シャウト!小野誠流
東京湾タチウオジギング
専用フック&ジグ・ショーテルで攻略
東京湾はタチウオジギングの盛んなエリアである。夏の浅場中心のシーズンから良型の比率が高くなる冬の深場が最盛期だが、ほぼ1年を通して多くの船がタチウオを狙っている。そのため東京湾タチウオは比較的簡単に釣果を得られる日もあるが、連日攻められていることで簡単に釣れない日も多い。そんなタチウオに、関西方面をホームとするシャウト!の小野誠さんがチャレンジした。
東京湾タチウオとその魅力
東京湾のタチウオジギングは、シーズンによってムラはあるものの、初心者でもある程度は釣果を期待できる釣り。ただ、乗っている船の中で釣果数の上位に入るとなると、その場その場で対応することが必要である。だがそのようなパターン探しの楽しさもあることから、ジギングエキスパートにも人気がある。そしてそのパターンを見つけることで、大きく釣果が開くこともある。例として日に5本以下の釣果の人がいるなか、パターン探しができるエキスパートは、30本、40本という釣果を叩き出すこともあるのだ。今回の取材時も最小キャッチ数は2、最大キャッチ数は42本という釣果であった。
そんな東京湾をシャウト!の小野誠さんが楽しんだ。小野さんは、兵庫県在住。そのためタチウオジギングのホームグランドとしては、明石を中心としたエリアといえる。タチウオジギングは、基本の探り方こそ地域により変化はそれほどないが、数を釣るとなるとそのエリアに合わせた探り方の変化、ジグ選びなどが必要。経験豊富な小野さんでも、やはりその地に通う常連アングラーには敵わないのは承知の上だ。その日の平均本数を上回れば上々という気持ちで東京湾の湾奥から出船する深川吉野屋に乗り込んだ。
ちなみに東京湾のタチウオは、夏場は小型が多く、その中に良型が数本混ざる感じで、数が釣れることが多い。一方11月頃からの冬場のタチウオは、夏場よりヒット数は少なくなるものの釣れてくるタチウオのサイズが良くなることが多い。そのどちらを楽しむアングラーもいれば、冬場だけしかやらないアングラーもいる。またポイントも夏場は浅場を探る割合が多く、冬場は深い場所をやることが多い。近年は、広範囲にタチウオの群れが見られることで夏でも深場、冬でも浅場をやるが、基本はこのようなイメージだ。
取材日は、まだ夏場のタチウオといった感じであった。出船前に深川吉野屋の代表である吉野吾郎さんに様子を聞くと、浅場がメインのものの、反応次第で深場にも探索に行くとのこと。大型サイズ(ドラゴンサイズ)も日に何本か船中に入るという。小型を掛けつつ、次々とリリースしつつ、その中で大型をキャッチしたいというのが小野さんの目論みだ。
東京湾タチウオ使用タックル
東京湾のタチウオジギングは、タチウオに対応するライトジギングロッドや専用ロッドに、PE0.8号~1号、フロロカーボンリーダー4~6号(16~24lb)というのが基本。タチウオの歯によるラインブレイクを考慮して、リーダーの先に太めのリーダーを結束する人もいる。今回小野さんは、XBRAID・オッズポート1号、フロロカーボンリーダーはXBRAID・FCアブソーバースリム&ストロングの6号+18号(30cmほど)のタックルをメインタックルとして用意。リールは、フォールのアタリを取りやすいことからベイトタイプが基本。小野さんは、ジグがある水深が瞬時に分かるシマノ・オシアコンクエストCT300HGをメインに使用。ちなみにリールは、ハイギアでなくローギアばかりアタる時もある。タックルを複数用意でき、ローギアリールを持っている人は、そちらも用意してくると良いだろう。また小野さんの使用ロッドはシャウト!のセデュースSPJライダーSSR662Bだ。
セデュースSPJライダー
https://shout-net.com/item/328/
このタックルに、まずはジグ・ショーテル130gをセットした。船長からは「最初は浅場を狙うので、60~80gのジグを装着してください」と聞いていたが、あえて130gのブルピンゼブラグロードットカラー(下の写真上)をセレクトした。以前の釣行時に好釣果を叩き出したというのが一つの理由。そしてもう一つは、推奨サイズより大きくても、ヒットが得られるか確かめたかったのだ。夏場の浅場では、シルエットの小型のジグが良いとされることが多い。そのためタングステン製のジグが人気だが、タングステンジグは高価であり、歯によるラインブレイクのことを考えるとウエイトごとにいくつものカラーを揃えるのは大変。そこで小野さんはあえて、鉛のショーテル、しかもシルエットが大きくなるが手返しの良い130gをセレクトしたのだ。
ショーテル製品情報
https://shout-net.com/item/254/
ちなみにタチウオジギングでは、フォールにアタリが集中するときもあれば、巻きにアタリが集中するときもある。ストンと落ちるジグが良い時もあれば、フラフラと落ちるジグが良い時もある。またジャーク時にキビキビと動くジグが良い時もあれば、動かないストレート気味の動きをするジグが良い時もある。そのため様々なタイプのジグを持ち込み、アタリアクションを探すエキスパートも多い。またあまり良くないとされるジグは、激しく左右にフォール、ジャーク時に左右に大きくスライドするジグ。タチウオは反応するが、大きく動きすぎることで、ラインブレイクに繋がることが多いのだ。ちなみにショーテルは、ジャーク時は激しく動かないタイプ。ジャーク後に横向きとなり、バイトの間を演出。さらにそこから振り子のようなフォールでアピールする性能だ。
そして使用フックは、サーベルクアッドのSサイズ、サーベルクアッドアシストのSサイズをそれぞれフロント、テールに装着。ちなみにタチウオジギングでは、フック選びは釣果を伸ばすために重要な要素となる。前述したように、フォールでもアタってくることもあり、ジグを咥えた瞬間に刺さり込むフックが良い。そしてバレが少ないこと。そこで開発されたのが、4本鈎で細軸、ストレートポイント、バーブレスのタチウオジギング専用のサーベルクアッド、サーベルクアッドアシストだ。ちなみにサーベルクアッドアシストは、アシストライン部はラインブレイクせず、ジグやリーダーへの絡みつきを防ぐように金属パーツで作られており、そこを熱収縮チューブで覆っている構造だ。ちなみに東京湾でのタチウオジギングの乗合船では、船によって使用するアシストフックにルールを設けられている。今回お世話になった深川吉野屋さんも、トレブルフックのスイベル並びに連結リング部分が被覆されていない物、ダブルフックのチラシ針、シングルフックのチラシ針、ワイヤーリーダーは禁止とされている。これは、乗合船でオマツリがあった時に素早く絡まったラインを解けること、絡まったラインのダメージを減らすためである。サーベルクアッドアシストは、そんなルールをクリアしている製品だ。サーベルクアッド、サーベルクアッドアシストの詳細は「しっかりとフッキングし、トラブルも素早く回避!」の記事で確認してほしい。
準備は万全!当りパターンは?
船長の合図とともに同船者たちは一斉にジグを投入。ポイントは富津沖の水深18m。反応はボトムに出ているという。ボトムから中層まで探っては落とすというのを繰り返していく。ここでアタリが無く、そこから海保沖まで南下しながら反応を探し、探っていく。すると同船者にヒット! そしてポツリポツリをアタリが出始めた。タチウオの移動が速く、追っては探るといった感じではあるが、船長の「ハイどうぞ!」の合図で素早く落とすと、誰かしらにヒットする。上がってくるのは夏タチウオならではの細身の個体だが、アタリが出れば楽しい。そしてそんな中、小野さんにもヒット。これも細身ではあったが、まずは1本釣り上げホッとしたという感じだ。
ちなみにヒットパターンは、フォールでもアタるが、どちらかというと巻きの最中に「ドン!」と乗ってくる感じや、巻きからフォールに移る直後に乗ってくる感じ。タチウオのアタリパターンは、その日、その時によって変化する。それをいち早く察知するには、様々なパターンを試しつつ、釣れた人がいたら、その日の探り方を観察して合わせていくのが近道でもある。使用ルアーやラインの太さ、使用リールのギア比などが異なるため、確実に同じ探り方にはならないが、周りの人のヒットにはヒントがある。タチウオジギングの基本となるジャークはワンピッチジャークだが、この時はジャークでジグを動かすというより、ジグをただ巻き、もしくはリールの回転でティップが揺れる程度の巻き上げで、ジグを泳がせる感じの探り方であった。
数を伸ばすにはテンポよく
その後、潮が止まってきた。これでアタリが遠くなると思いきや、一気にタチウオの活性が上がった。船中でバタバタとヒットし、落とすごとに高確率でアタリがある状況に。ヒットパターンは、これまでと同様のただ巻きでジグを泳がせる感じだ。こんな時合の時、とにかくテンポよく探っていくのが数を伸ばすことに繋がる。ヒットして、小さい個体ならば、船内に抜き上げずに船べりでリーダーを手繰り、プライヤーやフックリムーバー(針外し)などの器具を使い素早く外し、すぐに次の一投に繋げる。キープする個体も、抜き上げできるサイズなら一気に抜き上げ、素早くハリを外し、バケツにタチウオを入れてすぐに次の一投。時合は長く続かないこともあるため、とにかくジグを水中に入れておく時間を長くするのだ。エキスパートほど、このような動作をスムーズに行う。そしてこんな時、他の人とのオマツリで時間を取られてしまわないように、やはりサーベルクアッドアシストのような金具部分をチューブで覆っているモデルは効果的なのだ。ちなみにこの時の時合は意外に長く、1時間ほど続いた。良い群れに当たったようだ。
大型は諦めずに探ることが大切
時合が落ち着いた後、船は南下し観音崎沖に入った。冬場にメインポイントとなる深場エリアである。観音崎沖80m、走水沖、猿島沖の40~60mと探っていく。こちらのポイントでは、バタバタとアタらないものの、ポツリポツリと船内でヒットが出る状況。ただ、大型、ドラゴンクラスはこれらのポイントでヒットした。
反応の船を乗せ、そこで数本のタチウオが船内に取り込まれアタリが無くなる。ただ、しばらく船を流していると、ドスンと大型がヒットする。反応の切れ目、反応が無くなったあたりに大型が着いている感じだ。そのため、アタリが遠のいても集中力を切らせずに探り続けることが大切である。小野さんもそんな状況で、良型のキャッチに成功した。
ちなみに、この日の小野さんは状況によっていろいろとジグを試しつつ、浅場ではショーテル130g、深い場所ではショーテル160gをメインに使用。カラーは、タチウオジギングでお気に入りのブルピンゼブラグロードットカラー。釣果数は、この日の平均本数を上回ったと思われる15~20本程度であった(数えていませんでした)。
これから秋、そして冬になると数こそ少なくなるが、良型が増えてくると予想されるシーズン。良型なら、より強いタチウオ独特の下へ下へ突っ込む引きを存分に堪能できる。万全の準備、そしてイメージを膨らませて挑んでほしい。
船宿:深川吉野屋
https://www.team-yoshinoya.com/tsuri/index.html
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