最大のピンチを脱出した釣り方とは
三重県・志摩沖のティップラン
水温急低下の過酷な状況下での秘策
FishingLover東海のティップラン釣行の撮影で、今回訪れたのは三重県・志摩沖。メンバーはSLJやティップランなどの釣りを生み出したオフショアフィッシングのパイオニアであるクレイジーオーシャンの太田武志さん。同社で商品開発に携わる仲直和さん。福井県を中心にして活動している同社のフィールドテスター津井敏之さん。そして“あゆちぃ”の愛称で活動している同社フィールドアドバイザー伊賀愛優菜さん。目標は2kgアップに設定したものの、海況は最悪。だが、この状況を打開した秘策があった!!
ショアからのエギングとティップランとの違いとは
ティップランのベテランアングラーならご存知のことだが、ショアから行うエギングとオフショアのティップランとの違いは、ティップランはイカがいるポイントで長時間アピールして食わせられるという点だ。ショアからのエギングでは通常キャスト後に一度エギを着底させ、そこからしゃくりを入れてからステイでエギを漂わせ、再び着底させて(着底させない場合もある)しゃくるという動作を繰り返す。だが、本当に狙いたいスポットは、一回の着底→シャクリ→ステイで通過してしまうことがほとんどだ。
ティップランでは広範囲にあるポイントを探れる。そのため一回の投入でイカと巡り合う機会が多い。一般的にティップランではドテラ流しが基本であり、ボートが常に新しいポイントに流れていく。一回の投入で2~3回底取りをしてバイトがなければ回収するので効率がいいのだ。
今回のポイントの水深は30~60m。近年志摩沖では海水温の温暖化により真冬も最低海水温が17℃を切ることがないといわれるが、当日の状況は、撮影の数日前にシーズン最強寒波が到来し、その影響で水温が15℃、場所によっては15℃を下回った。アオリイカ狙いにおいては最悪ともいえる。
この状況での誘いの方法を太田さんが解説する。
「まず、着底したらシャクリを入れて浮上させ、ステイ。再び着底したらリールのハンドルを5~6回巻きながらシャクリを入れてステイ。冬場は低活性のイカにアピールするためロングステイが有効です。アタリはステイしているときに出ます。ちょっとしたアタリでもバシッとアワセる。『ティップランのアタリは穂先が戻る』とよく言われますが、ティップが戻るのはバーチカルなときが多いので、流れているときはティップが戻るアタリよりも、入るアタリがほとんどですね」。
ヒットエギは今夏発売予定の『ティップランナー響3.5号』
釣行日、風速10m以上の北西風が吹き荒れていた。実釣中、お手上げムードが漂いはじめたときに、今夏発売予定の『ティップランナー響3.5号』のパープル/グリーンを使っていた“あゆちぃ”にヒット! 『ティップランナー響』はラトルを搭載した高アピールモデルで、音による集魚効果で広範囲からイカを集める。ティップラン専用のエギとして開発され、フォールの速さ、シャクリの軽さ、ダートの切れのよさ、流水時の安定性、停止時の姿勢、針掛かりのよさなどを検証し、さらにテストを重ねて熟成と進化を遂げて製品化されるので、発売が待ち遠しいモデルだ。
『ティップランナー響』を使う際に“あゆちぃ”はシンカーのウエイトを通常使用する重さ(通常はプラス30gまで)では無理だと判断し、シンカー60gを装着。トータルのウエイトを90gにして深場狙いの悪条件に対応した。
その後は、仲さんがティップランナー3号(アジ/パープル)+オーシャンシンカーV30gで一度アタリがあってから、フォローを入れてヒット。津井さんがティップランナー3.5号(アジ/ゴールド)のお助けリグ(イカメタルで使う20~30号のシンカーを使用)でヒット。終了間際までノーヒットは太田さんだけだったが、最後にティップランナー3.5号(アジ/パープル)にシンカー60gをセットしてヒット。他船ではノーヒットという悪条件の中、全員が釣果に恵まれた。
ロッドセレクトがキモだった?
今回は過酷な状況に対応するため、各々がさまざまな釣り方を試していったが、基本的にはビーウエイトにしたエギやリグを使うことになった。
このような状況ではティップランロッドを使用するよりも、イカメタル用のロッドをセレクトするというのもありだ。ちなみにクレイジーオーシャンのイカメタル用ロッドの特徴は、ティップランと同じ感覚で釣りをするが可能な点。そのためクレイジーオーシャンのイカメタルロッド 「オーシャンスピアシリーズ」であれば、今回のような状況下でのヘビーウエイトティップランでも 快適に釣ることができる。
“あゆちぃ”が使用したロッドは、オーシャンスピアのスピニングモデルの47SPと53SP。これはオーシャンソード・ヴァーテックスの原型となった。ヴァーテックスとオーシャンスピアの使い分けは、ヴァーテックスの最大ウエイト75gなので、このウエイトを超えるときには、オーシャンスピアのスピニングモデルを使用する。
ヘビーウエイトのエギやリグを使うときには、ワンランク上のパワーがあるオーシャンスピアを使い、ティップに余裕がある状況を作っておくと、繊細なアタリもとることができるというわけである。
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