連載 平松慶のオフショアワールド vol.1

秋ヒラマサの攻略の基本と応用

九州、日本海、関東のヒラマサを追い、さらに日本全国、世界の魅力あるターゲットを求めて釣行を繰り返すエキスパートアングラー平松慶。狙いの魚をキャッチするために、その基本攻略法を熟知しつつ、さらに平松ならではの理論、テクニックで魚との距離を詰めていく。今回は、これから盛り上がる秋のヒラマサの、平松流の攻略を解説してもらった。

秋ヒラマサの攻略の基本と応用

晩秋でキャッチした「線の動作」を意識して誘ったヒラマサ。

秋のヒラマサの行動

真夏のヒラマサは海水温が上昇し、安定している深場を好み、身を潜めています。また、春にスポーニングを終えたヒラマサも同様で、捕食する時以外は環境の良い場所で回復を待ちます。こうした夏時期から秋への季節の移り目でわかりやすい状況の目安に、台風通過が関係してきます。台風は海水温の上昇により、より活発となり、そして海をかき回します。また増水した河川からは大量の淡水が流れ込み、これが栄養素となりプランクトンが発生します。それまで以上にプランクトンを捕食するイワシなどのベイトの活性が上がることで、ヒラマサの捕食行動範囲も広くなるのです。

ベイトが中層域に広がることで、ベイトも広範囲に反応をみせるのが、秋シーズンの特徴になります。海水温の低下に合わせ捕食環境が中層へと変化することで、ボトム中心にいたヒラマサの意識は中層へと変わっていきます。これが、いわゆる「秋シーズンのパターン」となるのです。

ジグでヒラマサを釣る

秋はジグ形状にこだわらず、まずは広く探ることが結果に結びつく。

秋シーズンのヒラマサ攻略法は?

夏時期のヒラマサの狙い方は、ボトム域をしつこくジグで探り「居食い」を狙った探り方が中心になりますが、秋はベイトがより多くなり、活発化することで中層域に移ります。このベイトを捕食するヒラマサ狙いを、秋の荒食いパターンとはよく言いますが、冬場を備えたベイト捕食も関係します。この場合、夏場からの変化に合わせて探っていきます。狙い方の特徴となるのは、「居食い」を誘発する様なボトムバンピング的アクションから、メタルジグをボトムから中層までの広い探りを入れてヒラマサを寄せます。「線の動作」と私は呼んでいますが、メタルジグをピンスポットで操作するのではなく、アクション範囲を出来るだけ広く長くしてやることが重要になってきます。

中層域はプランクトンを捕食しようと広がるベイトの群れ。それを捕食しようとしているヒラマサに意図的にメタルジグをアピールしなくてはならないので、アングラー側は大変でしょう。中層域の、どこで食ってくるのかが安易にわかり難い時期でもあります。
水深が80mならば、ジグが着底してから船縁までしゃくり続けるのが一般的。この動作を繰り返すことにより、例えば潮の変わり目がしゃくるタイミングで見えてきたり、ヒットゾーン前後に潮流の変化があるような(分かるならば)場面になれば、その域を中心に探るのがベストです。ポイント毎にこの状況は違うので、移動しても同じことを繰り返していては釣果に繋がりにくいですが、「食わせ方」は忘れないようにしたほうが良いです。しゃくるジグに食わせの間を入れて誘うのか、しゃくるジグスピードの強弱で動きに変化を付けるのか、ジグを遠投し、斜め角度でトレースゾーンを多く取るような探り方をするのか、バーチカルに狙うのか、ジグアクションで動き回るヒラマサに口を使わせるのかなどです。

ヒラマサを狙う平松

スピニングタックルをメインに使う私は、ジグを遠投し広く探ることに意識しています。

平松流のマストパターン

いくつかの狙い方があるが、私はスピニングタックルでのジグアクションが中心なので、秋のパターン時にはジグを潮下に投入し、ドテラ流しの場合ならジグを引き摺るイメージ(角度)で探り続けていきます。これは探る層(レンジ)に、長くメタルジグをトレース出来るから。元気の良い、捕食欲の強いヒラマサに巡り合う場合が多いです。釣り座が潮上に登っていく位置であれば、着底してからロッドワークを激しくさせ、リーリングはラインスラックの回収だけにならないように心掛けてください。ドテラ流しには片舷でやらない限り、釣り座で表と裏位置ができてしまいます。和船での乗合船ならそのような事はあまりないですが、プレジャーボートでの釣りとなると、それも起きる可能性があります。自分がジグを投入する位置の把握も最初に頭に入れておくことも大切です。

メタルジグ

メタルジグ

広く探ることを意識しつつ、その中でどんな動きが良いのかを検証していき、パターンを探していくのが秋の釣りです。

メタルジグの操作法

秋に狙うヒラマサジギングの特徴は、メタルジグを広範囲で操作することです。次に水中の潮の変化位置があるならば、そこを丁寧に探る。夏マサから秋マサになり、ヒラマサは活性が上がります。潮流、また上空で鳥が回り出しているような時はヒラマサのフィーディングタイムだと認識して狙ってください。これはヒラマサだけに限らず、ブリやカンパチ、カツオにサワラ、マダイ……と、フィッシュイーターの全てにおいて、同じことが言えます。中層に群れるベイトの反応は多魚種が狙っていると言うことも頭に入れておきましょう。これからが、メタルジグの最高のシーズン。様々な対象魚の混成する時期でもあります。アングラーが対象魚を決めて狙うのも面白いかもしれませんね。

サワラとヒラマサ

メタルジグで青物を釣る

秋はブリやサワラなども活発に捕食する時期。その中でヒラマサのヒットにこだわって狙っていくのも面白いです。

著者

AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT株式会社代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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