連載 平松慶のオフショアワールドvol.22

オフショア実釣。
梅雨明け直前に伊豆南沖で
青物をジギングで狙う

伊豆南沖。見渡すと利島、新島が見え、振り返れば伊豆大島が位置するエリア。関東圏からのアクセスもよく、今人気のフィールドだ。キャスティング、ジギングともに楽しむことができ、マグロ類、カツオ、シイラをキャスティングで狙い、ヒラマサ、カンパチ、ブリのジギングが面白い。梅雨明け直前の7月中旬、それぞれのスタイルで夏のオフショアゲームを楽しんできた様子をお伝えします。

オフショア実釣。<br>梅雨明け直前に伊豆南沖で<br>青物をジギングで狙う

梅雨明け、真夏を想定したゲーム展開と対策。

私のホームグランドの一つとなる、伊豆南沖エリア。網代港から日帰りで通える伊豆七島となると、遠くは御蔵島までが限界であろう。今回の釣行は御蔵島エリアでキハダをキャスティングで狙うか、南沖エリアをギングで探るか、出船前日まで状況と合わせて考えていた。

お世話になる船は、網代港の森竜丸。遠征船としても人気が高く、御蔵島エリアへもこの時期は出航率が高い。ただ今回は、船長と相談して南沖エリアを狙うことになった。出船当日の天気予報は雨のち曇り。静岡エリアを覆うような梅雨前線が広がり、典型的な梅雨空であった。波高1m。風も穏やか。雨だけが心配、といった予報でチャーターした森竜丸で南沖を攻める。

今回の参加アングラーは8名。キャスティングでキハダを狙いたい人はミヨシ側に立ってもらい、ジギングで青物を狙うアングラーは右舷でのドテラ流しで探っていく。それぞれアングラーは己の釣りスタイルに精通している者ばかりだったので、安心して釣りに集中できそうだ。皆が持参したタックルを見ても、それがすぐに伝わってきた。

伊豆網代港に3時集合。出船前準備をし、まだ暗い中3時半には港を出た。森竜丸は遠征許可船であり、航海エリアも広く許可を得ているので船内装備も抜群。ひとり一畳スペースでのベッドスペース、冷暖房完備。アングラーにとってこれ以上ない贅沢な環境で釣り場まで運んでくれる。3時半に出船し、最初のポイントまでの2時間半はエアコンの効いたキャビンでゆっくり休むことができるのだ。

関東のアングラーにはアクセスしやすい東伊豆・網代港から出船する森竜丸。伊豆南沖、御蔵島と、夢のあるフィールドを案内してくれる遠征船。

エンジン音が落ち、キャビンから釣り座に出る。歯ブラシを咥えながら辺りを見渡す。利島、新島がしっかりと見え、振り返れば伊豆大島も確認できる。私が大好きな伊豆南沖だ。これから始まる…そんな期待を胸に、釣り座に立った。そして船は反応を見ながら流れを確認し、流し所を定めていた。辺りにはボイルが確認できる。水鳥の動きも落ち着かない。「魚っ気」が視覚からも察知できた。

6時になり釣りのスタート。ミヨシ側では3人がボイルに向けてキャスティングを開始した。水深80m。「駆け上がりにベイトの反応が出ている」とアナウンス。私は大トモ(後部)からメタルジグを落としていく。水深80mだが、流れが速い。森野船長は駆け上がりを狙う際、小刻みに水深をアナウンスしてくれる。「81m、79m、75m、70m、66m…」。このカウントを聞きながらジグの着底までの距離間を私は読むようにしている。潮に対してメタルジグのウエイトが足りているか? 船が流れていく方向(船長の思考)と私が落としているメタルジグの方向が定まっているか? これをまず気にするようにしている。船長が発する水深のアナウンスは、魚探に映るベイト反応に合わせて船位置を定めているはずなので、それに合わせて狙うようにすることが、ジギングで青物を狙う際に最も大切なところ。Gummy 200gでは少しジグウエイトが足らないと感じ、Gummy fat 250gに次の流しで交換した。

最初の流しでまずは状況判断。その流しでミヨシ側ではキハダであろうバイトを何発か出していた。活性の問題だろう、フッキングが甘く3発のバラシ。表水面へのコンタクトは高活性までは至っていない様子。ただ魚の数は多そうだ。私はトップゲームの状況をみて、ボトムへの意識を強く持った。

ミヨシではキャスティング、ジギング組みは右舷に並びドテラ流しで探っていく。好み、タイミングに応じて両方楽しめるのがいい。

伊豆南沖のジギングでの狙い方。

ポイントは、起伏のある瀬周り。そこに着いたベイト反応をみて船を流していく。Gummy fat 250gで底潮が持ち上がるような流れ。これは難しい。こうした沖根でのジグ操作で、ダウンカレントならばジグの着底は取りやすいのだが、アップカレントとなるとメタルジグウエイトの選択も難しい。自分だけが潮にあったウエイト配慮でも、他のアングラーのジグウエイトが合っていなければ、ラインスラッグが原因でトラブルに繋がってしまう。ドテラ流しだが底潮が持ち上がるような流れであるため、ジグ操作が大変だ。

私はGummy 310gに交換した。どうしてもボトム周辺に上手くジグを漂わせたいから。水深80m以浅のエリアで310gのジグを投入するが、ロッドにジグウエイトの負荷を感じない位にスムーズにしゃくれる。これは、310gのジグウエイトが潮に持ち上げられているからだ。他のアングラーは根掛かり多発。かなり難義している様子。私はここをもっとじっくりと攻めたかったが、船長が船上の様子を見てポイント移動になった。ミヨシのキャスティング組みは、良型を掛けファイトしていたがバラしてしまった様子。仕方ない。

船は東側の瀬に移動した。水深120m前後のポイント。深場の反応が良いとアナウンスで伝えてくれる。仕切り直しのタイミングで辺りは真っ暗な雲に覆われ始めた。雨を持っている低い雲だ。ここでGummy 250gに交換し、再び109mからスタート。暫くして、大粒の雨が落ちてきた。投げていたミヨシ側チームもジギングロッドに握り変えてしゃくり始めた。

ファーストヒットは堂の間で探っていた三井さんだった。ボトムでのヒットに、全員からの期待がかかる。丁寧なファイトで上げてきたのは、5kgクラスのハガツオ。この1尾で船上のアングラーは気合いが入る。しかし、雨が激しい。雨の中、黙ってメタルジグを動かしていく。ポイントは120m前後を行き来し、足の速い反応に合わせて船を入れ直してはしゃくる。我慢の時間帯に耐える感じだった。

雨の中、船中ファーストキャッチとなったハガツオ。今年はハガツオのヒットが多い。皆に気合が入る。

平松流のマストパターン。

水深110m。雨量は変わらず空から落ちてくる。私はGummy 250gをボトムに這わすように操作した。ハガツオが釣れ、その後にオオクチハマダイが飽きない程度に上がり出した。これがフィーディングタイムだ、と私はより集中した。オオクチハマダイが吐いたベイトは3cmほど。これを大量に喰っている。ベイトが小さい。イコール、状況は難しいと判断した。

深場を攻めていると、中村さんにオオクチハマダイがヒット。

伊豆のベテラン安富さんにもヒット。しかしこちらもオオクチハマダイ。

細野さんもボトムでヒット!

オオクチハマダイが吐いたベイトは、なんとこのサイズ。

さあ、どうしよう。ベイトの反応はボトム。反応しているベイトは小型。それをフィッシュイーターが囲むように狙っている…。そう考えてみた。ベイトがまとまっているから、魚探にもしっかりした反応が出ている。その周りにはきっと青物がいるだろう。ジグが着底してからベイト反応に突っ込むイメージでボトム中心に探っていった。ジグを3回しゃくり、再びボトムを取り、また3回ほどしゃくる。リフト&フォールなのだが、しゃくるスピードにインパクトを与え、ジグがベイトに突っ込むイメージで青物を狙ってみた。

フィッシュイーターは、ボトムで小魚をまとめて捕食している状況を意識し、ボトムを丹念に探っていく。小型ベイトを捕食するひと回り大きいベイトの動きをジグで再現するように動かしていく。

「ゴン!」これが見事に当たった。ひったくるような強いバイト。すぐに青物だとわかった。100mはあるボトムからのファイトなので、最初は重い動きが中心であったが、中層辺りで何度か下に走る動きを見せたので、カンパチじゃないかな?と期待する。上がってきた。雨が降っていたが、操舵室から森野船長が出てきて掬ってくれた。予想通り、カンパチ。これは嬉しかった。イメージ通りに魚を掛けキャッチできたのは、釣りの一番面白く嬉しい場面だ。狙い通りの1尾に素直に喜んだ。平松流マストパターンとして、ベイトがどのような状況で追われているのかを考えた。きっと小さなベイトを捕食しようと、他の魚たちもベイト周りについていたはず。青物が狙っているのは、小さなベイト以外に、それにつく小魚たちだと想定し、その小魚を演じて誘い、本命の口を使わせた。これが、この時の私が分析するカンパチの狙い方。様々な場面があるが、一辺倒な狙い方では手に負えない場面も多々遭遇する。私は捕食しやすいベイトを意識し、小さなベイトに着いた魚をイメージして狙い、ピシャリとハマったのだと考えている。目で見えないジギングなだけに、奥が深く面白い。

自身の組み立てでヒットに持ち込むことができたカンパチ。5㎏ほどであったが、読み通りにヒットし、嬉しい1尾となった。

この日のカンパチは、この1尾を加えて、合計2尾で終了。なかなか厳しい状況ではあったが、カンパチ、ヒラマサの良型も今シーズンはヒットしている。また状況をみてチャレンジしたい。

伊豆南沖オフショアゲーム。20代後半から意識して通い始めた伊豆エリア。当日はルアー船も少なく、開拓時代で動き回っていた。今は本当にオフショアルアーゲームに理解を示していただける環境となり、その環境が釣果を呼びアングラーを活性化させてくれている。今はルアーアングラーにとって釣りがしやすい環境になり、情報も毎日のように得られる。今回、久しぶりに入った南沖。喰い渋る状況下で掛けた嬉しいカンパチ。5kgほどであったが、狙って釣る面白さは格別だ。

ミヨシのトップゲームはバラシのみであったが、魚影は相変わらず濃く、タイミング合えば数やサイズも狙える。ジギングでのヒラマサの良型も報告されている。関東圏からアクセスもよく、受け入れ態勢も整っている伊豆エリアオフショアゲーム。この夏から秋に向けて、まだまだ始まったばかり。南沖、あらためて楽しいエリアだと実感した。

キャスティングで釣れる雰囲気は十分あった。朝のうちにヒットしたものの、その後はノーヒット。ただタイミング次第で、多くのヒットが得られる時もある。今のところキハダのアベレージは、30㎏ほどまでだが、大型の物も回遊している。

キャスティングタックル

ロッド:PENN スラマーPHSS-71M
PENN スラマー PHSS-71LMH
(平松慶監修モデル)※プロトタイプ

リール:PENN オーソリティー 8500HS
PENN スラマーDX 8500

ライン&リーダー:サンラインX8フルコンタクト 8号&ナイロンショックリーダー130lb
ルアー:ルグランタンゴ190

ジギングタックル

ロッド:PENN トルクPHK-63M
リール:PENN スラマー3 6500
ライン&リーダー:サンライン PEジガー8HG 4号&ツナギート60ポンド
ルアー:K-FLAT Gummy200g〜310g、Gummy-fat250g、KEI Jig235g KEI Jig、シャープ260g
フック&パーツ:オーナー ハイパーワイヤー♯7
ソリッドリング6.5mm
JS-39 ブルーチェイサー11/0

偏光レンズ:グレンフィールド ZEQUE “STELTH”

伊豆網代港 森竜丸

森野滝雄船長 090-1620-1988
https://www.moriryumaru.com/

タックル問い合わせ
Goldic TEL:046-252-6010(火曜日定休)
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AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT株式会社代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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