連載 平松慶のオフショアワールド vol.13

オフショア実釣。旬な魚『タラ』を浅場のジギングで狙う。
IN北海道オホーツク海・紋別沖

春の北海道オホーツク海で「マダラ」をジギングで狙ってきた。これまでタラを対象としたゲームは、深場狙いが中心になり、タチと呼ばれている白子を持ったタラ狙いだったが、ゲーム性を高めてより浅場エリアでのジギングを今回は提案。まだ浅場に生息している春に、どの様に狙うか? またタラが生息しているエリアでの多魚種との釣り分けも楽しめ、オホーツク海でこれからの新しいオフショアスタイルが展開できるのではと感じた釣行になった。その辺りも絡めて報告したい。

オフショア実釣。旬な魚『タラ』を浅場のジギングで狙う。<br>IN北海道オホーツク海・紋別沖

タラのタックルに合わせた組立て。

さてまずはタラを狙うタックルだが、特別なものは必要なく、北海道エリアでブリをジギングで狙うタックルと同じで問題ない。スピニングタックルでもベイトタックルでも、どちらでも楽しめる。ちなみにタラは、起伏のある根周りや魚礁などストラクチャーのある場所が狙うポイントとなるため、ボトムを的確に取る事が大切。これを理解しておくことが、釣果への一番の近道となる。

深場のタラゲームは水深100m以上を狙うのが基本となるが、今回の狙いは浅場。水深60~70m辺りのポイントを探った。そのため、北海道エリアの深場のタラ狙いで主流となる400や500gなどのジグウエイトではなく、250~310g辺りのジグが今回最も使いやすかった。ポイントは2ノット前後の潮流があり、ジグウエイトを上げたくなるが、10オンス(280g)前後で楽しむことができる。

タラの捕食は、口下にあるヒゲ「触ヒゲ」で、巣となるエリアに寄ってきたベイトを探して捕食する。基本的に底生魚であり、下位置でエサを探すスタイルになるので、ベタ底での探りが重要だ。目の前にあるものは、すぐに反応するのも特徴で、ファーストバイトを確実に取るには、水深に対して少し重いメタルジグを使うことが理に叶うだろう。

ちなみにタラ狙いのエリアには、他魚種の生息エリアでもある。ホッケやアオゾイ、シマゾイ、ヤナギノマイ(メバル類)など多くの魚種が生息している。どの魚もメタルジグで狙うのは可能で、その中でもターゲットを絞って狙うと、よりゲーム性が高い釣りが楽しめる。ボトムではタラ、ボトムから少しジグを上げて誘うようにしゃくるとアオゾイ、ボトムを切ってアオゾイが当たる層をユラユラとあまり動かさないようにすると、ヤナギノマイがヒットしてくる。そのどの動きにも当たってくるのは、ホッケであり、海が豊かなことで魚種が豊富であることが実感できる。ここからは実釣を解説しながら、その辺りも含めてお伝えしよう。

北海道オホーツク海・紋別沖

今回の北海道オホーツク海・紋別沖の釣行は、マダラがメイン。深場のマダラではなく、浅場の個体を探る新しいスタイルで楽しんだ。お世話になった紋別港のホライゾン号の有持和也船長は、紋別沖の近海エリアの細かいポイントを熟知しており、頼りになる船長だ。

平松慶

タックルはベイトでもスピニングでもどちらでも対応可能。今回は自身のメインスタイルでもあるスピニングジギングで探ってみた。ボトムを丁寧に探っていくことが釣果を伸ばすキモである。

タラジギングの狙い方。

今回、オホーツク海の紋別港からホライゾン有持和也船長の舵で沖に向かった。前日までの風も落ち着き、沖はベタ凪であった。有持船長は、紋別沖近場エリアのポイントはいくつも把握をしており、まずは60m前後の根周りからスタートとなった。

最初、水深60mであれば、150gから200gのジグウエイトで十分対応できるだろうと私は思っていた。地元アングラーは皆300gクラスを使ってる。その理由を150gのジグを落としてすぐに理解した。まず、軽いジグウエイトだと、ボトムを丁寧に探れない。潮流による船の流れ、PEラインの潮抵抗によるジグの浮き上がり、そしてメタルジグをボトム周辺でステイできないのだ。少しでもジグがボトムから離れると、他魚からの猛攻に合ってしまう。そんなことから、確実にボトムキープをするために、重めのジグを使用するのだ。

タックルは、PE4号に50ポンドのリーダー。ジグのフックバランスは、フロントには、カルティバ ブルーチェイサー5/0、6/0サイズで、リアにはファイアツイン200gを装着するというバランスで狙った。最初はフロントのみのシングルフック設定で狙ったのだが、ヘッドから動く漂わせるアクションを付けると、攻撃性の強いアオゾイやホッケが先にヒットしてしまう。本命のタラへのアプローチは、ボトムキープでの誘いと分かり、ヘッドアクション重視からリアアクション重視に変えてみると、すぐにタラがヒットしてきた。このような面白さがある。水中を想像し、ジグの動きに対して、タラがどのようにジグにアプローチしてくるのか? ボトムから少し浮かした位置での多魚種の様子を想像しながらのしゃくりで、見事に魚種の釣り分けることができた。

今回私は、スピニングタックルを使用したが、ベイトタックルのほうがボトムキープのしやすさもあり、より使いやすいのでは?とも感じた。今回の釣行は、あくまでも私の普段のタックルスタイルでのトライであり、どこまでやれるか?というチャレンジもあった。結果としてベイトタックルに分があると感じたが、スピニングタックルでも面白く狙うことが可能だ。

メタルジグ

水深が浅いということで、最初は軽めの150gのメタルジグをセレクトしたが、すぐにこのウエイトではダメだということが分かった。軽いと、ボトム付近をキープしにくいのだ。そして軽いと、ボトムキープしにくいことから、他の魚が食ってきてしまうのである。すぐに300gクラスのジグに変更。左はガミージグ310g、右はカルティバ激投ジグ280g。

ホッケとシマゾイ

ジグを動かしすぎる、上げすぎると、ホッケ(写真左)、シマゾイ(写真中央、左)がバイトしてきてしまう。マダラを狙うなら、ボトムキープ。釣り分けができ、面白さが増す。

マダラ

マダラは、全てリアフックにフッキング。ヘッドアクションより、リアアクションの動きにヒットしてくる。

フック

フック選びは重要。カルティバ・ファイアツイン200gがフッキング率が高く、バレも少ないベストマッチであった。

平松慶

ヒット後は、ポンピングなどは行わずに、ラインテンションを保ちながら丁寧に上げてくる。

平松流のマストパターン

今回、初めてタラをジギングで本格的に狙ったが、数を釣ることでいくつか見えてきた。まず、タラの捕食行動に合わせてボトムでのジグの操作法。ウエイトのあるメタルジグを使用しているので、ジグを浮かせ過ぎずにボトムを漂わせるようなアクションを心掛けてみた。ヘッド部分を軽く浮かせて、ボトムを引きずるように探る。タラはジグに興味を持ち、吸い込むような捕食行動でメタルジグの後方から口を使う。ヒットしたタラは、全てリアフックに掛かっており、水中の様子が想像できた。

また、バイトはショートバイトが最初にあり、その後に「グッ」と重みが伝わるようなバイトであった。ワームでブラックバスを狙っている時に、ナマズがヒットした感覚にとても近かった。これを感じ、ショートバイトがあり、重みのあるバイトがあった際に、少し送り込んでみた。合わせが遅かったのではなく、意図的に食い込みがどうなるかを試してみた結果、根に入られ根擦れしてしまったのだが、タラは明らかに捕食行動のエリアで自分のポジションがあり、テリトリーから離れるような行動は捕食時には少ないと感じた。いかに動かずに、自分のテリトリー内で捕食するか、そんなイメージが実釣で得られ、またひとつ学びになった。

アオゾイやシマゾイなどは、動くものに対して進行方向を見ている。ベイト(エサ)を触ヒゲで探すタラは、目の前の物への捕食なだけに、アクションも広く動かすより、ボトムと水平に近いイメージのほうが好みだと理解。ボトムでジグをズラしていく動きで3バイトを得た時に納得することができた。こうした私にとって新しい釣りは、様々な学びを与えてくれ、考えさせられる。ゲーム性に優れたターゲット「タラ」。これからのオホーツク紋別沖のタラジギングの盛り上がりに期待したいと思っている。

紋別沖と平松慶

豊かな海域である紋別沖。サクラマス、ブリだけでなく、今回のようなボトムターゲットの魅力を再確認した釣行になった。

今回、ホライゾン有持和也船長からの提案で実現した、浅場エリアのタラジギング。これまで私は何度も外道としてタラは釣ってきたが、タラをターゲットとしたゲーム展開、また浅場エリアでのスタイルは初めてのチャレンジだった。タラを狙って誘う、食わす。釣り上げる。このどれも組み立て楽しむことで、新たなこの時期のターゲットになることを感じた。今回はできなかったが、アオゾイやシマゾイ、ヤナギノマイにホッケ、その他多魚種も狙え、SLJ(スーパーライトジギング)でのアプローチも間違いなく面白いはず。次回は、その辺りも視野に入れて紋別沖ジギングゲームを楽しんでみたい。
なお、この時の様子はBS日テレ《夢釣行~一期一会の旅》にて2023年7月2日に放送予定となっている。ぜひ、そちらもご覧ください。

ホライゾン オフショアルアー船 有持和也船長

船宿

(紋別エリア)
ホライゾン オフショアルアー船 有持和也船長
TEL:090-7052-2882

ジギング他、他魚種 M(エム)船 鈴木誠船長
TEL:090-7651-1091

マルタケ伊藤釣具店

現地状況については、マルタケ伊藤釣具店(写真左 TEL:0158-23-2502)のスタッフが、いろいろと教えてくれる。写真中央は紋別港入口のガリンコタワー、写真左は紋別港横のカニのオブジェ。観光名所になっている。

紋別沖のタラジギングタックル

紋別沖のタラジギングタックル

【ロッド】
K-FLAT・ブアヤダラット-J65ML
PENN・トルクPHK-63M

【リール】
PENN・スラマー3 6500、6500HS

【ライン&リーダー】
サンライン・PEジガー8HG4号&松田ブラック14号

【ルアー】
K-FLAT・Gummy310g 、280g、 Gummy-fat250g
KEI Jig235g 、KEI Jig シャープ250g
カルティバ激投ジグ280g、250g他

【フック&パーツ】
オーナーばり・ブルーチェイサー6/0、5/0、ファイアツイン200g、ソリッドリング6.5㎜

【偏光グラス】
zeal optics veroモデル

【ウエアー】
全てパタゴニア

 

K-FLAT HP
平松慶ブランドメーカー
K-FLAT株式会社
https://www.k-flat.net

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AUTHOR

平松慶

神奈川県座間市在住。 K-FLAT代表。オフショアゲームを中心に、自身で釣り具を開発しつつ、その他メーカーからのサポートも受け、プロ活動を続けている。国内外への釣行日数は、多い年では210日を超えたほど。長きにわたりメディアで文章を書き、枻出版社では「平松慶のヒラマサワールド」を発行。その他DVD多数リリース。

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