛距離を出せないと、周りのアングラーと競り勝てない。そんな理由から5号なのだ。
「さらに小さいルアーを使いたい、飛距離を出したいという時には、PE4号タックルをセレクトすることもあります。また秋シーズンで、ベイトが大きい場合で、使用するルアーも大きめを使用する場合はPE6号をセレクトすることもあります」
ちなみにプラグのサイズは、外房は通年、15〜18cmというサイズがメイン。これはアンダーキャストでも投げやすいサイズ感であることだけでなく、このようなサイズに反応が良いから。秋のベイトが大きい時期であっても19cm前後を使用することが多いという。アンダーで投げることを考えると、100gほどまでのルアーだ。他のヒラマサフィールドでは20cm以上の大型ルアーを使うことも多いが、外房ではそのサイズでは攻めきれないのだ。

写真は、今回の松原さんの14kgのヒラマサのヒットルアー。MASHIOのプロトプラグ150mm。フック込みで70g。
松原タックルセレクト・キャスティング
上記の理由から、今回、松原さんは3本のキャスティングタックルを用意していた。まずメインに使用するPE5号タックルは、ロッドがTENRYU スパイクの8ftのプロトタイプMHクラス。リールはステラSW14000XGに、ラインはPE5号+ナイロン80 lb(2.5ヒロ)というもの。これにMASHIO/ペンシルベイト150mmプロトタイプ(フック込み70g弱)をセット。
「今回は、テスト中の8ftのプロトをPE5号でメインに使用しましたが、通常はスパイクSK822S-MHモデルをメインにしています。中型のヒラマサから大型まで対応するモデルです。ルアーのミスダイブを減らすように、ソフトなティップを備えたモデルになります。ちなみに今回のプロトモデルは、822MHよりも若干、全体的に張りを備えたモデルです。ソフトなティップはルアーの操作性は良いのですが、向かい風や横風の中で風を切り裂きながらプラグをキャストする時に、もう少しシャキッとしたロッドが欲しいと思い、それを天龍サイドに伝えて作ってもらいテストをしています。ルアー操作は822MHよりマニュアル的にはなりますが、ビシッとキャストできます。今回ヒラマサをヒットさせて、かなり強いと感じましたね」

プロトタイプのスパイクでグイグイと寄せる松原さん。製品化されるかどうかはまだ決まってないだろうが、各地で活躍しそうなモデルだ。
写真は普段、松原さんが外房でメインに使用しているというスパイクのSK822S-MH。PE MAX5号、ルアーMAX100gのモデル。

外房は、多くの場合が乗合船での出船となる。胴の間が釣り座になることもあり、その場所からアンダーキャストである程度の遠投が要求される。少しでも飛距離を出してチャンスを多くするために、PE5号を使用し、アンダーでも投げ切れるサイズのルアーを選択。アンダーキャストでの遠投ができるかどうかは、練習して身につけるしかない。
さらに5号タックル以外に、さらに小型プラグで攻略するためのロッド・TENRYU スパイクSK842S-MLMに、リール・ステラSW8000HGに、PE4号+ナイロン80lb(2.5ヒロ)も用意。
「レギュラーファーストのテーパーで、軽い力でルアーを遠投することができるタックルです。842S-MLMは、振り抜いた時の感触が良い。PE4号で、15cmほどのルアーをキャストするのに向いています。外房では、時として13cmなどの小型ルアー、小さめのシンキングペンシルを投げて攻略することもありますが、そんな時にもこのロッドは遠投できるので、かなり武器になると思います」

842S-MLMは、2025年に新たにラインナップに加わったモデル。30〜60gのプラグを遠投でき、80gのプラグのフルキャストまで対応。PE4号で使用するのに適している。
また春の外房では使用する場面が少ないというが、PE6号タックルも用意していた。それが、TENRYUスパイクSK822S-Hのロッドに、ステラSW14000XG、ラインはPE6号+ナイロン100lb(2.5ヒロ)というセットだ。
「822S-Hは、PE6号で、90gほどのルアーが使いやすいです。ルアーサイズだと19cmほど。ただアンダーキャストで、長い時間投げ続けるのは大変なので、大型魚が出そうな場所で使用します。オーバーキャストできるエリアなら、楽に扱えるロッドだと思います。力を入れずに胴からしっかりと曲がってロングキャストできます」

SK822S-Hは、松原さんがPE6号で19cm前後のルアーをキャストする時に使用。アンダーキャストを行う外房では、PE6号タックルでは飛距離の問題から出番は少ないが、大型ヒラマサ、大型ベイトフィッシュパターンの時に使用する。PE8号、150gのプラグまで対応するモデルのため、オーバーキャストするフィールドなら、活躍の場面は多い。
ちなみに松原さん、上森さんが使用しているスパイクシリーズは、どのモデルにおいても振り抜けよく飛距離が出せるコンセプトで、軽快にキャストし続けられる性能。バット部には信頼のTENRYU独自のカーボンナノチューブ素材「C・N・T」を採用し、ヒットしてからの粘り強さを備えたモデルとなっている。
TENRYU スパイク
https://fishing.tenryu-magna.com/offshore/spike.html
外房攻略にはジギングタックルが不可欠
外房のヒラマサ攻略において、他のエリアと大きく異なるのが、前述したようにジギングとキャスティングの探り分けだ。他のエリアでは、キャスティングだけで通すこともあるが、外房エリアではジギングも併用しないと攻め切れない。ではジギングでは、どのようなタックルを松原さんはチョイスするのか?
「春のヒラマサでは、水深20〜30mの根が点在する広いエリアを探ることが多い。そしてこのような場所では、ジグをキャストして広く探ってきます。
「2kgほどの個体が多いですが、大型も出ます。そんな場所をジグで探る場合、私はTENRYU ジグサムドラッグフォース JDF601S-5/6に、ステラSW8000HG、ラインはE3号+フロロ12号(4ヒロ)のタックルを使用します。ジグは、MASHIOの『菜の花』130g、150gをメインに使用します」
ドラッグフォース JDF601S-5/6は、使用する130g、150gのジグに対しては、硬めの番手。このセレクトの理由は、まずジグを投げるためだ。ヒットチャンスを増やすために、ジグを投げて広く探っていくが、柔らかいロッドだとティップがブレて糸絡みしやすい。さらにジグをしっかりと動かすため。柔らかいロッドの場合、ジグの動きを吸収してナチュラルに動かすことができるが、しっかり動かすために、大きく体を動かす必要があり、体力の消耗も激しい。しかし張りのある硬いロッドであれば、竿先を軽く動かすだけでジグを機敏に動かすことができるというのが、もう一つのセレクトの理由だ。
「ちなみにドラッグフォース JDF601S-5/6は、硬いだけでなく、粘りがあるしっかりと曲がる性能も備えています。そのため、張りのあるロッドでジャーク時に起こりやすいジグの余計な暴れを抑えてくれます」
外房の場合、このようにジグをキャストすること、さらには潮の流れによってラインが船下に入る側での操作を考えると、ある程度の長さがあったほうが扱いやすいと山正丸の船長も推奨する。その長さは6ftから6ft半だ。

使用ジグは130g、150gといったサイズがメインだが、さまざまな状況に対応できるように、さらに軽く小さいもの、重いものもそれぞれ数本用意しておきたい。
また、松原さんにジグの動かし方について聞いてみたところ、基本となるのはジグをキャストしてからのリーリングジャークとのこと。ジグを大きく飛ばすようなジャークではなく、リールを巻きながら、ティップでアクションを加えてジグを泳がせるような動きを演出して誘うジグアクションで攻略し実績を重ねている。そしてそんなジグアクションでの使用を前提に開発されたのが、松原さんが愛用するドラッグフォース JDF601S-5/6なのだ。
TENRYU ジグザム ドラッグフォース
https://fishing.tenryu-magna.com/offshore/jig-zam_draggforce.html
ポイント攻略で重要なこと
外房の浅根を攻略していくうえで、何が大切なのか? それはどのフィールドでも言えることだが、フィールドを読むことである。ではどのようにポイントを把握していくのか? それは目で観察すること、そして船長のアナウンスをよく聞くことである。
まず観察するということについて。これは、潮の動き、魚の動きを見るということ。ヒラマサは潮が動いているエリアの根に着く。起伏の激しい根に潮が当たっている場合、水面には変化が出る。その位置を把握し、プラグ、ジグともに通していく。
「波の立ち方で根の高い場所を確認します。さらにその中で魚は、潮上側に魚がいるのか? 根の上にいるのか? 根の後ろ側にいるのか?というのを観察。魚の着き場は観察できないという場合でも、根の高い位置は意識しながら誘いを入れていくことが大切です」
さらに広いエリアの中で、起伏が少ない根の場合は、船上からではその位置を確認しづらい。そんな場合は、船長のアナウンスをしっかりと聞くことだ。水深のアナウンスを聞きながら、船はどちら側に流れているのか? 根のトップを通過するタイミングはいつなのか? 船長がポイントにどのように船を入れ、どう流し、どの辺でヒットしてくると読んでいるのか? そんな船長の考えをアングラーは観察しながら理解し、それに合わせて攻めていくのが重要というわけだ。
「キャスティングで大型が出るポイントでも、根を通り越して水深が30m、40mと深くなってきたら、トップには出にくいと判断してジグを入れます。そんなタイミングも、船長のアナウンスをしっかりと聞いておけば分かります」

水面、潮、魚の様子を観察し、船長のアナウンスを聞いて魚の位置を特定し、プラグを投入。 ただ闇雲にキャストしていただけではヒットには結びつかない。
読み切って獲ったヒラマサ
実際、今回の松原さんの釣果は、しっかりと目で見て読んで誘い喰わせた1尾であった。
「今回の釣果は、ヒラマサがヒットする前の流しで、魚が浮き騒ぎだしました。春はこのように急に魚が浮きだすことがあります。根に潮流が当たって水面が盛り上がっている場所で、魚が潮上に頭を向けて定位していました。そこですぐにキャストしたものの、バイトは無く次の流しに。その場所に再び船が入るように、少し角度を変えて船長は潮上から再び船を入れ、船は9時方向へ流れていきました。その中で11時方向に魚が見えたため、そこにキャスト。しかしこの一投は喰わず。次のキャストでは、魚の群れは船の先端を過ぎ、1時方向に群れの先端がいるのを確認して、向かい風気味でしたが鋭くキャストしてルアーを入れました。ただ、このように浮いている魚は、気難しい感じで簡単には喰わない。普通の長めのジャークだと喰わないイメージがあり、リアクションで捕食に繋げたいと思い、鋭く短めのジャークを入れたところでヒットしてくれました」
松原さんのキャスティングでの誘い出しのジャーク幅の基本は、ロッドを1mほど動かし、ライン回収はハンドル一回転ほど。ただ、そんな誘いの中で魚がルアーの後ろに付いた場合は、細かな誘いを入れるという。魚がその場で素早く逃げる、もしくは痙攣しているイメージだ。今回のヒットも、そんな動きであった。
アングラーと船長、そして海が合った時に良い結果がもたらされる。そしてそのように読んで釣り上げた1匹は、より満足度の大きいものとなる。外房のヒラマサは、乗合船のアングラーの中で、読みやテクニックを駆使して魚を引き出していかなければならない。そして少ないチャンスをものにしていかなくてはならない。それには、外房にあったタックル準備と、集中力、釣るという気持ちが大切だ。
製品情報
TENRYU
https://fishing.tenryu-magna.com/
MASHIO
https://mashio.base.shop/
【釣り船】山正丸
http://www.yamashomaru.jp/