サベージギアのNEWロッド・ULLRで挑む
夢を実現するために。
淡水魚最大級・古代魚ピラルクー
エクアドル・アマゾン釣行
釣り人なら、いつかは釣ってみたいと思う魚はあるはずだ。その魚の一つに「ピラルクー(アラパイマ)」を挙げる人もいるだろう。水族館や熱帯魚屋、最近ではタイなどの釣り堀での釣果のSNS投稿を見て、この魚の存在を知ったという人もいると思う。そんなピラルクーをルアーで釣りたい。しかも、天然の個体と対峙したい。そこでエクアドルのアマゾン地区へ釣行。体長3mオーバーのキャッチを目標に、新しい4ピースのロッドを携えチャレンジした。

INDEX
アラパイマと出会える率が高い地へ
ピラルクーは、ピラルク、アラパイマ、パイチェ(以下アラパイマ)と呼ばれ、体長3m以上になる淡水最大級の魚である(学者によってはチョウザメ類やメコンオオナマズ、淡水エイ・プラークラベーンが最大と言うこともある)。進化において1億年姿を変えていないと考えられており、その姿は美しく、そしてかっこいい。この魚をいつかはアマゾンの大自然の中で狙ってみたいと思っていたが、そのチャンスを2024年の年明けに得た。沖縄本島の遊漁船「ノアマリン」のスタッフであり、世界中の様々な魚にチャレンジしている新開雅寛さんからの誘いであった。
場所は南米エクアドル。アアマゾン川の上流域に入り、ボートからキャスティングで狙う。新開さんは前年度にもチャレンジしており、4尾のアラパイマをキャッチ。そこには多くのアラパイマが生息していると聞き、心が躍った。アラパイマ狙いは、エサやソフトルアーで狙うという選択肢もあるが、自身としてはやはりハードプラグで釣り上げたい。それは新開さんも同じ。タックルセレクト、狙い方などはアドバイスを聞き、自分なりにタックルを準備して6日間に渡り挑戦した。そしてこの2024年の釣行では、なかなかキャッチまで届かず、最終日に2mほどのアラパイマをなんとか手にして終了となった。水量が多く、多くのアラパイマが水没する林の中に入ってしまい、存在は多く感じるものの狙うことができない厳しい状況。また、オープンエリアに出ている個体に対しても、探るタイミング、キャストするベストな位置、タックルセレクトと、思い返せば自身の反省点も多かった。そこで翌年の2025年の新年、再び同じメンバーでチャレンジすることとなった。

2024年に釣り上げた1尾。最終日になんとかキャッチ。思い返せば、反省点も多かった。
タックル、釣り方は分かった。あとは水量の問題など良いフィールドの状況次第だ。ちなみに今回の釣行では、サベージギアの新作ロッド・ULLRを持参することにした。このロッドは、サベージギアの日本企画の4ピースのパックロッド。世界中の様々な魚と対峙できるようにラインナップされ、ヘビー級のサベージギアのルアーも扱えるように設計されたロッド。これを展示会の際に触らせてもらい、発売前(2025年3〜4月発売予定)であったがサンプルを借りて持ち込んだのだ。

日本企画のサベージギアのULLRは、日本人が使いやすいレングスに設定され、遠征釣行での持ち運びを考えて作られた全アイテム4ピース仕様のロッド。仕舞寸は大型のスーツケースに入る長さ。スーツケースに入れられれば、航空機の預け荷物の個数制限がある場合は助かる。また荷物の個数が多くなると、どうしてもロストバケージの可能性が高くなる。特に大きなロッドケースは無くなりやすい。車や船を利用して秘境に行く釣りは、誰か一人でもロストバケージしてしまうと、その先の予定が全て崩れる。スーツケースに入れて荷物を一つにまとめればより安心だ。また、ULLRは手荷物で機内にも持ち込めるサイズだが、航空機、国によっては預け荷物でなくてはならない場合もあるので、手荷物にするときは事前に確認しておきたい。
釣り場までの道のり
釣り場まではかなり遠い。釣行の最終地点は、アラパイマが多く生息するエクアドルとペルーの国境にあるラガルトコチャ、イムヤコチャというラグーン。ラグーンは、川の水が減水することでできる溜池で、ここにアラパイマが生息する。周辺の川筋にもアラパイマはいるが、広く見渡せるラグーンのほうが魚影を見つけやすい。アラパイマのライズを待ち、静かに近づき、そしてキャスティングで探っていく。日の出とともにラグーンに向い、1隻のボートにガイドとアングラー1名、または2名で乗り釣りをしていくスタイル。ラガルトコチャ、イムヤコチャでは、キャッチ率を高めるために、ボート一隻にアングラー1名でやりたいとガイドにお願いした。最終地点の釣り場までは、成田→アメリカ・ヒューストン→エクアドルの首都・キト(キトでホテルに1泊)→翌日に飛行機でコカへ移動。その後は車で3時間、船移動4時間ほどで、最初のアマゾンの宿泊地となるツクナレロッジに到着する。このロッジの近くにもサンクードコチャというラグーンがあり、そこを翌日に1日だけ探り、次の日に最終地点のラガルトコチャのキャンプサイトへ向かう。日本を出てから4日目に到着する。

最初のアマゾンでの宿泊地であるツクナレロッジ。ここに2泊。到着した翌日に、サンクードコチャで1日だけアラパイマを狙う。

ツクナレロッジの近くのサンクードで1日釣りをした後は、大きなスーツケースなどに荷物はバンガローに置き、釣具と着替え等の必要な荷物だけ持ってラガルトコチャのキャンプサイトへ移動。キャンプ地の電気は発電機を動かす夕方からの2時間だけしか使えない。だがテント内にはベッドマットが敷かれ、シャワー室やトイレもあり快適。
狙い方は、周囲を見渡し反応を見つけキャスト
さて、アラパイマの狙い方だが、まずアラパイマを探すところからスタートとなる。音を出さないように手漕ぎでボートを進める。そしてまず一つ目の狙い方となるのは、アラパイマは息継ぎをするため、それを見つけてプラグキャストで狙う方法。遠い場所の場合は、静かに近づいて次の息継ぎを周辺で待つ。そして再度息継ぎをしたら、その場所の横2〜3mの場所へキャストする。アラパイマがどちら側を向いているか、瞬時に判断することが必要であり、水面に出てからキャストするまでのタイミングも重要。水面に出てから、1、2、3のタイミングでルアーを着水させるのが良いとガイドはいう。また、浅瀬で泳いでいるのを見つけて攻める方法もある。背中を出していたり、泳ぐことでボトムにある水泡が浮いてきたりする。そして最も長い時間探れるのが、ベビーボールを見つけること。稚魚は固まり、水面にプチプチと波紋を出す。その稚魚の下で親魚は泡を出す。また近くを回遊している。稚魚が出た場所にルアーをキャストすることで、親魚がアタックしてくるのだ。どの狙い方にしても、着水と同時にルアーにトゥイッチ、ジャークのアクションを入れ誘う。潜ったアラパイマの目の前で、ルアーがギラ、ギラと動かすイメージだ。キャストは相手に違和感を与えないように離れた位置からアプローチすることになり、キャスティングの飛距離、正確さは重要となる。

広大なラグーン。探るのはサンクードコチャ、ラガルトコチャ、イムヤコチャの3つがメインだが、上流にはまだまだ沢山のラグーンがある。奥地のラグーンをやるには、さらに大移動が必要。

無駄なキャストはせず、アラパイマを探し、発見したらプラグを撃つ。次の息継ぎを待ってキャストするパターンも多い。ラグーン内では極力音を立てずに、鳥の声、虫の羽音、猿などの叫び声を聞きながらじっと待つ。アラパイマが息継ぎしそうな場所の、ある程度離れた場所で待機。キャストの飛距離、精度は必要となる。
強ければ良いわけではない、バラさないロッドセレクト
アラパイマを狙うため、少ないチャンスの中からキャッチへと繋げるためには、タックルセレクト、タックルバランスは重要だと思う。まずロッドだが、今回の釣行では、メインロッドにサベージギアの新作ロッド・ULLR(ウル)の684XHを選んだ。ルアー:35〜180g対応、ライン:PE 10号対応のモデルだ。アラパイマのサイズが2m以上と大きく、口が硬くてフッキングしないという考えから、シリーズの中で最強の684XXH(ルアー:42〜500g対応、ライン:PE10号)が良いと思われがちだが、アラパイマへのフッキングは、硬いロッドであっても、口内の奥や唇付近の一部を除いて、口内のほとんどの場所は刺さり切らない。さらにアラパイマの習性で、ヒット後にジャンプを繰り返す。半掛かり状態で掛かっていることを想定し、ジャンプの時に少しでも動きを吸収できる、しっかりと曲がってくれるロッドのほうが良いと前年の経験から判断。硬いロッドはバレるのだ。硬さとしては、一つ下の番手の664H(ルアー:28〜130g、ライン:PE8号)でも触った感じは良かったが、キャストの飛距離を考えて2インチ長い684XHを選んだ。あとは強度だが、こればかりは実際に掛けてみないと分からない。

今回は、ULLR 684XHを使用。太いメインラインに太いリーダーをアラパイマ釣りでは使用するが、ガイドも大きく、太糸でのノットの通りもスムーズだった。ラインナップは全5アイテムあり、使用ルアーの重さ、魚のサイズなどを考え選びたい。最もライトな634Mは、小型ルアーのバラマンディやシーバス、664MH、664Hはビッグベイトプラグを使ったシーバスにも良いだろう。
ルアーセレクト&フック選択
次にルアーだが、これまでの実績からメインで使用したのは、K-TENブルーオーシャンBKF175R2、そしてストライクプロ・マグナムミノー16cmのSFモデル。このセレクトの理由は、相手に警戒心を与えないようになるべく遠くからアプローチするための、太糸でも飛距離の出せる50g以上のウエイト、そして安定したキャスト性能、ルアー強度が必要になる。さらに素早く目の前まで潜らせることができる性能だ。ちなみにフックは、前述したように口内が硬いアラパイマに対して、少しでも掛かるようにトレブルタイプの大きめをチョイス。アラパイマは一気に吸い込み、そして違和感があるとすぐに吐く。その際に少しでも掛かるようにするためだ。前年のフッキング率の低さは、このフックサイズのセレクトミスだったと感じていた。そこで今回は、ストレートポイントで素早く掛かるBKK・VIPER-41の4/0のフックをセレクト。ちなみにK-TENブルーオーシャンBKF175R2はフローティングプラグだが、フックの重さでサスペンド、スローシンキング仕様になる。これが浮きすぎず、潜りすぎずにちょうど良い。さらに4/0フックは、通常なら大きすぎるが、BKF175R2は大きめのフックを装着しても動く。またラインはPE6号を使用。リーダーは180lbをセレクト。リーダーの先にはザイロンの50号を60cmほど装着。太めのリーダーは、一気にルアーが吸い込まれた時に、ザラザラのアラパイマの歯によるラインブレイクを避けるためと、走られた時に沈木に絡む可能性も考えてのセレクトだ。
いざエクアドルのアラパイマに会いに
最初の釣り場での宿泊地となるツクナレロッジまでは、途中の車のパンクはあったものの問題なく到着した。部屋で準備を済ませ翌日のサンクードでの釣りに備える。そして翌日は早朝からサンクードコチャへ。40分ほどブラックウォーターの川を上り、細い水路を抜けると一気に視界が開け、広大なラグーン・サンクードコチャに到着する。毎回「やっと着いた!」と声が漏れ、そしてその風景に感動する。
この日のサンクードコチャでの釣りは、アングラー2名、1名に分かれて2隻で探った。2名で探ったこちらのボートは、ベビーボール、息継ぎとアラパイマの存在を幾度となく確認できたもののノーキャッチ。もう一隻も、数回バイトを得たもののアラパイマを手にすることはできなかった。
翌日は、さらに多くのアラパイマ、大型がいるラガルトコチャ、イムヤコチャへ移動。3時間ほど船を走らせキャンプサイトへ。そして午後からラガルトコチャへ。しかし、その後の不安がよぎる。昨年と同様で水が多く、水没した林の中にアラパイマが入ってしまっているのだ。船上でアラパイマが姿を現すのを待っているのだが、時折聞こえてくるアラパイマが跳ねる音の多くは、林の中。オープンウォーターに姿を見せる個体もいるが少ない。
そして次の日からは、大型の実績があるイムヤコチャへ。しかしこちらも水位が高い。バイトは1日1回ほどあるが、なかなかキャッチまでは至らない。バイトを得られても、フッキングせずにバレたり、ジャンプで外れたりする。また、ランディングの基本の方法は、ボートの上でファイトしながら、ボートを走らせて浅瀬に入り、最後はボートから降りて浅瀬に引き上げるというものだが、水位が高く浅瀬が近くにない。そのため移動をしている間にバレてしまうのである。

水量が多く、アラパイマは林の奥に入り、やっとの思いで掛けても、ハリ掛かりしにくい口、そしてジャンプ、さらにはランディングポジションを探している間にバレてしまうことも。このアラパイマは、ランディングする場所を探している間にバレてしまった。
アラパイマのキャッチ。ロッドパワーは充分
その後、水位が高く、なかなかキャッチに至らないことから、ガイドはヒットしたら船に上げ、素早く写真を撮ってリリースすると判断した。そしてイムヤコチャ2日目で、ようやく2m弱を船上ランディングでキャッチすることができた。ちなみにULLR 684XHのロッドパワーはまだまだ余裕を感じた。

アラパイマのジャンプ。激しいヘッドシェイクを見せる。口が硬く、フックが半掛りの状態の多いため、ルアーをしっかりアクションさせられ、掛かったアラパイマを引き寄せるパワーを備えつつも、ジャンプを吸収する柔軟性も備えたタックルが必要だ。

浅瀬が無いため、ボートにランディング。これが一苦労。

素早く写真を撮り、そしてリリース。
さらに翌日、息継ぎのアラパイマにベストタイミング、ベストな位置に着水したルアーに待望の良型がヒット。フッキングを強めに入れると、すぐに強い引きを見せた。しかしロッドでグイグイと寄せる。ジャンプする際は、強い走りを見せてから行う。ジャンプすると感じたら、ドラグを少し弱め、ロッドをアンダー気味に構えて対応する。数回のジャンプをクリアしたら、船の周りでしっかり疲れさせ、落ち着いたところでランディングに移る。2m30cm(船長目測)の個体をキャッチすることに成功した。目標の3mには届かないものの、厳しい状況の中でのヒットだったため、嬉しい1尾となった。ロッドULLR 684XHのパワーも十分確認できた。さらに大型にも対応する感じだ。

ジャンプしたアラパイマは、同時にヘッドシェイク。1mほど振られる。だからこそ、硬いロッドはバレる。迫力満点のジャンプは病みつきになる。
その後、さらに状況は下向きになり、アラパイマが姿を見せなくなっていった。そこで残りの日程を最初に探ったサンクードコチャに戻って探ることをガイドに提案。サンクードにもキャンプができる場所があり、現状では整備中で設備が整ってなかったが、ちょっとでもキャッチの可能性を高めるために移動することにした。そしてその判断が良かったのか、同行の新開さん、吉田さんともにキャッチに成功。海外遠征は、行ってみないとフィールドの状況が分からない、情報が少ないこともあり、うまくいかないことも多いが、その場の判断がうまくいき、全員キャッチで釣行は幕を閉じた。

同行の新開さんもサンクードに移動後にキャッチ。こちらは浅瀬があるので、岸に寄せてランディング。

丁寧に魚を扱い、しっかり休ませてからリリース。新開さんが使っていた、アラパイマの実績ルアーのひとつスーパーシャッドラップは、写真のような状態に。アラパイマのパワーの強さが分かる。

同行の吉田さんもキャッチ。最終的には、2尾のアラパイマを手にした。
海外遠征、さらに秘境での釣りで最も大切なのはトラブルが起きないようにすること。トラブルにも色々とあるが、特に多いのが道具類。航空機でのロッドの紛失、ロッドの破損、タックルの選択ミスなどもある。ただ、だからと言って飛行機の重量制限、車1台での移動、船での最終地点へのアクセスなどを考えると、大量にタックルを持っていくことはできない。今回、自分はアラパイマ用に2タックル、ピラニアなどの小物類を釣るタックルを1タックル用意していったが、現地の国内線の重量制限もあるため3タックルほどに絞るのがベストな感じであった。情報が少なければ、どんなタックルを持っていけば良いか、タックルを厳選するのも悩むが、それもこういった釣りの楽しい部分。どんな釣りでも魚の生態(アラパイマの場合は、口が硬い、ジャンプする)、生息するフィールド、どのようなファイトを想定するかを考え、答えを出していく必要がある。ロッド、ライン、ドラグ、ルアーとフックサイズ、金具類といった、全体のタックルバランスが重要だと思う。そして今回、全体的なタックルバランスを考え選んだロッドが、サベージギアのULLR 684XH。アラパイマ狙いのロッドに関して言えば、棒のような硬すぎる、強すぎるタックルはマイナスが多いと思う。釣り上げたアラパイマのサイズには、若干強すぎる感じはしたが、目標にしていた3mの個体と対峙するとなるとこのパワーがあればより安心だろう。またいつかチャレンジしたい。
エクアドル・ピラルクー釣行のツアー問い合わせ:フリーライドアングラーズ
https://www.worldfishing.co.jp/
秘境の地に行く時ほど、ツアー会社で予定を組んでもらった方が良い。航空機、ガイドの手配、宿の手配を間違いなくやってもらえ、現地で航空機のトラブルなどがあった時も対応してくれるためより安心だ。また釣りツアー会社であれば、タックルセレクト、適切な持ち物なども相談できる。