PEが主流。
ソルトウォーターゲームのライン
ソルトウォーターのルアーゲームに用いるラインは主にPE、ナイロン、フロロカーボンという素材で作られている。それらの素材特性や使い分けを知ることは、より満足の行く釣りを行うための重要なポイントだ。ラインの種類と選ぶ際のチェックポイントをまとめてみよう。
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INDEX
低伸度・高感度・操作性etc.
高い総合力を備えたPEライン
その昔、沖釣りの世界で「新素材」と呼ばれていたPE系のライン。しかし一部の先進的なソルトアングラーがルアーフィッシングの世界にも導入すると、徐々に浸透。それまでの釣りを一変してしまった。アジングのように繊細さを重視するゲームでは、今もナイロンやフロロ、エステルを活用するケースがあるものの、そうした例を除けばソルトゲームのメインラインはPE一択と言って差し支えないだろう。
PEとはポリエチレンの略。高密度分子・ポリエチレンの単糸を縒り合わせて1本のラインにしたものがPEラインだ。ナイロンラインやフロロカーボンラインがモノフィラメント(単糸)であるのに対し、PEは複数の細糸で構成されているため、組み込む本数(4本編み、8本編みなど)や組み方の違いによって性質は変わってくる。特徴は比重が小さいこと、吸水性がないこと、伸びが少ないこと。なかでも3~ 5%と言われる伸び率の低さは、アタリに対する感度やルアーの操作性という点でナイロンを圧倒。スプールへのなじみもよく、メインラインとして高い総合力を備えている。
さらに同じ強度ならナイロンより細いため、より多くのラインをスプールに巻き込めること、空気抵抗が少ないためキャスティングなら飛距離を出しやすく、ジギングでは沈下効率に優れること、クセが付きにくく劣化が遅いことなどもPEラインの長所である。これらのメリットによって、それまで届かなかったポイントや狙えなかった水深も攻められるようになり、それにつれてタックルもより軽く、より強く進化していった。
あえて欠点を挙げるとすれば、摩擦に弱いこと、軽いため強風時などはガイドに絡むことがある、といったところだろうか? 以前は結びにくいなどの欠点も指摘されたが、現在は品質向上とノットの改良が相まって、そのような声はほとんど聞かれない。
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今やメインラインにはPEラインが主流のソルトシーン。細く強いラインは、ソルトシーンにぴったり。ただ、欠点もある。
4本縒りと8本縒りの違い
PEラインが複数の細糸を編み込んで作られていることは前述の通り。釣具店には4本編み、8本編み、12本編みが並んでいるが、主流は4本編みと8本編みである。両者をおおまかに比較すると、4本編みは低価格で繊維1本あたりの強度が高いものの、ガイドとの摩擦が大きく糸鳴りがするという欠点があり、これを嫌うアングラーも多いが気にならないというアングラーもいる。8本編みはより細い繊維を編み込んであるためしなやかで、表面も滑らかなため糸鳴りがしにくく飛距離も伸びると言われている。ただし製造工程が増えるぶん、販売価格は4本編みに比べて高価だ。価格の差=品質の差ではないので、使い比べて自分の釣りに合うものを選べば良いだろう。
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8本編みと4本編みがあるPEライン。価格の違い、滑らかさの違い、そして同じシリーズなら直線強度の違いがある。
クッション性に優れるナイロン
1990年代のはじめまで、ルアー釣りでリールに巻く糸(メインライン)はナイロン製であることが多かった。しなやかでスプールになじみやすく、ノットも組みやすいナイロンラインには、伸び率の高さや糸グセの付きやすさという欠点もあるが、その扱いやすさから幅広い釣りで使われていた。現在のソルトゲームではメインラインとして使われることは少なく、PEの先につなぐショックリーダーとして使われることが多い。ナイロンの伸びと衝撃吸収性は大物がヒットした際のクッション的な役割を果たし、不意のブレイクを防いでくれる。また、分子構造を工夫することで製品ごとの特長も出しやすく、色、硬さ、比重などに選択肢が多いのが魅力だ。ちなみに初期伸度はPEの3%に対して平均30%と大きく、アタリが伝わりにくいため、感度を最優先する釣りには向かない。ジギングよりはキャスティングゲーム、障害物周りよりはオープンウォーターで使うのがベターと言える。
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現在、ソルトウォーターの世界では、ショックリーダーとして使用されるナイロンライン。伸びのある特徴により、魚が掛かってからの衝撃吸収性に加え、しなやかという特徴により、キャスト時のトラブルも少ない。
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ナイロンだからと言って、どれも同じではなく。それぞれに特徴がある。
比重が大きく摩耗に強いフロロカーボン
もうひとつ、同じくショックリーダーとしての需要が高いフロロカーボンは、ナイロンに比べて硬く、初期伸度が小さく、比較的感度が高いという特徴がある。比重はナイロンの1.1に対して1.8と大きいため沈みが速く、水切れの良さや潮の影響の受けにくさでもナイロンに勝る。また耐摩耗性に優れるため根ズレに強く、障害物や根周りの釣りにも強みを発揮する。欠点はナイロンに比べて硬いこと。また、水に沈む性質のためトップウォーターの釣りではルアーの動きや浮力を殺してしまうこともある。そのようなことからジギングやエギングなど、アンダーウォーターからボトムを探る釣りで使われることが多い。アジングではメインラインとしてリールに巻き込むこともあるが、質感が硬くスプールにもなじみにくいため、それなりの注意が必要だ。
ちなみに比重というのは、水を1としたときの重さ。比重が1より大きければ水に沈み、小さければ浮く。ここで挙げた素材の平均値は、PEが0.98、ナイロンが1.14、エステルが1.38、フロロカーボンは1.78。ただしこれは真水を基準にした時の数値であるため、海水での使用においては若干の誤差が出ることも付記しておく。
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フロロカーボンラインも、ソルトウォーターゲームではショックリーダーとして使われる。スレに強く、沈む性質により、ジギングの際に選ばれる。こちらもメーカーにより、透明度、硬さなどが異なる。好みのものを見つけたい。
ラインの色について
一般的にラインのカラーは、アングラーからの見えやすさや魚からの見えにくさ、水色とのなじみの良さなどから選ぶのが普通。素材別にみるとナイロンラインは総じて透明感があり、クリアを中心にブルー系、グリーン系、蛍光オレンジ系など様々。カモフラージュ性や視認性の高さなど、目的に応じて適した色を選択できる。フロロカーボンはクリアカラーが主流だ。PEラインは透明性がないのが欠点だが、様々な色を付けることでメリットも生まれる。一例としてライン全体を任意の色に染めたものは視認性を高めたり弱めたりすることができ、クロダイの落とし込みゲームではラインの動きを見てアタリを取ることも多い。また10mごと、あるいは20mごとに色分けしたものは、ジギングやタイラバゲームにおいてヒットゾーンの把握に役立つ。染色しにくい素材のため若干の色落ちはあるが、同じレンジを繰り返し攻めるなど再現性のある釣りをするうえで大きなメリットになる。キャスティングゲームでは単色のラインを使うアングラーが多いが、色分けされたラインを使うことで飛距離を把握できるなどメリットもある。
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キャスティングゲームでは、視認性を高めるために見えやすいカラーの単色に染色されていることが多く、50mごとに印が入っているものが多い。一方、ジギングで使用するものは、水深を把握するために5色展開、10色展開で染色。さらに細かくマークが入っているものもあり、釣りによって使い分けたい。
号数で選ぶか、ポンド(lb)で選ぶか
ライン規格の基準
ラインは号数、直径(mm)、強度(lbまたはkg)のいずれか、あるいはそれらの併記によって規格が表示されている。号数はこのなかではファジーな表記であり、統一の基準もないため客観性には乏しいが、一定の太さや強度を示す目安として多くのメーカーが採用している。なかには号数・直径・強度を併記している商品もあるので、これらを総合して判断すればラインの性格をより詳しく知ることが出来るだろう。なお、表示されている強度は機械的に計測した直線的な引張強度であり、耐摩耗性や結節強力は含んでいない。
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号数、ポンド数、キロ数など、表記は様々。使用するPEラインの強度、行う釣りの性質で選んでいく。
ラインの交換時期は?
モノフィラメントであるナイロン、フロロカーボンは、表面が傷ついたり糸がヨレたりしたときは釣りの最中であっても即交換するか、その部分をカットして使う。とくにナイロンは吸水率が高く、紫外線や熱にも弱いため、仮に目視できる劣化がなかったとしてもこまめに交換またはカットし、一回の釣行が終わったあとは必ず交換することが望ましい。
PEはナイロンに比べると寿命は長いと言われるが、激しいやり取りで何度もラインを出し入れした後や、他のアングラーのラインと交差・オマツリをした後は、その部分からいきなり高切れしてしまうこともある。摩擦に弱い素材だけに、そのようなアクシデントがあったり毛羽立ちが目立って来たりしたら新品に巻き換えたり、前後を入れ替えて傷のない部分を使うように心がけたい。