連載 平松慶のオフショアワールド vol.11

【オフショア実釣】
人気の北海道サクラマスジギングの
準備&タックル解説。

北海道サクラマスジギング。オホーツク海・紋別沖で狙ってきた。北海道サクラマスジギングのタックルをvol.10で解説し、そのタックルと理論で実際に挑戦。2023年4月24日、強風域に包まれた紋別沖で奇跡的にも出船でき、釣果へ結び付けられたのである。今回は、その釣行報告だ。

【オフショア実釣】<br>人気の北海道サクラマスジギングの<br>準備&タックル解説。

サクラマスのタックルに合わせた組立て。

4月22日から4月25日までの4日間、サクラマスジギング狙いでの釣行計画を組んだ。フィールドは、オホーツク海エリア紋別沖。毎年オホーツク海エリアは、冬からGWまでの間に結構な風が吹くことを、現地のホタテの漁師さんから聞いていた。風が強いと船が出せない。それこそ春は、遠征組の私にとってもリスクが高い。天候と現地入りのタイミングが、この時期の釣りでは難しい。そして紋別入りをした当日は、予想通りと言うべく強風。午後からの出船予定を組んでたが、翌日も風でアウト。3日目の午前中だけ、やっと出船ができたのである。そんな感じで、今季初となる紋別沖のサクラマスチャレンジとなった。

お世話になる「ホライゾン」有持和也船長は、3日前に船を陸から降ろしたばかり。雪で陸上げするのがこのエリアのスタイルで、サクラマスがどの辺りに回遊しているのか? この時点では把握できていない。私への課題は、今季の紋別沖サクラマスをキャッチして欲しい、と。出船前夜までは風が強く、水深の無いエリアは砂が舞い、水に濁りが出ている。サクラマスの回遊に濁りがどのような影響を及ぼすのか。ジグカラーにも頭を使い、挑んだ。

出船は8時過ぎ。風は治まり、少しウネリがある程度まで海況は落ち着いた。ホライゾン号には、今回5名のアングラーが乗船。一人は女性アングラーで、サクラマスジギング初挑戦。ただ、午後には雷雨、強風警報が出る予想となっており、天候がいつ崩れるのかは分からない。タックルは、前回お伝えしたそのままのタックル。出船前に狙い方のイメージをしたのは、①濁りがある。②まだポイントが絞れていない。③ベイトが分からない。これらのキーワードに、どのように釣り方を当てはめていくのかが大切だと感じていた。釣りの組み立てをまずしっかりと行い、その考えをもとにスタート。船は紋別港を出港し、湧別側へと走った。昨年実績のあったポイントである。昨年はシャローエリアでの探りに好感度を持っていたので、まずはそこから始めることになった。シャローエリアは、船長独自のスタイルだ。

ホライゾン号

有持和也船長が操るホライゾン号の今季サクラマス初出船。ホライゾン号、2隻で今年から紋別沖を楽しませてくれる。

水深28m。海水色は、入浴剤の様な白濁した濁り。私はサクラマスを狙う時、ジグへの捕食の仕方を、まず大きく2つに分けて攻める。それは、①捕食で狙う、②威嚇(いかく)で狙うというもの。今回は、海水色に濁りを感じたので、水中ではっきりとしたシルエットが出せるマッド仕様のブラックカラーをまず選択した。初心者の女性にも、派手なピンクのマッドカラーを選んでもらった。水深28mの中層に反応がある。そこで私は、スピニングタックルで広く探るようなイメージで探ってみることにした。紋別沖では初めての試み。これは水色を見て透明度が低く、サクラマスへのジグアピールを強くしたかったから。加えて水深がないエリアのため、バーチカル(垂直)で探るスタイルよりも、メタルジグを遠投してサーフェス(浅い層)を広く探りたいという考えだ。他のサクラマスジギング経験者は、現在主流となっているベイトタックルでバーチカルの探り方をしてくれていたので、そちらのデータは拾いやすい。私は、サクラマスを探すことからスタートしたのである。

サクラマスジギングの狙い方。

マッドブラックのケイタンジグSTD125gを選択し、スピニングタックルで広く探っていく。ジグは、カウントダウンとPEラインのカラー分けでおおよその水深まで落とし込み、そこからしゃくり上げて探っていく。ジグをロッドで持ち上げるような動きをして、ジグの形状に合わせてバックスライド気味のタイミングを入れていく。ケイタンジグSTDは、リアウエイトタイプの形状なので、しゃくる動きを静止するとボディー全体が後方から滑るような動きができ、水中でフラットな姿勢も描くことが可能。ケイジグシャープとコンセプトは同じ。いかにバックスライドを上手く入れられ、反応したサクラマスに興味を持たせられるかが食わせのキモとなる。

メタルジグ

今回持参したメタルジグ類。ホッツ社よりサクラマスリミテッドカラーが今季リリース!

すると、この狙い方が的中した。中層から表層に近い位置で、明らかにマスのバイト。サクラマスがヒットすると、外道と言われる他魚とは大きく暴れ方が違う。グイグイと走ってくれる。有持船長もその動きにすぐマスだと分かり、タモ入れをしてくれた。紋別沖、今季初フィッシュが上がった。小型ではあったが、今年もサクラマスは遡上を意識して沖から岸寄りにやってきてくれていた。このファーストキャッチは格別に嬉しい。狙い方を考え、実践し、その通りに魚を喰わすことができたのだ。

ケイタンジグSTD125g/マッドブラックとサクラマス

ケイタンジグSTD125g/マッドブラックで、オホーツク海で今季初のサクラマスをキャッチ。サイズは小型であったが、狙い通りに喰わすことができた。

この一尾からポイントの活性が上がっていった。船は0.8ノットで流れている。こうなるとスピニングタックルでなくても、ベイトタックルでのバーチカルな狙い方が面白くなる。だが、私はあえてスピニングタックルで様子を探ってみた。女性アングラー中西真菜さんは、ピンクチャートのケイタンSTD150gでヒット。表層に近い上から5m辺りでヒットしたという。そして落ち着いて魚とのやり取りをし、見事なキャッチに船内が沸く。ここから女性アングラーが快挙。同じマッドカラーのドリフトチューンで、同じ層で良型をヒット。さらにもう一尾も追加。3本連続してのヒットに、男性陣は少し背中を丸める。

中西真菜とKEITAN STDとサクラマス

中西真菜さんがKEITAN STDにてサクラマスをキャッチ。上から5mほどでのヒットだったという。驚くことに、さらに同ジグで1尾追加!

中西真菜さん ドリフトチューン130g サクラマス

さらに、中西真菜さんはドリフトチューン130gでもキャッチ。

KEI-JIG130gとサクラマス

同船の伊藤さんは、KEI-JIG130gにてキャッチ。

私は、ここでも広く探っていく。ジグをピックアップする際に、3度ほどサクラマスがジグについて来ていた。潮が緩くなるにつれ、食い気が落ちてきているのが分かった。ポイントはあまり大きく動かない。有持船長は、自信あるポイントでの様子をもっと把握したかったのだろう。流すラインを少しずつ変え、ポイントを確認している。すると私にもヒット。同じマッドブラックカラー。おおよその海の様子は把握できた。サクラマスは今年も面白い。これなら安泰だ。

課題を課せられ、結果を出せたことに満足であった。今回乗船したアングラーの中で、オホーツクガリンコタワーの魚飼育員をしている方も乗船しており、その方はタラの幼魚を生きたまま捕獲したいという。サクラマスの釣果がはっきりした事で、ポイントを移動し、タラ狙いに向かった。水深45m。あまり深いポイントだと、ボトムでヒットしたタラが水圧で弱ってしまうため、この水深で狙うことになった。

私はサクラマス狙い。シャローエリアから沖に出ると、濁りが薄い水色となっており、ジグカラーをチャートタイプのメッキボディーに変えてみた。水深があり、水色が良くなったことで探り方もバーチカルを意識したベイトタックル。他の乗船者は皆、タラ狙い。私だけが可能性を求め、サクラマスを狙ってみる。

するとサクラマスはここでもヒット。サクラマスは広範囲に泳いでいるだろう、という予測だけではなく、濁りが少なくなった場面では捕食を意識した回遊もあるのでは、という読みも的中。「こんなところでもサクラマスがヒットするのですね」と有持船長も喜んでいる。まだ開拓され切っていないオホーツク海紋別エリアでのサクラマスジギング。今回は、濁りがあったエリアでは派手なカラーが良いこと、広く探りながら層を狙うことに加え、バーチカルな探り。どちらも釣果に繋がり、理論と結果が結びついたことで満足できる釣果を得ることができた。その後、海は急変。辺りは雷雲が発生し、雪混じりのあられまで降った。そして風が同時に吹き始め、ロッドオフとなった。

Gummy-fat130gサクラマスカラー

深場でもサクラマスをキャッチ。Gummy-fat130gサクラマスカラーで、威嚇でのバイトとは違い、サクラマスの捕食バイトを意識した探りでヒットさせた。

平松流のマストパターン

サクラマスをメタルジグで狙うことは、いかにマス族の行動を把握するか、ということを前回唱えてきた。その内容を今回実践し、改めてサクラマスは捕食で口を使う場合と、威嚇(いかく)で口を使う場面があるということが分かった。餌としてメタルジグに反応する場面では、ジグを追うような前アタリが感じられ、威嚇パターンでの攻撃は、明らかにボディーアタックに近い攻撃的なバイトを感じた。水色の悪い場所の船縁でメタルジグについてきたサクラマスを見て、その違いがはっきりとわかったのは、ジグにボディーを当ててきたのが確認出来たから。スレ掛かりのようなフッキング時は、ほぼ威嚇であろうと思う。私が前半にキャッチしたサクラマスは、どれもそうだった。潮が動いている時に得たバイトは、ジグが持ち上がるようなヒット。じゃれているのではなく、捕食行為と判断できるヒットで、これからはその部分をもっと追求していきたい。

そして次の課題はオフショアでのサクラマスキャスティングゲーム。サワラを狙うブレードジグは、フレッシュウォーターゲームで狙うスピナーと同じ効果に繋がると考えられるし、ミノーイングで層をしっかりと引いてこれるなら、もっと面白いスタイルのゲームになるだろう。フラットボートでなら、このようなスタイルも可能であり、有持船長は新しい船を準備している。固定概念に囚われず、どんどん新しいスタイルを取り入れていくことで面白さが広がり、私もチャレンジしてみたいと強く考えている。

今回はマッドカラーの発色効果と、メッキボディータイプの使い分をし、サクラマスを探していった。群れで回遊するパターンがこれから増えてくると思っている。そのタイミングでいかにヒットを取りこぼさないようにするのも、釣果を伸ばす手段だと思っており、これからの展開で、更に楽しいサクラマスジギングが誕生していくことを期待している。

カルティバ ファイアツイン

カルティバ ファイアツイン。80g、100g、120g用としてサイズが分けられている。昨年よりプロトタイプを使用しており、抜群なフッキングに安心してサクラマスジギングで使えるモデルだ。

オフショアルアー船ホライゾンと有持和也船長と平松慶

オフショアルアー船ホライゾンと有持和也船長と私。船長はオホーツク海で色々な展開を考えており、楽しみだ。

紋別沖のサクラマスジギングタックル

紋別沖のサクラマスジギングタックル

【スピニングタックル】
ロッド:Abu Garcia ソルティーステージ KR-X SSSS-673SLJ-KR攻め
リール:Abu Garcia Revo ALX THETA 3000SH
ライン&リーダー:サンライン PEジガーULT8本組 1.2号&ツナギート フロロカーボン20lb_5号

【ベイトタックル】
ロッド:Abu Garcia ソルティーステージ KR-X SXLC-603-120-KR
リール:Abu García MAX DLC ハイギア 右巻き

【メタルジグ】
K-FLAT KEI-JIG 150g、Gummy-fat130g
ホッツ ケイタンジグSTD125g,150g,ドリフトチューン130g
(全てサクラマスリミテッドカラー使用)
ピュアフィッシング 微弱(ビジャ)メタル120g,150g

【フック】
オーナーばり:カルティバ・ファイアツイン80、100、120gサイズ、シワリツイン3/0、4/0

【その他】
偏光グラス:zeal optics VEROモデル

ガリンコ号3とカニの爪オブジェ

写真左のオレンジ色の大型船が「ガリンコ号3」。写真右は紋別の名所「カニの爪オブジェ」。紋別サクラマスジギングに挑戦するために、私は羽田から一日1便のANAでオホーツク紋別空港へ向かう。今年は何回行くことができるだろうか?

 

<K-FLAT HP>
平松慶ブランドメーカー:K-FLAT株式会社
https://www.k-flat.net

<船宿>
(紋別エリア)
ホライゾン オフショアルアー船 有持和也船長
TEL:090-7052-2882

ジギング他、他魚種 M(エム)船 鈴木誠船長
TEL:090-7651-1091  
 
<現地状況問い合わせ>
マルタケ伊藤釣具店 TEL0158(23)2502

<平松慶オフィシャルブログ【いいぶさ日記】>
https://kei-hiramatsu.com

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AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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