身近で手軽で楽しいキャスティングゲーム。
初心者からエキスパートまで熱くなれる
2024年・相模湾シイラキャスティング開幕!カツオもヒット!
釣り方&タックルセレクト、フィールド情報
オフショアキャスティングゲームの入門に最適なシイラキャスティング。相模湾では、古くから人気のゲームである。その理由は、身近にチャレンジできながらも、よりキャッチ率を高めるとなるとテクニックを要す奥深さがあり、そしてなにより引きが強烈だからだ。そんな相模湾シイラが、今年は例年より早めに開幕。これから夏が終わるまで楽しめるので、ぜひ楽しんでほしい。
シイラフィッシングの魅力
シイラキャスティングは、身近な海で1mオーバー、10㎏を超えるサイズが泳いでいるのを見て、狙ってキャストし、掛ける楽しさがある釣り。見つけた時の興奮、トップレンジで見えるルアーに掛かった時の興奮、そして強い引きが魅力のターゲットである。キハダやヒラマサゲームの時には外道扱いされることもあるが、オーバーパワーではないシイラに合ったライトタックルで真剣に狙うと実に面白い。だからこそ、エキスパートでも毎年楽しんでいる人も多い。そしてなにより魚が、投げたルアーにシイラがアタックしてくる姿が見えることで、経験値に関係なく楽しめる釣りだ。
キャスティングゲームは、ライトジギングやタイラバのように沈めて探る釣り出ないため、「初心者には難しそう」と捉えられがち。しかしライトなシイラキャスティングであれば、キャスティング技術も比較的習得しやすい。また時として、同船者でシイラキャスティングに慣れている人のルアーに反応したシイラが、船の近くまで群れで追ってくることもあり、初心者にもヒットチャンスは多い。ミヨシのアングラーが投げたルアーに反応し、ヒットするのは後方のアングラーということもよくあること。他のオフショアキャスティングゲームと比べると、初心者のヒット率が高いのだ。また、これから挑戦したいという人なら、レンタルタックルがある乗合船を利用すれば、最低限の準備でチャレンジできる。やってみれば、きっとその楽しさが分かるはずだ。
身に付けたいテクニック
シイラゲームに必要なテクニックは様々なものがある。それをマスターすれば、自ずと様々なオフショアキャスティングゲームの上達にもつながる。よりたくさんシイラを掛けたい、キャッチしたいと考えた時、まずマスターしなくてはならないのがキャスティングの技術、そして正確さだ。キャスティングは、遠投できれば遠投できるほど、遠くのシイラを反応させることができる。乗合船では、アンダーキャストを推奨している船もあり、初心者は、最初は遠投できないかもしれない。もしタックルを持っているなら、事前に練習しておこう。練習する暇がない、レンタルタックルで初挑戦という方なら、最初は後方の釣り座にし、上手い人の投げ方を見て、やりながら習得していけば良いだろう。ただ後方の釣り座でも、前記したようにシイラが船の周りまで誘き寄せられた時には、ある程度投げらさえすれば、なんとかなることも多い。
また、キャスティングの正確さでヒットにより近づける。シイラが泳いでいるのをしっかり確認し、シイラの進行方向の先にラインをしっかりとサミングしてルアーを投げ込むこと。さらに、着水と同時にルアーを動かす。これができるだけで、ヒット率は各段に変わる。
そして、ルアーアクションも重要。基本はラインを巻きながら行うトゥイッチ。アクションはルアーの種類にもよるが、細かくルアーを左右にアクションさせてシイラを反応させる。着水からトゥイッチをテンポよく行い、それで反応しなければシイラの目の前でより細かく動かしたり、少し大きく動かしたりして反応をみていく。シンキング系のペンシルやジャークベイトであれば、シイラの泳層まで少し沈め、縦の動きで誘うなんてことも効果的だ。シイラが反応するルアーの動かし方の引き出しが多いほど、バイトさせられる率が高いと言えるだろう。テクニックによって差が付くからこそ、面白い。
ちなみに、最近はヒラマサやキハダ、クロマグロからキャスティングゲームにデビューする人も多い。たしかに大型魚相手であり、魅力がある。しかしいきなりチャレンジしても、なかなかうまくいかない。しかし、シイラキャスティングをやり込んでいる人は、ヒラマサやシイラをやっても上手い人が多い。これはキャスティングの基本テクニックが身に着いているから。逆に、ヒラマサやキハダなどからキャスティングに入った人の中には、シイラフィッシングはイマイチという人もいる。細かなテクニックが苦手ということだろう。
ヒットしてからランディングまで
さて、自身のテクニックでシイラがヒットした後はどうすれば良いのか? まず素早く糸フケを取り、しっかり合わせを入れ、常にラインテンションをキープする。そしてシイラの動きに合わせて寄せてくる。この「シイラの動きに合わせて」は、走る時は走らせ、巻ける時は巻くということ。もたもたしていると、どんどん走られ、他のアングラーとのオマツリの危険もある。無理せず、設定したドラグを信じてやりとりを繰り返す。このようなことからも、ドラグ設定は確実に事前に行っておきたい。それでも、隣のアングラーとラインクロスしてしまうようなら、立ち位置を入れ替わってもらい対処する。
ちなみに使用ラインは、PE2号、1.5号が基準。ドラグは、2号なら5㎏ほどがMAXドラグ値だが、そこまで強くする必要はない。ドラグは緩めの3㎏程度で、多少走らせて獲るくらいで考えればよい。ドラグを設定するハカリが無いなら、タックルにルアーをセットした状態で、フックを船に装着されているリングや大型ボックスの輪になっている部分に掛け、ロッドをしっかり曲げて、そこでラインが出るように設定すればよい。
※リールのドラグ設定の仕方はこちら
https://anglers-time.com/524/
またファイト中にシイラは激しくジャンプする。ジャンプ時にラインテンションが緩みフックアウトの可能性が高くなるため、ロッドを倒してジャンプを最小限に食い止める。そしてシイラを水面まで寄せたら、この時のフックアウトにも注意。ロッドを立てすぎると、ルアーが外れた時に自分や隣の人、ネットでランディングしてくれる人に、ルアーが飛んでくることになる。またシイラを上げすぎて、頭、体が出てしまうと暴れるので、危険を避ける意味でもロッドの角度には気をつけ、ラインディングマンと呼吸を合わせ、水面直下を流すようにネットに誘導するのがベストだ。
ランディング後は、ネットに入っている状態でプライヤーやフック外しの道具でルアーを外す。シイラはランディング後に暴れるため、危険回避のためにまずはルアーを外したほうが良い。もしも暴れが止まらないようなら、目にタオルを掛けると大人しくなるので実践してみよう。
タックルセレクト
さて、シイラフィッシングのタックルだが、ロッドの長さは、乗合船で細かいアクションを入れやすく、飛距離も出せて使用しやすい7ft前後。パワーは、MLクラスで、キャストウエイト表示が50g MAX程度のものが良い。パワー表示が番号のものは、キャスティングMAXウエイトで判断すれば良いだろう。リールは、5000番、6000番。ラインはPE2号、1.5号。最低でも200mは巻いておきたい。リーダーは、40lb~50lb、60lb。リーダーは1.5mほどの長さを結束。長さの目安は、キャストする時にリーダーがロッドティップから少し出た状態で、PEとの結び目がリールスプールに入らない長さがいい。こうすることで、キャスト時のトラブルが少ないからだ。
またリーダーの先は、ボールベアリングスイベル+スプリットリングなど、シイラの引きに負けない強いものを使用すること。もしもスナップを使う場合は、強力の強い物を選んでおきたい。
そして用意するルアーだが、これはシイラの活性に合わせてセレクトすることが必要なため、各種必要となる。シーズン序盤、雨の後などの、シイラの泳層が深めの場合は、シンキングペンシル、ジャークベイトが活躍する。また、真夏の高水温期も、シイラの泳層が下がるため、これらのルアーが出番となる。一方、シイラにとって最も水温が快適なシーズンはトップウォーターが楽しい。ポッパーやフローティングペンシルに飛びつくシイラを体験できるはずだ。サイズは、いずれも110㎜~130㎜といったものが一般的なサイズとなる。そしてフックは、バーブレスが基本。バーブ付きのものは、プライヤーでバーブを潰しておく。フックとルアーの間のスプリットリングの強度にも気をつけたい。
ちなみに相模湾のシイラは、水温が19℃くらいになると釣れ始める。21℃を超えてくるとトップウォーターにも反応し出し、24~26℃はトップシーズン。28℃となると、熱すぎてシイラが沈み気味になり反応が悪くなるのが例年の流れだ。
今期の模様
5月に入り、シイラが回遊してきただろうということで、平塚港の庄三郎丸さんの試し釣りに同行させてもらった。前々日には、同港の船が釣果を出しており、前日も悪天候の中で釣果が出ていた。当日朝は、気温9℃と人間は寒かったが、水温は問題ない様子。この日は、晴天の予報であり、気温の上昇とともにシイラの活性も高くなると予想できた。
船は港から西側の真鶴方面に走らせ様子を見ていくことに。西側は潮色が若干濁り気味であったが、水温は19℃。そして開始して早々に潮目にある流藻の周りからシイラが飛び出してきた。そしてダブルでヒット! どちらも全長80cmほどの個体だった。
そこからさらに東側に船を向けながら流しながら探索し、浮き魚礁に。すると浮き魚礁からも良型が続々とルアーを追いかけてくる。ここで今回の試し釣りに参加した3名のアングラー、全員にヒット。シイラは若干沈み気味で、さすがにトップには反応しない泳層。シンキングペンシルやジャークベイトなどを、少し沈めて誘うと、次々と反応してきた。シーズンが進むにつれ、浮き魚礁周りでは最初の数投しか反応しなくなることもあるが、シーズン初旬のため、しばらくシイラとのやりとりを堪能することがきた。
その後も、潮目、流れ藻などで、たびたびシイラを発見。さらに驚いたのは、カツオのヒットだ。伊豆大島など、黒潮の影響が濃い場所にはカツオがいるのは分かっていたが、相模湾内にもいたのだ。鳥が上空を回っている箇所に近づいてみると、水面で「パシャリ」と出たのを発見。水面を覗くとシラスの姿。すかさず乗船者が投げると、シイラではなくカツオだったのだ。結局、3匹のカツオをキャッチすることができた。
また、その後もシイラを探しつつ、キャッチしつつ進んでいくと、終盤には大きなイワシ団子を発見。イワシ団子の周りには、クジラ、サメが見える。そしてそこを観察していると、今度はキハダが出てきた。さらに、イワシ団子の中を1m30cmくらいはありそうな大型シイラが横切った。ここでは残念ながら釣果が得られなかったが、久しぶりに相模湾内で迫力のある様子が見られた。
この試し釣りの後の翌々日の日曜日から、庄三郎丸では乗合船がスタート。そして釣果を順調に得ている様子。シーズン初旬は、シイラの数は少ないが、ルアーに初心(うぶ)なシイラを楽しむことができる。この後、梅雨に入ったらシイラは探しづらく、沈み気味になるが、天候次第で楽しめるはず。そして梅雨明けから、さらに盛り上がると予想する。ちなみに、庄三郎丸ではレンタルタックルも用意されており、初心者でもルアーを用意してくれば挑戦することが可能。キャスティングなどで不安があるなら、セミナーがシーズン中に開催されているので、そちらに参加するのも良いだろう。ぜひ、夏の魚と言えるシイラフィッシングの楽しさを体験してほしい。
庄三郎丸シイラセミナー(講師:マングローブスタジオ上屋敷氏、サプライズ椙尾氏)
日程:6/20(木)、7/25(木)、8/22(木)、9/5 (木)
https://www.shouzaburo.com/
※乗船、セミナー参加には、予約が必要です。