PENN・平松慶のビッグフィッシュチャレンジ
夏から秋の海での
ヒラマサ、カンパチ、キハダ狙いの
ジギングタックルセレクトin伊豆南沖
PENNリールのプロスタッフであり、ヒラマサを愛する平松慶さんが、頻繁に足を運ぶ、関東圏からのアクセスが良い伊豆から船で遠征する南伊豆、御蔵島といった海域。それは、この伊豆からの遠征先には一発大物の可能性を秘めているからだ。しかもこの地は、良型カンパチ、キハダのヒットの可能性も併せ持っている。10月中旬、そんな伊豆南沖釣行の際の平松慶さんのタックルセレクトについて、ここで詳しく解説したい。
INDEX
夏から秋の大型青物の動き
伊豆南沖と呼ばれる利島、新島周辺エリアは、大型、良型のヒラマサ、カンパチ、キハダを狙える関東のアングラーにとって魅力的なフィールドであるが、簡単には釣果に結び付かない場所でもある。しかし、それだけに釣れた時の喜びは大きい。そんな伊豆南沖を、平松慶さんは幾度となくチャレンジしてきた。そして、多くの結果を残してきた。その釣行の様子、釣果をこれまで何度も見てきたが、良い結果に繋げるにはフィールドを読む力が必要だということがよく分かる。先にアップした「連載 平松慶のオフショアワールドvol23」では、その釣行の様子を平松さんに報告してもらったが、ここではその時に使用したタックルについて深堀りしたい。
まず、釣行日のフィールドをどう読んでタックルを用意したか? 連載記事内でも触れていたが、今一度解説していただいた。
「まず今回、網代の森竜丸行く伊豆南沖というエリアは、基本はジギングで探ることになりますが、キハダが浮いている状況であればキャスティングタックルの出番となります。ジギングにこだわるという選択肢もありますが、キャスティングタックルを準備してくる人も多いです」
このようなことから、平松さんもどちらのタックルも準備。しかし結果として、2日間の釣行日では鳥はあまり見えず、水面に魚が出ている様子もなく、キャスティングタックルの出番はなかった。しかしこの海域への釣行を考えるのなら、どちらもタックルを用意したほうが良いだろう。
さて、メインとなるジギングのタックルはどんなものが必要なのか?
「今回のジギングタックルの準備において、まず狙いのヒラマサ、カンパチがどのように行動しているのかを予測するところからスタートしました」
探る水深はおおむね100m前後。その中で、ベイトフィッシュはどのように動いているか? これは季節によって変わる。水温が下がってきた秋の海になっていれば、ベイトは中層に幅広く散らばり、それをヒラマサ、カンパチ、キハダといった青物が追う。
「広く反応が出る状況に対しては、僕が探り方を解説する時に使う『線の動作』で斜めの軌道で広く探ることで、釣果に繋がりやすいです。もうひとつ想定されたのが、まだ夏の海の状態ということ。水温が下がっていなければ、水温が安定しているボトム付近にベイトは集まる。自ずと、ヒラマサ、カンパチも下の層にいる。キハダは中層、表層を回遊しているが、ヒラマサ、カンパチにターゲットを絞るのであればボトム中心となります。そして、ジグを幅広く動かさずに一定の層の中で、しゃくりとジグのホバーリングの動きの『点の動作』で探っていきます。今回は、実際フィールドに立ってみないと、どちらか分からないという状況でした」
そんなことから、平松さんは両方のパターンを探れるようにタックル、ジグを用意してきた。
用意したロッドは? PENN・スラマーロッド2機種
この日、平松さんはジギング用にPENNのスラマーロッドの63Mと63MLを持参した。
「この2本は、ともにファーストテーパーのモデルになります。63Mはバッド、ベリーともにかなりしっかりしております。63MLは、ファーストテーパーではあるが、曲げ込むとベリー寄りまで曲がっていく作りになっています」
どちらも、平松自身がこれまでのヒラマサジギングの経験によって、よりヒラマサをヒットさせるためのジグアクションを演出しやすい調子になっているという。
「まず63Mですが、こちらはジグにインパクトのある動きを出すために設計したものです。ボトム付近でジグを素早く大きく動かし、ターゲットを寄せ、刺激して捕食に導くために設計しました。一方、63MLは、ジグをいやらしく動かすモデル。大きな動きでなく、ネチネチと動かすときに使用します。今回は無かったですが、魚礁の周りにいるターゲットをじっくり誘うという時に最適です。真逆な使い方をするロッドですが、フィールドの状況が分からないため、今回はどちらも用意していきました」
ちなみに先に書いてしまうと、釣行日は終始「ボトムから20mまでベイトの反応」という状況。時折中層にキハダ、サワラの反応が出る、まだ夏の海であった。
「今回のような夏の釣りというは、ベイトがボトム付近にいるので、その中でジグの波動をターゲットに感じさせて、ホバーリングの喰わせの間を入れて探っていきます。そのため今回は張りのある63Mがメインロッドになりました」
ちなみにそのしゃくりパターンはというと、ボトムにジグが着底したら、ラインスラックを取ると同時に、ジグをロッドで大きく跳ね上げ、そしてジグをホバーリングさせて捕食の間を作り、また大きくしゃくってホバーリングさせるというもの。その後、細かいしゃくりを3~5回ほど入れて、また大きく、素早くジグを跳ね上げてホバーリングさせる。この一連の動作を水深20mの範囲内で行っていく。
今回は、このような「点の動作」での探り方がメインとなったが、広く反応が出ている状況なら「線の動作」で探ることもある。その時のタックルは?というと、こちらも63Mを使用するという。
「63MLは、魚礁周りだけでなく、水深が浅い場所にも適しています。例えば外房のような、ボトム付近をネチネチと探らなくてはならない時は、63MLが出番です。今回のような水深があるエリアでは、やはりジグを動かしやすい張りのある63Mが適しています」
ちなみに平松さん監修のジギングロッドは、これまでの物も、現在使用しているスラマーロッドもしっかりとした張りがある。昨今のジグの余分な動きを吸収しながらナチュラルにジグを動かすベリーから曲がるロッドと比べると張りが強い。
「これまでいろいろな場所でヒラマサやカンパチ、ブリ等と対峙してきましたが、僕の釣りはジグをしっかりと動かし、その時の波動と動きで相手に気付かせて捕食に繋げる釣りだからです。数々の実績から、このようなロッドになっています」
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何を釣りたいかで探り方は変わる
今回、「点の動作」で探るのがメインとなったが、平松さんは途中で線の動作も試した。
「ベイトが広く広がっている可能性、そしてキハダの回遊の可能性もあったことから、線の動作でも少しの間ですが探りました。そして2日目に中層でキメジがヒットしました。1日目は他のお客さんも中層でキメジをヒットさせていました。線の動作で中層でのキハダを狙うこともできますが、キメジがヒットしてしまうと思いやめました。今回のような状況では、ボトム周辺の青物狙いを貫かないとワンチャンスを逃してしまう。そのような考えで、ボトムエリアをメインにしました」
初日の乗合船では、中層にも出る反応に対して、船長は「広く探ってみて」とアナウンスがあった。キハダの反応が出たからだ。そのキハダの群れに、ヒラマサやカンパチもボトム付近で一緒に回遊していると船長は言った。ここで広く探るのか、ボトムに集中するのか? それは釣りたい魚によって異なるということだ。
「御蔵島などで、良い潮が入っている時は、キハダの群れの中に、ヒラマサ、カンパチが混ざっている時があります。そんな時は、線の動作も必要。ただ、今回のシチュエーションでは混ざっていることは無いと思い、ボトム中心の探り方になりましたね」
また平松さんは船長から、ここ最近の泳がせ釣りでのヒラマサ釣りの釣果に対して、「泳がせで喰わせているヒラマサは、全てボトム中心」と聞かされていた。だからこそ、ブレることなくボトム周辺のサーチを徹底したという。
リール・オーソリティーの性能を十分活かした平松流ファイトの仕方
一般的な考えとして、張りのあるロッドは、ジグをしっかり操作できる。しかし曲がるロッドと比べるとファイトがキツい。ただそんなファイトの辛さを解消する平松さんならでやり方がある。それが、ファイトスタイルとリールの性能だ。
まず平松さんのファイトは、ヒット後にロッドを大きく曲げたパワーファイトは行わない。ロッドを直線的に構え、相手を刺激しないように間合いを詰める。魚は強く刺激すると、反転して強い力で逃げようとする。そのため、ロッドを曲げてプレッシャーを掛けず、ドラグも強くは設定しない。
「まずドラグを強くすると、ヒットしたと同時に弾いてしまうことがあります。そこで初期設定は4.5㎏ほどに設定しています。そしてフッキングしたら、ロッドを大きく曲げてプレッシャーを掛けて魚を止めるのではなく、リールのドラグ性能を利用して相手が弱るのを待ちます」
平松さん流のファイトで、魚とのファイトで主導権を握るのには、リールの性能が必要不可欠というわけだ。
「現在はPENNのオーソリティー6500を使用していますが、このリールは剛性がしっかりしています。そしてこのリールにはこれまでの魚とのファイトでも実証されている信頼できるスラマードラグが搭載されています。今までのスラマーリールでもこのドラグの性能に惚れ込んでいましたが、オーソリティーを使うことになって、スラマードラグの良さを最大限に活かすのはボディの強靭さが重要だということが分かってきました。ドラグの安定感が増したように感じます。オーソリティーはボディの強度があるから、グリグリ巻いて魚を寄せられるということではなく、ボディの強度があるからこそドラグに頼ったファイトができると思っております。もちろんオーソリティーは、巻き上げトルク、巻き上げ感度は、これまでのモデルと比べると圧倒的です」
ちなみに普段、平松さんのオーソリティーのノーマルギアモデルを使用しているが、今回はHSモデルをセレクトした。
「浅い場所では6500番のノーマルモデル(ハンドル一回転99㎝)で何ら問題無いのですが、今回は100m前後の深場ということもあり、6500HS(ハンドル一回転121㎝)をセレクトしました。これは、素早く潮で膨らんだ糸フケを取ること、そして深場でよしっかりジグを動かすためです。そして魚の動きに、素早くリールの巻きで対応するためです」
ちなみに6500番は、平松さんがいつもヒラマサやカンパチ狙いで使用するPE4号が300m入るラインキャパシティーを備える。
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PE4号、リーダー50lbを使用する理由
ヒラマサ、カンパチなどをジギングで狙う際、平松さんはいつも6500番をセレクトする。
「5500番はPE4号使用時のラインキャパの問題と、さらにパワーや重さというのが僕の中では足らない感じがします。PE4号に6500番というのがバランスが良いと感じています」
またライン選びは、強度はひとつの目安だが、それだけではないと平松さんは言う。
「僕は、ヒラマサやカンパチを狙う際に、最初の一投目は200gのジグを落とします。それは、水中の様子を把握するためです。潮がどちらに流れているか、潮目はあるか、それを知るためです。その時、PE4号でいつも行ってきました。なので水深が浅いから、魚が小さいから3号を選ぶのでなく、PE4号なのです。またPE4号を使い続けてきたため、掛けた時のファイトで、どこまで無理をしても切れないかということも把握しています。これが3号だとファイト中に迷いが生じる。4号だから切れないというのではなく、4号を知っているという自信です」
リーダーの50lbも同じ。起伏の激しいところでは60lbを入れたりすることもあると言うが、基本はフロロカーボン50lbがベース。ただ、長さを変えることは良くあるという。基本は3ヒロ、4ヒロほどだが、深場をやる時は長くするなど、魚の活性状況などによっても変えるという。
そして突然の大型魚のヒット。その時のファイトの詳細
釣行初日、朝一に入ったポイントは80m、次に入ったポイントは70mだった。台形状に広がる瀬の淵を流す感じだ。底潮はそれほど強くない状況。そのため、平松さんは最初に入れた200gのGammyをそのまま使用した。船長からはボトムにベイトがいるという情報だった。そして90mレンジに入った。一投目、ジグを落とした感じでは、この水深もほぼ海の中は同じ状況であったという。着底して、まずは大きめにしゃくりを入れ、ラインスラックを取ると同時にジグを素早く大きく動かし、その後ホバーリング。2回ほどしゃくり&ホバーリングを入れ、次に大きくしゃくりを入れてホバーリングさせた時に「ガツン」と喰ってきた。
「ホバーリングして、頭からフォールする瞬間に乗ってきました。最初の魚の動きで、同時にフッキングしました。この時、ヒットしたポイントの状況にもよりますが、今回の場所は起伏の激しいポイントでないと思い、ロッドを曲げてプレッシャーを与えるのではなく、リールのドラグの性能を信じてある程度走らせました。ドラグによるプレッシャーを与え続ける感じです。20mほどラインが出ました。そしてドラグ性能を信じて相手をしっかり弱らせていきました。その後、最初の勢いから弱ってきたことを確認し、ドラグを4.5㎏ほどから6㎏ほどまで少しだけ締めてリフト、ポンピング。弱ってからのポンピングでしたのでスムーズでした。浮いてきたのは、このエリアでは初のサイズのカンパチでした。なかなか釣れないサイズです。嬉しい1尾でしたね」
狙い通りに魚を掛けた平松さん。そして安定したファイト。釣れたのではなく、釣ったということを、より実感できる1尾となった。
今回の夏から秋の伊豆南沖攻略に用意したジグウエイト
最後に、ジグの準備について聞いてみた。ジグは探る水深、潮の速さ、船の流れる速度、ベイトのサイズなどを考え、ジグサイズを用意するのが一般的なセレクトだが、平松さんは南伊豆において、どのようにジグを準備したのか?
「今回、用意したジグは180~310gです。実際、280g、310gという重さも、今回は使いました。ただ使用するタイミングは少なかった。泳がせと同船した2日目は、風が強いタイミングがありましたので、よりボトムを丹念に探るために重めのジグも入れましたが、ほとんどの状況が200gでしっかりと探ることができました。底潮が効いていましたが、それほど強い底潮ではなく、潮流が持ち上がるアップカレントもきつくなかったので200gで難なく探れました。このアップカレントが強かったり、2枚潮がキツかったりすると280g、310gを使うことになります」
またベイトの反応が広範囲に出ていて、線の動作で広く探るような時は、180gを使用することもあると言う。そういったことで180~310gを用意。夏と秋の入れ替わりの時期だったため、今回のジグセレクトウエイト幅が広くなったとのこと。シーズンがはっきりしていれば、絞り込みができるという。
平松さんは、どののエリアにいってもそのフィールドをまず徹底的に予測し、釣りをしながらじっくりと観察し、それに応じて攻めていく。闇雲にしゃくるだけでは安定した釣果は得られない。そしてそのように攻略していくうえで必要なのが、状況に合わせてジグを思い通りに操作できるロッド、そしてタックルバランス、使い慣れたタックルということだ。平松さんが自信をもってオススメするPENNのロッド、リール。今一度、チェックしてほしい。
ジギングタックル
ロッド:PENN・スラマーSLJS-63M、63ML
リール:PENN・オーソリティー6500HS
ライン&リーダー:サンライン・インフィニティブX8 4号+ツナギート50lb
ルアー:K-FLAT・Gummy200g〜310g、Gummy-fat250g
KEI Jig235g KEI Jig シャープ260g
キャスティングタックル(平松慶監修モデル)
ロッド:PENN・スラマーPHSS-71M、PHSS-71LMH
リール:PENN・オーソリティー 8500HS
PENN・スラマーDX 8500
ライン&リーダー:サンライン・X8フルコンタクト 8号&ナイロンショックリーダー130lb
ルアー:ルグランタンゴ190
PENN SLAMMR CASTING
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